下からの抑え込み

1 BJJ(ブラジリアン柔術)やMMAにおいて、「クローズドガード」はアタックポジションとされているが、本当にそうだろうか?

 BJJの稽古を始めた当時、周囲の先達と比べて(私が)余りにも弱かったので、そもそもスパーリング中に「クローズドガード」に入るチャンスすら訪れなかった。稀に先達が手加減して「クローズドガード」に入れてくれる事があったとしても、簡単に割られて「パスガード」されていたのを覚えている。
 「クローズドガード」を割られないようにするだけでも一苦労なのに、どうすればそこからアタック(特に「サブミッション」)に繋げる事が出来るのか?BJJを始めて以来、今日に至るまで「クローズドガード」に対して私がずっと抱いている悩みである。

 そして、今の私は「クローズドガードは下からの抑え込みであり、相手をクローズドガードに捕らえたら、まずその姿勢を崩して、抑え込みをキープ(維持)しなくてはならない」と考えている。

 たとえこちらが相手を「クローズドガード」に捕らえたとしても、上の動画でヘンリーが解説しているような強い姿勢を取られてしまえば、(「クローズドガード」からの代表的な「サブミッション」である)「腕十字」や「三角締」に行くことは不可能だろう。
 要するに、相手を「クローズドガード」に捕えても、彼が強い姿勢を取る事を許してしまえば、どんな「サブミッション」も間合いが遠すぎて掛からないのである。

 したがって、「クローズドガード」から「サブミッション」を仕掛けようと思うのであれば、言い換えると、「クローズドガード」をアタックポジションにするためには、相手の姿勢を「崩し」て、間合いを詰め、まずは彼を抑え込まなくてはならない。

 本稿は、「崩し」と「抑え込み」に焦点を当てて、「クローズドガードが下からの抑え込み」であるという私の考え方について述べている。

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