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#10 おじさん、中亜料理を作る

バスマティライスを買った。
いわゆるタイ米、香り米、インディカ米と呼ばれる長粒種の米だ。世界で食されている米の80%はインディカ米らしい。怖いな。いわゆるジャポニカ米とは異なり、粘り気が少なくパラパラしやすい。

米講義は置いておいて、業務スーパーに置かれていたバスマティライスに一目惚れ(ややこしい)してしまったので値段も見ずに買った。1kg800円程度だった。10kg8000円と考えると高い。これは失敗したくないと思った。高い金を払って失敗すると当分立ち直れない。

かねてより中央アジア料理に興味があったので、「プロフ」という料理を作ってみることにした。

プロフ(料理)


プロフはいわゆる「ピラフ」だが、炊き込みご飯にする調理法は洋の東西を問わず存在し、地域によって手に入る食材が異なることからそれぞれ微妙に違ったものになる。因みにプロフという名前はロシアやウズベキスタンで用いられている。今回作ったものはウズベキスタン風なので分類としては中央アジア料理に分類できる。

どこでこの料理を知ったのかも曖昧だったが、おそらく「乙嫁語り」3巻だろう。姉上が好きなのだ。大鍋に溢れかえる米に皿で蓋をする光景はなんともそそるものだ。ストーリーに関してはノーコメントだ。

とりあえず雪かきで「運動をした」という大義名分を得たおじさんはおじさんにしては若めなので、未来さんに怯えながらもプロフを炊く。


おじさんのプロフ


すごい色。

材料(2~3食分)

バスマティライス   1合(180g)
羊肉        200g
ニンジン       1本
玉ねぎ        0.5個
にんにく       4~5片
水          300cc
クミンシード     小さじ1
ターメリック     小さじ1
塩コショウ      少々
牛脂         1個

作り方

1.米を60℃程度の湯に浸して吸水させる。
2.ニンジンは細切り、玉ねぎは薄切りにする。
3.羊肉を一口大にカットする。
4.大きめのフライパンに牛脂を引き、肉を炒める。
5.肉を取り出し、玉ねぎとニンジンを炒める。
6.玉ねぎが色づいてきたらスパイスと塩コショウを馴染ませる。
7.水と肉を入れて煮立たせ、湯を切った米を加える。
8.にんにくを米に埋め込み、蓋をして弱火で10分炊く。
9.火を消し、20分蒸らして完成。


プロフについて

おじさんは中央アジアの民ではなく、長粒米を料理したのは始めてだったので、レシピはこれこれを参考にした。まだ改良するかもしれない。

蓋を開けるとスパイスの香りが迸り、しっとり炊きあがった米はあまりに粘りがなく「本当にこういうものなのか」と逡巡させるものがあった。本当に箸で食べられないほどパラパラなのだ。
余談だが、この魔法の米を使えばチャーハンが簡単にパラパラに仕上がるはずと思い、ダイエッターとしての理性を捨ててチャーハンを作る予定がある。おそらくまたバチが当たる。人間は愚かである。

通常、日本式の炊き込みご飯には砂糖や味醂などの甘みが入るが、プロフにはそれらがない。肉を使っているのに意外にあっさりとした口当たりだった。ニンジン玉ねぎから出た自然な甘さと香り、ターメリックとクミンシードは食欲をそそる。プロフのためにわざわざ揃えた甲斐があったというものだ。

本来は羊の油を使いたかったが都合できなかったので代用に牛脂を使った。ラードでも良いかもしれない。脂質と米はやはり相性がいい。バクバク食べられる。材料を思い返せば絶対にバクバク行ってはいけないカロリーであることは間違いないのだが、リビングに訪れた異国情緒に我を失っていた。元からあったのかは知らないが。

そんなわけでプロフである。しかし、やはり継ぎ接ぎのレシピにはまだ改良点があるように感じる。異国の料理をなんでも魔改造することでお馴染みの日本人がまだ手を出していないことからも、常食するには気になるポイントがいくつかあった。

1.出汁を入れる
おそらく本場では骨で出汁を取ったりしているはずだ。牛骨スープの素「ダシダ」でも入れてみようか。単純にだしの素と醤油を入れるだけでも日本人好きする味にはなると思うが。

2.緑黄色野菜をもっと入れる
火を消してからピーマンやパプリカ、カブの葉やセロリなんかを刻んで入れて蒸らしてみたい。火が通り過ぎると甘みが出るが、どれも動物性脂肪と相性が良いし、香りをもっと豊かにすればもっとバクバク行けるはずだ。目方のカロリーを誤魔化せる。誤魔化してまで食べる価値はある。

3.もう炊飯器でやりたい
ガスで炊くのは面倒くさい。おこげをパリッとさせる料理でもないので炊飯器で簡単に作りたい。となると材料の下処理と投入タイミングが重要になる。ニンジンはニンジンご飯という頭のおかしい先駆者がいるおかげでそれに習えばいいが、羊肉、玉ねぎ、スパイスは少し考えなければならない。ひとまず牛脂で炒めて香りを出してから炊飯寸前に入れてみようか。しかしこの料理は仕上げにバターを落とすと美味しいのではないだろうか。もはやオーバーキルのデブ用飼料になってしまう可能性が高いが。

近々レシピを作り直すだろうプロフ、もう少し待ってから作ってみてはどうか。羊肉が手に入れば。

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