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徳島から、新しい物語を。──私たちが、徳島の地域課題解決に取り組む理由

徳島の地で、徳島の人たちと対話してわかったこと

初めまして。濱上隆道と申します。
富士通Japan徳島支社の支社長をつとめております。

私が徳島の地に赴任したのは、2020年4月のことでした。吉野川流域の平野と長い日照時間がもたらす実り、海峡と水道、大洋がもたらす魚介類を中心とした豊富な食、悠久の大地と急峻な山間で繰り広げられた歴史と幾重にも時を重ねて育まれてきた文化に、すぐさま魅了されてしまいました。

ただ、当時は、世界中がパンデミックに見舞われ、これまでの生活・行動様式がすべて制限され、憶測と揶揄を交えた様々な情報が飛び交い世の中が混乱していました。その中にあって私が幸いだったのは、行動制限を余儀なくされつつも、県内の各界トップ、識者を含めた様々な立場の方々にお話をうかがう機会をいただけたことでした。

対話を重ね、多くのことに気づき、思考を巡らせました。

徳島には人口減少、医療資源の地域偏在、自然災害など日本の抱える最先端の課題があり、それらは年々深刻化していきます。取り組みを急ぐ必要があります。

一方、徳島には「株式会社いろどり」が手がける葉っぱビジネスが生まれた上勝町など、早い段階から積極的にテクノロジーを使って高齢者が活躍している地域があります。山間地域でありながらサテライトオフィスを作って企業を誘致した、「奇跡の田舎」と呼ばれる神山町もあります。努力で見事に課題を解決している人たちがいます。 

富士通Japanは全国で事業を展開する企業ですが、私たち徳島支社が活動するのは徳島にほかなりません。勤務メンバーにも徳島で生まれ育った人たちがたくさんいます。徳島の生活者でもあります。支社も、メンバーも、いわば徳島という地域の一員です。とすれば、奇跡を起こしたまちのように、私たちもそこにある課題を「自分たちの課題」と認識し、当事者として徳島のために活動する使命があるのでは、という考えに至りました。

徳島に関わる私たちの“宣言”

そうした実感を踏まえ、私たち、富士通Japan徳島支社は、皆で考え、2020年11月にひとつの宣言をしました。それが次の「富士通Japan徳島支社ステートメントです。

富士通Japan徳島支社ステートメント

指針(Philosophy)
徳島県に関わる全てのウェルビーイングを実現し、QOL(Quality of Life)向上を目指す

使命(Mission)
①   お客様と共に、徳島という地域の課題を解決するという強い意志と努力・工夫で地域経済活性に寄与する
②   同時に、これこそが当社のビジネス(本業)であるとして、お客様との継続した互恵関係を築く

大切にする価値観(Action agenda)
①   未来は予測するのではなく、創りだすもの(※)
②   これからは過去の経験が最優先価値ではなく、ゼロから作り出すこと、チェンジ・エージェントとなれることが価値となる           
(※)安宅和人著『シン・ニホン』より引用

これまでの私たちの活動は、お客様に富士通の製品やサービスを利用いただけるように、また、もう一歩進んで、お客様のビジネスの成功のために、当社の製品・サービスをアピールし、「売り込む」ことでした。しかし、コロナ禍で一転、経済活動が中断することになり、否応なしに、「このままでいいのか?」「世界の経済はどうなる?」「日本の経済はどうなる?」「私たちの活動はどうなる?」と多くの問いに向き合うことになりました。「富士通Japan徳島支社ステートメント」は、それらの問いに対する解を、私たちなりに考え抜いた結論でもあります。

対話から解決策を見つける「BIZAN PROJECT」

そして、ステートメントを実践するために、「BIZAN PROJECT」を立ち上げました。私たちが自ら定めた使命を行動に移すために、徳島が抱える地域の課題について、識者や地元に根ざして活動をしている人たちとの対話を通して解決策を見つけていく活動です。導き出された解決策が富士通の提供する技術やモノで寄与できるのであれば、採用していただく。そうでない場合も、ビジネスプロデュースを含めて、私たちにできるかぎりの貢献をさせていただく。そのような立場で活動を進めています。

 BIZAN PROJECTの名前は、徳島を代表する山「眉山」(BIZAN)とビジネス(BIZ)を掛け合わせて支社のメンバーと考えました。

BIZAN PROJECT開始時の資料

このプロジェクトを通して、参加メンバーは、自らが課題解決の旗を持ち、ビジネスを作りだすという強い意志を、そして何よりも、失敗しても挑戦しつづけるマインドをもって、探索型のビジネスのやり方を実践しています。 課題をファクトやデータで正確に捉え、課題を持った人に共感をするところからスタートし、デザイン思考を使って活動を進めます。これまでにやったことのない手法でもありましたので、実際に活動に取り組み始めた当初は戸惑いもありましたが、支社メンバーの積極的な努力で、徐々に共感の輪を広げることができ、新しい対話の場がつくられていきました。

この場をお借りして、対話に参加いただいた方々、新しい御縁をおつなぎくださった方々にお礼を申し上げます。おかげさまで現在は、本当に多くの方々と交流ができるようになり、徳島県の飯泉県知事とも対話の場を持たせていただき、地域課題について意見交換させていただいたりもしております。
 
ブラックボックスで顧客を囲い込むことが競争優位となる時代は終わります。日本の人口減少はさらに進み、成長と規模と格差を利用したゲームを変えなくてはなりません。業界のフィールドはスマホ上に変わり、企業価値の逆転が起こるこれからの世界、私たちのvalueそのものや、value zoneは再定義されなくてはならないし、スマイルカーブのエッジで戦わなくてはならないと考えています。そして、社会課題は、放っておくと深刻化し、今や一日も無駄にできません。「富士通Japan徳島支社ステートメント」の「大切にする価値感」にも書いた通り、私たちはチェンジ・エージェントを目指します。
 
「DXごっこ」をやっている時間もありません。評論家然としている余裕もありません。私たちは実際に現場でビジネスを進める実践者です。強い意志を核にして先に進んでいかなければならないと決意しています。

幾重にも対話を重ねて信頼しあえる関係をつくりたい

ここまで何度か書かせていただいたように、私たちはこのBIZAN PROJECTを「対話」を手がかりにして進めていきたいと考えています。徳島が誇る藍染めは、淡い青色を何度も重ねることで、よく知られているあの美しい藍色を生みだしていきます。それと同じように私たちも対話を幾重にも重ねつつ、多くの方々と互いに信頼しあえる関係を築いていきたい。

その手がかり・羅針盤として、BIZAN PROJECTのアイコンとともに、コンセプトも定めました。「徳島から、新しい物語を。」がそれです。

徳島には本当に素晴らしいものがたくさんあります。そして多くの方々と対話し、たくさんの資料や文献を拝見するなかで強く感じたのは、徳島には「人生の楽しみかた=新しい物語」を生みだす姿勢があるということです。私たちBIZAN PROJECTも、徳島の一員として、そこに貢献していけたらと思っています。

本日、こうしてBIZAN PROJECTとしてメッセージを発信する場を作らせていただきましたが、今後はこのnoteで私たちが大切にしている価値観や、徳島に関わる方々との対話を発信してまいりたいと考えています。この場自体が対話の場となるよう、取り組んでまいりますので、ご期待ください。

                                         富士通Japan株式会社 徳島支社長 濱上 隆道


BIZAN PROJECTメッセージ