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交代の日

#10年前の南極越冬記  2010/1/24

ちょうど10年前になる。当時、僕は越冬隊員として南極にいて、こんなことを書いていた。

◇◇◇

気が付けば越冬交代まで残りあと一週間を切った。越冬交代式を済ませた後は、僕らは住み慣れた昭和基地を離れしらせへと移る。僕を含め何名かは、越冬交代後も観測や設営作業の都合で51次からしらせが離岸するまでは基地に残って欲しいという要請があり、しらせでは無くて今51次隊が住んでいる夏宿舎へと引っ越すことになっている。越冬交代以降は、観測や建物の管理はもちろん食事や安全上のルールに至るまで、今度は僕ら50次が51次のお世話になる番だ。

一時は接岸断念を検討していたしらせも、土壇場での踏ん張りで、1月10日深夜に昭和基地の見晴らし岩沖に接岸した。弁天島以南の海氷がそんなに厚くはなかったのか、ほんの数日前まで遅々として進まなかったしらせが、本当に最後の最後で一気に昭和まで来た、という感じだった。

しらせが接岸してくれたおかげで、半ば諦めていた自衛隊ヘリによる夏の観測オペが空輸の合間を縫って組まれることになり、地圏部門でも越冬中には中々行くことができないリュツォ・ホルム湾の奥にある優先順位の高い観測点を中心に観測を行うことになった。昨日までもルンドボークスヘッダという、白瀬氷河のすぐ脇にある沿岸露岩地帯に行ってきた。今日の夕方からはスカルブスネスへと発つ。

僕にとっては本当に南極で最後の野外オペになる。名残惜しいけれど、夏の南極を存分に目に焼き付けて来ようと思う

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