まあじ

🐟いきいきしながら死んでる鮮魚🐟生簀に生ける都市伝説🐟書くことで息してたりしてなかった…

まあじ

🐟いきいきしながら死んでる鮮魚🐟生簀に生ける都市伝説🐟書くことで息してたりしてなかったり🐟

最近の記事

味噌汁の正解

栄養の偏りのせいか、濃い味のせいか。外食続きで味覚が鈍りつつある今日この頃、味噌汁の正解が分からない。 いや、こんなのは言い訳で、かねてよりずっと分かっていない。 実家の豚汁は好きだった。恋人が土井善晴の動画を見て作った、卵の入った具沢山の味噌汁も美味しかった。広島の定食屋で飲んだ粕汁は芯から体があたたまった。 それなのに、美味しい味噌汁がわからない。 食べておいしいと思うことはあっても、作るとなるとどんな味を目指したらいいのか皆目分からなくなる。美味しいと思う味噌汁

    • ねごと

      夜中、寝られないでいたら彼が突然話しかけてきた。 「鉄のフレームワークが。」 「鉄のフレームワーク?」と聞き返すと、 「ちょっと別のところになった。」とのこと。 寝言だった。彼は建物の設計をする仕事をしている。大事なアイデアかもしれないので携帯にメモしてラインで送っておいた。 わたしはそのあともしばらく眠れずにいた。彼はこちらに背中を向けて寝息を立てている。 そろそろ羽毛布団をしまいたい、4月半ばの真夜中。ゆっくりと電車が走る線路沿いの幸福なワンルーム。 彼が今度は

      • 会えない仲間

        共同運営で回しているカフェで、先月からときどき店番をしている。今日はそこで開かれたイベントの手伝いをした。去年の11月に亡くなった運営メンバーの追悼イベントがあったのだ。 わたしは昨秋まで広島にいて、カフェに通うようになったのはこの春だ。だから、亡くなったメンバーには会ったことがない。ただ、みんながそのひとのことを懐かしそうに話すのを何度も聞いたし、そのひとが長い時間を過ごした場所に同じく入り浸っているわけで、赤の他人とは思えないのだった。 追悼の気持ちを込めて作られたz

        • つながってつながって

          よく行くお店でFishmansの曲をかけてもらった。店番をしている友達とは音楽の趣味が合い(友人がとても幅広く聴いているから、必然的に重なる部分があるというだけかもしれないが)、おしゃべりしながら流す曲を決めたりすることがままある。 このお店には店長がいない。もともとの店主は震災を機に東京を離れた。同時に店もたたむはずだったのだが、あまりに良い場であり良いコミュティであったため、惜しむ声が多数あがり、常連たちで共同運営をすることになった。それぞれ本業を持つメンバーがボランテ

        味噌汁の正解

          端正な建築

          彼は来週仕事関係の資格試験を受ける。一級建築士の免許を持っていて、それがあれば本来事足りるが、会社は何故かその資格を取るよう勧奨しているらしい。 さすがに勉強も大詰めで、今日は家で過ごした。彼が机に向かう間、わたしはごろごろしながら本を読む。勉強しないと受からない試験で焦りはあるものの、ないと困る資格ではないせいかちょっと身が入らない様子であった。私は気がついたらいびきをかいて寝ていて、彼のやる気を削ぐのに一役買ってしまった気がして反省している。 試験とは関係ないのだが、

          端正な建築

          生活と尺度

          好きな人と暮らす想像をすると幸せだ。 ゆっくり進めていこうねと言いつつ、不動産屋さんの前に貼り出された間取り図をふたりで眺めたりするのは楽しい。 一方で、はたと不安になることがある。 わたしのような役立たずと暮らして彼が苦労しやしないかと。 わたしはそこそこおおらかで悪くない人間だと思う。ただ、家事とかお金のこととか、現実的な問題に滅法弱い。 家の中に魔窟を形成するレベルで片付けられない 貯金はない ときどき寝込む 休みの日は夕方の3時まで寝てる 掃除機の音が嫌い 料理

          生活と尺度

          背中に葉っぱ

          付き合って1ヶ月足らずの恋人と調布に行った。 駅前の商店街を散歩したあと、バスに乗って深大寺へ向かう。 賑やかな駅前と打って変わって、お寺の周りは深い緑の匂いに包まれていた。 小さい頃鳥取でよく歩いた樗谿公園と同じ匂いがして、懐かしかった。植物が呼吸をするにおい。 きれいな芝生の生えた小高い岡を見つけて、ふたりして思わず駆け上がった。そのまま芝生に大の字で横になる。 空と雲だけが見えた。右を向けば恋人がいて、左を向くと虫取りに勤しむ子供たちの姿が現れたり消えたりする。

          背中に葉っぱ

          エビが嫌いだなんて嬉しい

          一緒に出掛けた友達と、遅い昼ご飯を食べた。 私はトマトと海老のパスタを、彼はしらすのジェノベーゼを頼んだ。 お店の人が気を利かせて小さな取り皿をくれたので、ちょっとだけ分け合って食べる。 ぷりぷりの海老をおすそ分けすべく皿に盛ろうとすると、 「あ、僕エビだめなんです。」と止められた。 思わず「そっか、知らなかった~!」と返したら 「当たり前ですよ。一緒にご飯食べるの初めてじゃないですか。」と笑われてしまった。 私も一緒に笑った。 私の笑顔には、彼のことをちょっとだけだけれ

          エビが嫌いだなんて嬉しい

          そこここに、いる

          おばあちゃんの家で食べるお手製の糠漬けがすごくおいしかった。 でも、おばあちゃんが亡くなって家を引き払うごたごたのなかで、糠床は行方不明になってしまった。あれを引き継げていたらと今でも思う。あの糠床があれば、いまも食卓におばあちゃんがいたのに。あるいは金柑の煮方を教わっていたらお正月には会えたのに。 古本屋の棚に、蔵書印の押された本がずらりと並んでいた。もうこの世にはいない誰かの追った文字をわたしも追う。 友達がすすめてくれた曲を聴く。友達にそのバンドを教えた人は、いつま

          そこここに、いる

          近の況

          あまりインターネットでおおっぴらにしたくはないのですが、番組制作のディレクターをしています。 黙々と淡々といい番組を作っていたいので、仕事のことを書くのはあまり気が進みません。 ただ、最近わたしのツイートが荒れに荒れているのを心配して、何人もの方が連絡をくれました。 ここ数日仕事をするなかで気持ちがずいぶん楽になる出来事があったので、ご心配くださる方への近況報告を兼ねて記しておこうと思います。 広島に恋人がいたころ、早く東京での勤務を終えたくて仕方がありませんでした。3

          好きだから別れた

          この前の投稿でこの恋について書くのは最後にしようと思ったのに、あとからあとから書きたいことが出てくる。  とはいえ、ずいぶん泣かなくなったし、わたしはわたしの楽しい日々を生きている。 いつだったか海外にいる先輩が、愛の感じ方には何類型かあるんだって。と話していた。 感じ方というより、確かめ方というのか。 スキンシップ 一緒にいる時間 言葉 その他諸々あった気がする。 わたしは自分がどれに該当するのか、てんで見当がつかない。言葉で愛してるとかは言われなくてもよくて、わた

          好きだから別れた

          供養🙏記憶の切れ端

          zineにしようとしてやめた文章をアップします。 ここに書いてあることを全て忘れても、 彼といた時間は確かにそこにあったし、 私のなかから消えることはありません。 私は今の私が好きです。 彼との時間を経た私が。 ありがとう。 ***************** 記憶の切れはし たとえば サラダの野菜で描いてくれたかわいい顔 少し欠けたミスドのカップに注いでくれた豆乳ラテ 80本入りの線香をH&Mの前で半分こしたこと ゆですきたスナップえんどう ずぼんの裾をち

          供養🙏記憶の切れ端

          만약 잘못이 있었다면 間違いがあったとすれば

          잘못(チャルモッ)。過ちとか、間違いと訳される単語だ。 韓国語で最初に習う「ごめんなさい」は미안해요(ミアネヨ)だけれども、自分が悪かったなってときには제가 잘 못했어요.(チェガ チャルモッテッソヨ)もよく使う。自分に過ちがあった、自分がうまくできなかった。ドラマの字幕では、「僕が悪かった」とか「ごめん」って出てる。 なにかがうまくいかなかったとき、失敗したときにも잘못が登場する。 잘 못 알아들었어요(チャルモダラドゥロッソヨ). よく聞き取れませんでした、とかね。

          만약 잘못이 있었다면 間違いがあったとすれば

          悲しくてかっこいい人

          悲しくてかっこいい人。 イ・ランのエッセイ集だ。尾道の小さな本屋でこの本を手にして、マルチアーティスト イ・ランと出会った。後にライブでサインをもらって宝物みたいに大切にしている。 悲しくてかっこいい人。 表題作の内容を、すぐには思い出せない。でも、この言葉の響きがとても気に入っている。 悲しくてかっこいい人。 幾人かの愛しい友達の顔が浮かぶ。 半年くらい前まで思い合っていた人の顔も浮かぶ。 悲しい。 彼の気持ちが離れてしまったことが悲しくて、彼を悪者にしたくなった。 

          悲しくてかっこいい人

          【歌詞翻訳】真夜中を飛んでゆく

          깊은 밤을 날아서 真夜中を飛んでゆく イ・ムンセ 우리들 만나고 헤어지는 모든 일들이 ぼくらの出会いと別れなんてみんな 어쩌면 어린애들 놀이같아 子供の遊びのようなものなのかもしれない 슬픈 동화속에 구름타고 멀리 날으는 悲しい童話で雲にに乗って飛ぶ 작은 요정들의 슬픈 이야기처럼 小さな妖精たちの悲しい物語みたいに 그러나 우리들 날지도 못하고 울지만 だけど僕らは飛ぶこともできずに泣く 사랑은 아름다운 꿈결처럼 愛は美しい夢のようで 고운 그대 손을

          【歌詞翻訳】真夜中を飛んでゆく

          ゴミと美学

          彼氏だったひととの思い出をゴミの日に吐き出して、いくぶんか部屋で息がしやすくなった。 それでもひとりでいるのは心細く苦しく、昼過ぎに起き出してから夜中まで下北沢で過ごした。客同士あれやこれや話せる店に、ずいぶん長居してしまった。 居合わせたFさんという男性と、美学の話をした。 美学の始まりは、嫌いなもの・許せないものがあることで、それを削ぎ落とした先にその人にとっての美しいものが残るという。 わたしには美学なんてない気がして、それにこだわるあまり人生のバランスを崩したことも

          ゴミと美学