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92歳 三石巌のどうぞお先に 23

三石巌が1994年から産経新聞に掲載していた「92歳 三石巌のどうぞお先に」の記事を掲載させたいただきます。(全49回)


スカベンジャーのとりかた

活性酸素に負けない量をとる

 ボクが使っているスカベンジャー(成人病や老化の元凶とされる活性酸素をしまつしてくれる物質の総称)は低分子化したフラボノイドだけじゃない。がんにも脳卒中にも心不全にも腎(じん)不全にもなりたくないし、なりゆきの老化はいやだ。
 だから活性酸素にたいしては万全のそなえをしているつもりなんだ。その中心になっているのがフラボノイドってことさ。
 そんなとくべつなものでなくたってフラボノイドがとれるといいんだけれど、そうもいかないんだな。カシをかえるほうがりこうだと思うね。つまり、フラボノイドでないものに目をむけろってことだ。
 たとえばお茶だね。お茶のしぶみのもとはタンニンだ。それはポリフェノールのなかまでカテキンともいう。こんな用語をならべるのは、新聞や雑誌にそういうことばがでても気分をわるくしないためだ。老婆心みたいなものさ。
 お茶のカテキン分子は温度がたかすぎるとあつまって大きくなる。そうなったら腸のかべがとおりにくくなっちゃう。こんなことになったらせっかくのスカベンジャーがだいなしだ。けっきょく、あついお湯でだしちゃいかんってことなんだ。茶道でもそんなこというんじゃないかな。
 これはいいお茶の話だ。ほうじ茶や紅茶にはカテキンはないんだから、熱湯でどうぞ、といっておく。
 ポリフェノールはゴマにもある。ゴマのポリフェノール分子はほうじるとふたつにわれる。だからゴマはほうじるにかぎる。スカベンジャーの分子数がふえるわけだ。
 活性酸素とスカベンジャーとの戦いは分子と分子の一騎打ちだ。スカベンジャーの分子数は活性酸素の分子数よりおおくなければまずいんだな。
 このことをあたまにおかずに、ニンジンをたべています、ゴマをとっています、お茶をのんでいますなんていっても、だめなんだ。活性酸素にやられないためには量でまけないようにしなけりゃ。
 ボクはどうしているかって?フラボノイドとポリフェノールをまぜたものをじぶんでつくって使っている。活性酸素のでそうなときにはたくさんとるってぐあいにだ。
 まえにかいたことだが、ボクは活性酸素のことを知らないときからメガ(大量)ビタミン主義だった。それがよかったんだ。ビタミンはAもB2もCもEもスカベンジャーなんだ。

三石理論研究所


三石巌
1901年 東京都出身
東京大学理学部物理学科、同工学部大学院卒。
日大、慶大、武蔵大、津田塾大、清泉女子大の教授を歴任。
理科全般にわたる教科書や子供の科学読み物から専門書にいたる著作は300冊余。
1982年 81歳の時、自身の栄養学を実践するために起業を決意し、株式会社メグビーを設立。
1997年 95歳で亡くなるまで講演・執筆活動による啓発につとめ、
生涯現役を全うした。


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