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桜の思い出

私の父は兵庫県姫路市出身で先祖代々のお墓は姫路にあります。
7年前の春。1人でお墓参りに行った時の思い出。
お墓は中心部からちょっと離れたところにあって、家族と来ていた頃は駅からタクシーを使っていましたが、この時は貧乏一人旅。
節約でバスを利用。ところがバスは1時間に1本だったのです。

やばい、やばい、しゃべっているうちにバスの時間がいよいよ迫ってた
53分!!!あと3分!走った〜!
息切れしつつバス停につくと、女性が2人バス停にいた
ってことは間に合った!ラッキー!
そこへもう一人70代くらいの女の人が来たので
このバスは姫路の駅にいきますよね?
と聞くと
「行きますよ、前は53分発やったけど、今度58分になった」
え!58分!社務所の時刻表は古いやつだったんだ!さらにラッキー!
「こっちの方が遠回りやけど、遅れないんで」
遠回りなんですか?
「そう、ちょうど終点の商業高校がそこやから折り返してくるんでほとんどおそくならんで」
遠回りだろうとなんだろうと1時間に1本のバスに乗れればとにかく駅に戻れる。
それからバスか徒歩で北上してお城に行こう!
その人がバス事情について解説してくれているとバスが来た。すると、、
「あんたここ座る?」
と、2人がけの席の奥に彼女は座った
あ、じゃあ、失礼します。と隣に座った。旅は道連れだし
するとその人は言った。
「昼間は誰ともしゃべらんから、、」
お独り住まいなんですか?
「ううん、息子はおるけど仕事にいてもうたら一人やし」
そうですか、ではお話ししながら行きましょう。

それから、ここの山から鹿がでる話、新しくできた道路が既存の道とほとんど変わらない場所にできたから、それぞれを一方通行にした話
色々教えてくれた。楽しかった。彼女も楽しそうに話してくれた。
私も東京からお墓参りに来た話などしていたら車窓に桜並木が見えてきた

あ!桜きれいですね!
「そうそうここがお堀やで、ずーっと桜が続いとる」
ん?お堀?え!ここお城ですか?
「そうや、そこがもうお城や」

遠回りってそういうことか!駅に近い路線はダイレクトに駅に行くけど、このバスは西側からわざわざ北上して
城の北側から南下してくる路線だったんだ!
ってことは!

私、お城に行くんですけど、じゃあここで下りればいいんですか?
「そうやそうや、あんたお城にいくんか!次で下りたらええ」
私はあわてて降車スイッチを押して立ち上がろうとした。すると
「まだや!ほれ見てみい」その人は私の肩を叩いて指差した
その時バスは大通りをゆっくり右折、そして左側からど真ん中にお城が見えた
お城だ!
「きっれいやろ?ええ時にきたな〜桜も満開や」
本当です!おじいちゃんに呼ばれました
「ほんまや!おじいちゃんに呼ばれたな」うれしそうだった
ありがとうございました!
おかげで駅までもどることなくお城の目の前で下車!なんたるラッキー続き!
その人は窓越しに笑顔で手を振ってくれた。

私も手を振りながら思った
ありがとうございました。おじいちゃんが呼んでくれました。ベテランのバスガイドさんも!

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