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お客様インタビュー・原朋直さん(ジャズトランぺッター)その3「ジャズは人生、人生はジャズ」

この記事は前回の続きです↓

お隣
生きるためには嘘も必要というお話は、目から鱗でした。

原:
あとは運です。僕は運がよかったと思う。
ミュージシャンがたくさんいる東京でなく、名古屋という小さなコミュニティで育ててもらった。実力もないのに偶然が重なって若いうちからいいポジションにいたから、いじめもありましたけどね。
でも名古屋で月に八本くらいライブさせてもらって、鍛えられてレパートリーも増えました。

東京から来る大物ミュージシャンと打ち上げで会って親しくなったり、僕は日野 皓正さんはさすがに知っていたけど、あとはすごい大物でもよく知らなくてへらへらしゃべってたりして…それが柏に帰ってからの人脈になった。

ニューヨークに行った時も、雑誌の取材でほんの少しだけ近しくなったウィントン・マルサリスの自宅にずかずかと乗り込んで仲良くなった。
彼がニューヨーク・タイムズのインタビューに
「アジアにはトモナオ・ハラがいる」
って答えてくれたり、ビルボードに写真付きで紹介してくれたり、企んだわけではないけどすごく恵まれていました。

佐渡裕さんとの出会いも大きかった。
僕は下手だし、音大で理論を勉強していないから専門用語を知らなくて、ミュージシャンって高学歴が多くて教養も高くて、頭がいい人が多いんです。
彼らが何言ってるのか全然分からないから、プロになってからもいろいろな人に教えてもらって、元N響の佛坂咲千生さん、ジャズ・ピアニストのユキ・アリマサさん、そういう人たちに出会えたのも運だと思います。

今は大学で教えて、ジャズEMPでジャズを社会的に認知してもらう活動をして、自分のレーベルで作曲と演奏に命をかけてます。命をかけて遊んでる。50代に入ってやっとトランペットが吹けるようになった感覚があるんです。

TOMONAO HARA GROUP

お隣:
えっ、吹けるまでに四十年かかるんですか?

原:
最近やっと口の筋肉、体の全体バランス感、メンタル、気温や湿度…いろいろなことが統合されて、短時間で思い通りの音にたどり着けるようになりました。
ヨガや禅にも通じる感覚だと思う。これからますます深く楽しめる予感がします。だから、僕みたいに何事もトロくて時間がかかるのも、いいですよ

実際ミュージシャンには若くしてものすごく上手で、20代で老成しているようなセンス抜群の人っているんです。そういう人が羨ましかった時期もありますけど、それはそれで苦しみもあると思う。

僕はもともと不器用で、頭もよくなくて、すぐに壁にぶち当たる。でも限界を感じたときに素直に人に聞いたり、勉強したのは大きかった。そこでいろいろ吸収したから、つまらないミュージシャンにならなかったと思うんです。
それにね、よくいじめられはしたけど、人生で理不尽な目に遭うのは悪いことばかりじゃないとも思うんですよ。大きな挫折がないまま来ちゃうと、いい年になってからすごくきつくなる。だけどいじめられっ子は人間の裏側を知ってる。これは大きな強みです。

お隣:
いじめられっ子は、深く考えますからね。

原 :
実は、僕はもともと大概のことはバカバカしいと思ってます。ほとんどは命に関わらないんだから、雑音は無視してやりたいことをやればいいやって。
自分が楽しければいいっていうと刹那的に聞こえるかもしれませんけど、
人生は他人や社会の言うことじゃなくて、自分が本気でやりたいことをやればいいだけ。
人生の軸になるものを見つけて、それを守るだけ。軸を世間体とか、お金にしない方がいいですね。なんか、もっとグッとくるものを見つけるのが大事だと思う。

学生についても、あまり心配していません。真剣にジャズが好きなら勝手にやり続けるでしょう。楽しみながら試行錯誤して、その結果成長できるでしょう。
でもジャズっていう何かかっこいいものを使って有名になりたいとか、キラキラしたい…という動機なら、いずれ辛くなるしやめちゃえばいいのに(笑)。

好きなことを実行するのが怖いっていう人もいますけど、もし失敗してもね、本気でやってダメだったら、その経験は宝ですよ。次につながる。もっとよくなるための足がかりが出来ただけなんです。だけど人からやらされたり、いやいややっていたことで失敗してもね…そこには学びも発見もないでしょ。

だからこそ本気でやりたいことを見つけて、さっさと実行しましょう。失敗っていう宝を集めましょう。年齢は関係ないです。
僕の生徒で40代、50代からトランペットをはじめた人たちも少なくないですが、とても楽しそうだし、はじめは箸にも棒にもひっかからなくても驚くほど上達したりします。
嘘は他人についても自分につくな、僕の言うことも信用するな(笑) 。ね、人生もジャズもどうなるかわからないから、瞬間、瞬間、面白いんですよ。
(2022年収録)

トランペット(YTR-8335GH / ヤマハ原朋直モデル)
右上が最新作「A STORY OF WIND AND CLOUDS」

原朋直 
ジャズトランペット奏者/作曲家/バンドリーダー/洗足学園音楽大学教授。
1966年生、co-leader作品も含め、現在まで20枚以上のリーダー・アルバムを発表する。
東京証券取引所を中心に展開する金融とジャズの融合イベント『Jazz EMP』音楽監督。

Official site: https://tomonaohara.com
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Gaumy Jam Records(ゴミ・ジャム・レコード)
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