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[本]社会学感覚1~3章


書誌情報

もとは書籍でしたが、現在は増補されてネット上で無料公開されています。

『社会学入門 〈多元化する時代〉をどう捉えるか』(稲葉、2009)を読んだ際に、読書ガイドの一覧に載っていたので読みました。
*稲葉の本に関しては、個人的にはあまりお勧めできませんが、当該の読書ガイド一覧はとても優れていると思います。

著者情報

野村一夫先生です。國學院大學の教授をなさっていて、最近は著作がないみたいですが、メディア論が中心みたいです。いろいろ、著作を無料公開しています


感想

なんとなくで把握していた社会学の概念や重要人物の功績が分かりやすくまとまっていた。特に、概念を紹介するたびに、その都度具体例や学者名を出してくれるので、理解しやすいです。

1章

主に社会学とは何かについて説明がなされていました。これは社会学の入門書のお決まりのイントロです。

2章

社会学の対象は「社会」なわけですが、自然科学と異なり、研究対象が完全に外部にあるわけではなく、我々も対象である社会の内部にあり、さらに、社会を作っています。そこで「脱常識の社会学」や「異邦人の目」、「文化相対主義」などの用語とともに、社会学の視座を定めていた

3章

・デュルケーム型とウェーバー型を調停したバーガーを援用して
(1)社会は人間の産物である
(2)社会は客観的な現実である
(3)人間は社会の産物である
という社会学の基本的な考えがしめされていた

・物象化:人と人の間の関係がモノの性質に還元されること。大抵は貨幣が例として扱われるが、ここでは結婚→神・進化といった例もあげられいていた。

・主観的意味を対象としつつも、歴史的意味相関を意識するとういう点で理解社会学は心理学と袂をわかつ。

・プロ倫は単に、プロテスタンティズム(禁欲・天職)→資本主義ぐらいの理解しかしていなかったが、プロテスタンティズムを「資本主義のエートス(=駆動原理?)」として理解できた。特にプロ倫のまとめとして以下の二つの点を挙げていたが、2点目の視点はなかった。

一般の常識では、まず「もうけたい」という営利本能があって、そこから活発な職業活動をへて資本形成にいたると考える。ところが、ウェーバーの理論はその逆をいく。もうけることを罪悪として嫌っていたもっとも禁欲的な人びとが宗教的な動機から職業労働に励むことで資本形成への道を歩みだし、結果的に経済的合理主義を生みだしたというのだから。これは当時の常識に対してかなり意表をついていた。

第二に史的唯物論との対決という論点があった。ウェーバーは史的唯物論の基本的な考え方――「存在が意識を規定する」つまり物質的利害=経済がいっさいの歴史を左右する――をある程度は認めつつも、その限界点をつく。―(中略)―理念という転轍手が、人間の行為という列車の進む方向を決める役割を果たすことがあるというわけだ。「プロ倫」はまさにその一事例なのである。

『社会学感覚』3章

・社会をラングとパロールのメタファーで説明してるのが面白い
ラングー言語の制度ー客観的現実としての社会
パロールー具体音ー諸個人間の相互作用としての社会(=生活世界)
前者がウェーバー的で、後者がジンメル的

・参与観察:集団の内側から観察対象の内的意味世界を理解する手法として説明されていた。今までは漠然と「内部からの観察」と同じ意味で理解していたが、内的意味世界を観測するという意義づけという言語化はできていなかった。

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