Bounty Dog【Science.Not,Magic】16
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白鼬族は本能的に薄情だった。鼬の亜人は助っ人が負けると判断するなり、逃げる隙が無いか画作し始める。
獣犬族は”己が認めた存在”に対しては情が厚い。膝から崩れ落ちて泣き喚く眼前の人間を、理由は謎だが哀れに想ってきた。
『ヒュウラ、逃げようとしている保護対象(ターゲット)を早く捕まえなさい』
棒立ち無表情でカイを見下ろしているヒュウラに、シルフィが首輪の中から命令してきた。ヒュウラは無表情のまま、背を向けた鼬を見ながら一、二歩、足を動かす。
直ぐに邪魔が入った。カイが泣きながら足にしがみ付いてくる。しがみ付いたモノが即死キックを放つ凶悪な足だと知らない無知で無謀な人間の少年は、宝物の本を紙束の欠片と粉にした"クソ犬野郎”に怒りをぶつけた。
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