◯はじめに

　一人で映画を観に行くのは楽しい。たいていは一人で映画を観に行く。ただ観終わった後が辛い。下りのエスカレーターが辛い。帰りの電車が辛い。自宅の沈黙はいちばん辛い。 

　劇場の出入り口へと流れていく列の中でしきりに周囲を見回している男性がいたことを思い出す。わざとらしく歩幅を縮める女性がいたことを思い出す。「やっぱ無印っすよね」とか「オチ投げ過ぎですよね」とか「あそこキューブリック意識してますよね」とか、何でもいいから彼らに一声かける理由が欲しかった。声をかけていい空間が欲しかった。 

　というわけで、作りました。

　観る、飲む、語る、の三項が美しい正三角形を成す映画館＆バー、その名も「第8電影」。上映もやります。お酒も出します。スタッフもじゃんじゃん喋ります（詳しくは次項）。

◯「第8電影」でできることの詳細

・観る
　映画館なのでもちろん映画が観られます。他のどこでも観ることができない自主映画を中心に上映予定。全席自由。料金は作品によって都度異なりますが、500〜1500円ほど。バーでのワンドリンクが含まれたお得なセット割もあります。

・飲む
　バーなのでもちろんお酒が飲めます。多種多様なアルコール・ソフトドリンクを取り揃えております。中でもオススメは映画作品をモチーフにした「映画カクテル」。お昼はカフェ営業もいたします。

・語る
　バーなのでもちろん心ゆくまで映画を語り明かすことができます。我々スタッフやお隣のお客さまとはもちろん、上映作品の監督や出演者とも自由にご歓談いただけます。「あそこにいる人、ちょっと気になるな」と思ったらスタッフまでお気軽にお声がけくださいね。

・上映する
　本館は「映画を上映したい！」という気鋭の映画クリエイターの皆さまを応援すべく、少額の上映料で皆さまの作品を上映させていただきます。
　上映時間・上映期間にも厳しい縛りはありません。数分程度の短編から一夜限りの上映まで、フレキシブルに対応いたします。もちろん、実際の上映環境で画面・音声の細かいパラメーターチェックを行うことも可能です。
　上映を希望される方はお気軽に下記連絡先までご連絡ください。

・その他イベントを催す
　上映以外のイベントも承ります。バースペースを活用した講演会や読書会等を開くことが可能です。場合によっては貸切予約も可能ですので、お気軽にご相談くださいませ。

◯「第8電影」店名の由来

　20世紀初頭。映画は自らを建築、絵画、彫刻、音楽、舞踏、文学に連なる「第七芸術」なのだと大見得を切りました。それが実際のところ成功を収めたのか否かは何百年後かの芸術史の審判を待つとして、映画という媒体は依然として我々の娯楽活動の割と中枢に位置しているわけです。 

　とはいえ映画をめぐる作り手と受け手の関係はあまりにも一方向的なのではないかと思います。作り手は作品の中で好きなだけ好きなことを言えている一方で、それを観る受け手が何かを語る機会はとても少ない。 

　先にも述べた通り、当館は皆様にその「機会」を提供できればと思っています。気の利いた批評でなくても、たった一言、「あれよかったよね」と口に出せる機会があること。作り手が好き勝手やってるんですから、こっちも好き勝手やっちゃいましょうよ。

　作り手と受け手が等価になって相互に関係し合う空間。これってもう従来の「第七芸術」の枠組みを超えちゃってんじゃね？もはや「第八芸術」なんじゃね？

　･･･そんな傲慢から当館は「第8電影」と名乗り上げることと相成りました。この目論見が成功を収めるのか否かは我々スタッフの努力と皆様の温かいご声援にかかっています。

　皆様に気に入っていただけるよう精一杯努力いたしますので、どうか何卒「第8電影」をよろしくお願いいたします！！

◯アクセス

埼玉県川口市栄町リーヴァ第一ビル2F

◯映画館＆バー「第8電影」各種連絡先

Mail: film8th@gmail.com
Twitter: @film_8th
Instagram: @film_8th

文章：岡本因果（第8電影支配人）