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食べてしまいたいや

貧乏ゆすりをしながら
わたしは小さな考えをこねていた
それはシルバーのあまり綺麗ではないもので
それはわたしのあまり綺麗ではないところ
貧乏ゆすりをしながら
わたしは小さな考えをこねていた
それは涙の透明ではない部分を少し含んでいるし
それは傷ついた気分とともにこねたこともあった
頭痛に名前をつけている
それらはわたしもの、それらはわたしのもの
吐き出しそうな胃の内容物を
綺麗な音楽でかき消してい

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さくらんぼ

庭に植わった染井吉野にできた赤く丸いさくらんぼは食べられたもんじゃないし死んでしまいたくて飲み込んだそれらは本当はそんなこと思っていなくてただただ小さな望みを少しだけ手に入れたようなそんな行為だった。
暑いからだを冷たい風に当てて鼻の頭にかいた汗を手のひらで拭う癖をやめたいのにどうしてだろう望みは叶えられない煙草をふかしてふかしてふかしてでもあれ以来わたしはそれを怖がっているふしがあるその行為では

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あの日の東京

東京はあの日の空の色とあの日の空の匂いに留まっている
揺れる信号機がわたしの上に降り注いでくるようで
空に飛び去っていった者とここに縛りつけられている者がいる
わたし達は小さな仕切りのある大きな部屋に入り
テレビの画面をひとり眺めるわたしは誰よりも幸福だったのだと思う
隣で手を繋いでいた彼女の気持ちも知らないで
わたしはあの日を楽しい日に分類して心の中にしまっている
涙は下に流れるのにわたしは何て

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