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【散歩】岡本太郎現代芸術賞

岡本太郎美術館の年パスを毎年この時期に更新して、年に3〜5回訪れている。
この時期に年パスを更新するのは、毎年この時期に必ず訪れるからそうなっている。毎年春は、特別展で岡本太郎現代芸術賞の受賞作品展示が行われている。

意識的にこの展示を見に行くようになったのは大体7年位前から。他の美術館ではあんまり見られない作品群、自由な表現をこんだけの密度で見られる機会はたぶんあんまりない。いい意味で、美術館感がない。

霊柩車が焼き芋焼いてたり、バルーンのきぐるみが歩いてたり、ただただ旅の思い出をラジオのブースみたいなインスタレーションで話してたり、佐村河内がいたり、自分の中を探しても絶対にない表現がたくさんある。

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今年の大賞は、今年芸大を受験している人らしい。これだけの表現に対するモチベーション、技術、実行力、そして表現力が兼ね備わってるなんてどういうことなんだろう。凄まじかった。
大西茅布さん「レクイコロス」という作品。

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コロナ禍、その日の顔を毎日描いていた人の展示。これだけでもたぶん何時間も使える。人と訪れたら、これだけを見に行って思い出話をしたい。

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すばらしき世界見たんだろうな。

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リアルタイムで増えてる仕様だから、また展示期間の終盤に来たいと思った。
ながさわたかひろさん「ウィズコロナの肖像」という作品。

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なんか「クル」ものを目指した作品らしいけど、たしかに「キタ」って感じ。近くにいた子どもがこわがりながら何度も近づいていて、これはマジモンだなと思った。

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個人的には特にここが好き。赤と白のウニウニが回って、お花がウニウニしてる。皆さん見に行ってください…
みなみりょうへいさん「雰囲気の向こう側」という作品。

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きれいなお姉さんが、お餅に拷問をする動画。拷問というか、いわゆるこねたりついたりきな粉をかける行為を、拷問と結びつけている動画。
おいしそうなお餅が作られるのどかな動画に、拷問に関する知識が字幕で流れていてギャップがなんとも言えず、見入っちゃった。
原田愛子さん「餅田餅夫の最期」という作品。

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見るものが歩いてる。その歩いてる見るものが、見ようとするものと一緒に見るものを見てる。メタい。あと2体歩いてた。
この展示見て、YouTuberとか見られる仕事の人って、常にこういう状態よなとなんか思った。見たい人は見たいと望むものがあるけど、その見られる人自体ではないし、見られる人の動きで見たいと望むものではない見え方になることもある。

見た目のシュールさのインパクトはあるけど、それ以上になんか冷静にさせられた。
加藤立さん「鑑賞者」という作品。

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自転車がガンガン回る。横に回らせてすらもらえない自転車もいる。その自転車はなぜかライトだけは明滅してた。なんのためにそこに在るんだよ。なんなんだよ。でもそこにいてくれるだけでもいいかも。
東弘一郎さん「廻転する不在」という作品。

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なんでニベア缶持ってんの。絶対このあとポッケから落ちるでしょ。

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お前もニベア缶信者なの?この世界での高級万能薬なの?脈略のない、でも見覚えのあるメタファーが散りばめられたこれらの絵は、多分こんなふうに考えごとして楽しむのがよさそうだった。
唐仁原希さん「虹のふもとには宝物があるの」という作品。

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隔たれた場所の男女。なんか楽しそうでよかった。楽しそうがいいよ。
黒木重雄さん「Distance」という作品。

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かつて家でどっしりと存在感を放っていた百科事典などから、その頃の風景を作り上げられた作品。実家にブリタニカあったな。この団地の風景、本物は窓の影なんて落ちるわけないのに、なんかすごいノスタルジーを感じた。
ノスタルジーは事実ではなく、自分の中で再構築されてるんだよなぁ、こういうふうに。
小野環さん「再編街」という作品。


全然紹介しきれてないけど一旦この辺にしておく。会期中にまた行こう。皆さんもぜひ。自分が考えたことない、感じたことのない表現から、色々話したくなる思い出すようなことまで、それが混沌としてそこに待っています。

※作品名、作者名を追記しました。

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