「食べる」ことは自然の恵をいただくこと
『フード・インク』を見た。2008年にアメリカで公開された映画なので見た人も多いだろう。アメリカのドキュメンタリー映画だけれど、農業が工業化されて、私たちが食べ物を口に運ぶまでのプロセスに潜む問題点を農場、農家への取材を通して明らかにしている。
食べられるために作られる農産物。命あるものは、食べるためだけにこの世に生を受けたのだろうか?
最近、美味しいと感じるのはいわゆるジビエと呼ばれる肉だ。食べるためだけに生まれてきたわけではない。生を受け、日々自然の中で必死に生き、縁あって食卓にやってきた肉の美味しさは、決して食肉用に育てられた家畜では味わえない、生命の香りがする。
そんな肉を口にすると、都会のレストランにいながらも自然とのつながりを感じることができる。自然の恵みに感謝しながら、食事を楽しむ。『いただきます』という言葉がふさわしい瞬間だ。
農業が工業化したからこそ、私達は安価に食べたいものを安定的に手に入れることができる。理解はしているのだけれど、やっぱり農業は農業。工業は工業。自分の口にするものが、どういったバックグラウンドで運ばれてきたのか、意識を高める良い映画だった。
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