しばらく休み

大学での警察史研究を通して、警察行政史にハマったアマチュア学者。卒論では大正期における…

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大学での警察史研究を通して、警察行政史にハマったアマチュア学者。卒論では大正期における外勤巡査の勤務実態を分析しました。 もうすぐ社会人... 治安政策・警察行政史研究について、思うことや論考を繰り広げていきたいです。ここでの意見は、いかなる組織や団体等とは関係ありません。

最近の記事

警察史研究(史料編3)

はじめに 前回は、巡査の日記や記録などを挙げました。史料数は少なく、警察史研究がなかなか進まない要因にもなっています。  今回は卒論を書くにあたって、どのような史料を用いたのか紹介していきたいと思います。 警察規則・令類纂 警察史料で最も多く見られるのは巡査の勤務ルールや所掌範囲が記された規則、類典です。国立国会図書館はじめ、地方の図書館にもあることが多く、愛知県図書館では『愛知県警務類集』上・下巻(愛知県 1897年)や『愛知県警察類典』(愛知県警察部 1909年)、

    • 警察史研究(史料編2)

      はじめに 前回は、雑誌や新聞などをみていき、外勤巡査の史料が少ないと述べました。そこで今回は、派出所や駐在所の外勤巡査の活動実態を示す史料の例をあげていきます。 末端警察史料行政警察と外勤巡査  1885年、内務省警保局が編纂した警察執務に関する参考書『警務要書』下巻には、警察行政の所掌がまとめられています。そこには、安寧警察、宗教警察、衛生警察、風俗警察、営業警察、河港警察、道路警察、建築警察、田野警察、漁猟警察と、幅広い所掌分野が記されています。  戦前の警察は事

      • 警察史研究(史料編)

        はじめに 今回は警察史料、当時の文献を紹介していきたいと思います。今まで先行研究にどのようなものがあるか語ってきましたが、やはり重要なのは史料ですよね。史料がなければ歴史学は何もできませんから。  2月19日、警察史料に関する進展がありました。1891年、来日中であったロシア皇太子のニコライが、警備中の巡査、津田三蔵に切りつけられた「大津事件」に関する新史料が発見されたのです。 ロシア皇太子負傷の「大津事件」、斬りつけた津田三蔵関連の80人の証言集など新資料見つかる : 読売

        • 警察史研究(警察OB編)

          はじめに 今回は、警察史研究の中でも、元警察官による研究に焦点を当てて紹介していきたいと思います。  警察史研究に関する書籍、論文に目立つのは、警察OBによるものです。その理由も含め、1980年までの警察史研究の概要は、一橋大学名誉教授の渡辺治「警察関係資料文献紹介」(同著作集3巻『戦後日本の治安法制と警察』旬報社 2021年所収)が戦前、戦後の警察研究を詳しく扱っています。 今回は渡辺氏が挙げた書籍の中でも自分の研究に用いたものと、80年以降のOB編をまとめていきたいと思

        警察史研究(史料編3)

          警察史研究の現状(公的機関編)

          ・はじめに 2024年1月15日、警視庁は創立150年を迎えました。 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/150th/index.html 現在、当たり前のように街中に設置されている交番の制度も、当時とは形式は異なるものの、同じく150年を迎えるのです。  普段街を歩くだけで、パトカーとすれ違い、警察官を見て、交番の前を通り抜けてと、まあ見ない日はないといえます。関わりたくない方もいらっしゃるものですが、私たちの生活に常に

          警察史研究の現状(公的機関編)

          警察史研究(歴史学・政治学)・歴史研究の新展開

           はじめに  今回は、前回まとめた大日方氏、荻野氏以外の研究、主に私が先行研究であげたものを見ていき、さらに今後の展開もまとめたいと思います。今回は文字数の関係から写真は割愛しました。 先行研究で用いた歴史研究歴史学  卒業論文を書くにあたって取り上げた、歴史学の研究の一部を挙げていきたいと思います。そこで、ここでは対象とした大正デモクラシー期の警察行政を概括しながら取り上げていきます。  1905年、日露戦争を経てポーツマス条約を結ぶことになったことをきっかけに、それに

          警察史研究(歴史学・政治学)・歴史研究の新展開

          警察史研究(歴史学二大巨頭編)

          はじめに さてさて本題と言ってもいい、自分が身を置いた歴史学の分野にたどり着きました。法学の分野では前回まとめたように、多くの学者によって警察が研究されてきました。しかしその対象は、特高警察や警備公安警察に集中することが多かったのです。  1980年、政治学者の渡辺治氏は、歴史学者、大日方氏の論文をあげて「本格的研究のきざしがみえている。」と述べています。(渡辺治「警察関係資料文献紹介」同著作集3巻『戦後日本の治安法制と警察』旬報社 2021年 385頁) このように警

          警察史研究(歴史学二大巨頭編)

          警察史研究(法学・社会学編)

          はじめに 警察研究で、最も書籍を出している分野は法学といっていいでしょう。刑法や警察法、警察官職務執行法など、警察を創置することや、警察官一人ひとりの活動、犯罪を摘発をするにしても、その基幹には法があります。警察は法を守り、また法を武器に犯罪に立ち向かうのです。というので警察研究でもっともメジャーなのは法学というわけです。  法学、中でも刑法や刑事訴訟法、少年法などの分野は膨大な研究があり、その一部として警察が出てくることが多く、とてもここでは書ききれないため、今回は警察その

          警察史研究(法学・社会学編)

          自己紹介:自称警察史研究者

          はじめまして。自称警察史研究者です。 大学での警察史研究にハマり、今後ここで思うことや論考を繰り広げたいと思います。 大学では歴史学を専攻し、警察について研究していました。卒業論文は、大正デモクラシー期の警察行政・外勤巡査の勤務実態を分析しました。 職業:今年から公務員。 趣味:古本屋巡り。卒論執筆後も「警察」という文字が入った本は欠かさず買ってしまう。 皆さんは警察に対してどのようなイメージを持っていますか? 少し古いですが、平成16年に行われた内閣府の調査、「警察

          自己紹介:自称警察史研究者