四十にして立つ(二)


スタンドアップ・パス


 子供の頃から冬になると年に一回は風邪を引いていた。
 例によって今年もまた風邪を引いてしまった。
 簡易キットで調べた限り、コロナに罹患したわけではなかったようだが、数日安静にして、ようやく起き上がる事が出来た。
 
 今回はジョン・ダナハーの「Self Mastery: Solo BJJ Training Drills 」(下記掲載の記事を参照) から「Guard Standing Up」(vol.3 0:00~)についての解説とそれに関連する話題について書いてみたい。

 Guard Standing Upで紹介されているのは、「クローズドガード」を立って割る「スタンドアップ・パス」のソロドリルである。

 最近のBJJでは「クローズドガード」が流行らないせいか、「スタンドアップ・パス」を扱ったYOUTUBE動画も少ないが、ジョン・ダナハーは「クローズドガード」を割るテクニックについては「これ一択だ」と断言している。
 私がこれまで見た「BJJの基礎」というタイトルの教則の中でも、「クローズドガード」の対処法としてはこの「スタンドアップ・パス」が取り上げられている事が多い。

 早速Guard Standing Up(vol.3 0:00~)に関するダナハーの解説をまとめてみよう。

 まず、①相手の二頭筋を両手で押さえ、②次に、(クローズドガードの中で立ち上がるために)片足(右足を例に取る)を立てたら、反対の足(左足)は外側に開いて、ベース(支え)を作る。
 ③そして、両足を立てる際、肘をなるべく膝に近付け、④腰を前に出して、背筋を伸ばす。

 ②片足(右足)を立てた際に、反対の足(左足)を外に開く点がダナハーの「スタンドアップ・パス」の特徴と言えるが、ダナハーも言うように右足を立てた後で、左足を外に開かないとクローズドガードの中で姿勢が安定しないし、立ち上がるのに必要な脚力を生み出すのが難しい。
 また、④腰を前に出して、背筋を伸ばすというのは、要するに「(自分の肩が腰より前に出る)前傾姿勢」だとボトムから簡単に前に崩されてしまうので、それを防ぐためにある。
 ⑤3:02~の両足を後ろにステップアウトする動作は、後で解説する「ダブルアンクルスイープ」を喰らわないためのmovementである。
 「スタンドアップ・パス」に⑤のmovementが必須という訳ではない。

 「クローズドガードの中で立つ」という点では、いわゆる「ニースプリット」も同じmovementを用いている。
 下に掲載した動画をご覧頂ければ、Guard Standing Upを構成するmovementのうち、①~③が「ニースプリット」と共通している事がお分かり頂けるかと思う。

スタンドアップ・パスに対するカウンター① ダブルアンクルスイープ


 さて、「クローズドガード」を立って割る、さらには「パスガード」しようとする相手に対してカウンターとして用いられるのが「ダブルアンクル(グラブ)スイープ」である。

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