見出し画像

【#15】SNSなんかで簡単に情報が手に入る世の中ですが、一旦トレーニング効果と競技パフォーマンスの関係について考えてみてよ。

情報社会の現代では、さまざまな情報に触れることができます。
SNSではウエイトトレーニングのみならず、スプリントトレーニングやジャンプトレーニング、ムーブメントトレーニングなどさまざまなトレーニングが流れてきます。

その中で、例えば、『これさえやっておけ球速があがる!』とか『〇〇(←競技の名前が入る)選手はこのトレーニングで競技パフォーマンスアップ!』みたいなものも多く見られると思います。

こういった文言を見るたびに、本当にそうかなと疑問が浮かびます。

ただ、トレーニングリテラシーもなく何も考えない選手はこういった情報に飛びついてしまうのもわかります。

今回は、競技パフォーマンスを向上させることとトレーニングの関係性について、私の考えをまとめていきたいと思います。

情報を鵜呑みにする前に

トレーニングにおける情報(種目自体や重量、セット数、レップ数などなど)を正しく理解し実践するためには、そのトレーニングの本質と自分の現状を理解することが重要です。

・そもそも自分には何(筋肥大、筋力、パワー、スピード、などなど)が必要なのか?
・そのトレーニングはどういう要素を鍛えるものなのか?
・そのトレーニングが自分の何を改善する効果があるのか?
・そのトレーニングが今、自分が必要とする能力を向上するのに、どのように役立つものなのか?
、、、
などなど、これ以外にも考えるべきことは山ほどあります。
しかし、これを考えず、見た目やそれっぽい謳い文句を信じて疑わない選手も散見されます。

例えば、鉛直方向のジャンプ力が弱点で、それを高めたい選手がいるとします。
そしてその選手が、ジャンプ力が向上するとして紹介されているジャンプトレーニングなどを参考にトレーニングをするとします。

しかし、そもそもその選手のジャンプ力が弱点となっている原因が、下肢の最大筋力不足だとしたら、その選手はジャンプトレーニングを行うことが最適解とは言えないはずです。
最大筋力を高めたいのであれば、スクワットで重量を高めていく方がよっぽど効果的です。そのジャンプトレーニングがどんなもなのかにもよりますが、基本的にはベースの筋力がなければ、どんなにジャンプを頑張っても頭打ちですから。

このような事象は往々にしてあり得る話かと思います。

だから、『これだけやっておけば〜』『まずこれをやれ!』を盲信する前に、まずは考えを巡らせ、トレーニングの本質を理解することと自分の現状を知ることが大事なわけです。

トレーニングとパフォーマンスの関係性

よく、『スクワット200kg上げました!タックルが強くなりますよね?』とか、『トレーニングで腕が太くなったんですよ〜。これでバッティングの飛距離が伸びます!』みたいな会話を耳にします。
残念ながら、このような会話をする方は、
トレーニングでの結果≠パフォーマンスということが理解できていません。

例えば、腕の太さなんかでいうと、お相撲さんなんかはかなり太いですよね。お相撲さんにバットを握らせてバッティングさせたら、必ずホームラン級の飛距離が出せるでしょうか?

答えは、NOです。
なぜか。お相撲さんは、バッティング練習はおろか、バットを振る練習すら行っていないからです。上半身の筋力はあるはずですがね。

何が言いたいかというと、
トレーニングでの結果=パフォーマンス発揮のためのポテンシャル ということです。
つまり、トレーニングでの結果(上記でいえば挙上重量向上や筋断面積の増加)はあくまで、そのトレーニングで得られる体力要素を表したものにすぎないのです。

もちろん、トレーニング結果が良い方が、より強い力を相手に与えられるでしょうし、より速くバットをスイングできるでしょうが、それは、トレーニングで得た体力を技術に落とし込んで初めて発揮された結果で起こるものです。

また、競技パフォーマンスでいうと、結果にはさまざまな要素が絡みます。身体能力だけでなく、競技技術、戦術、心理的側面など、考えられるものは多岐にわたります。一概にトレーニング効果だけで競技パフォーマンスを改善できるとは言えないのです。

ここまでの話が理解できれば、『〇〇(←競技の名前が入る)選手はこのトレーニングで競技パフォーマンスアップ!』なんておかしな話だとわかるはずです。

競技パフォーマンスを上げるための近道

じゃあ競技パフォーマンスを上げるためにはどうすればいいのか。
結論、これは競技練習に尽きます。

競技練習は、文字通り競技の練習なので、競技での技術を高めることに寄与するわけです。

かといって、じゃあ技術練習だけやってれば試合で無双できるかというと、そういうわけではないと思います。そこで出てくるのがトレーニングです。

先ほども述べたとおり、トレーニングは体のポテンシャル(≒身体能力)を高めることに寄与します。ポテンシャルが上げることで競技動作での出力(パワー、スピードなど)、あるいは競技動作の可動性を高めることなんかにも繋がるわけです。

つまり、体のポテンシャルを競技動作で活かすことで、初めてトレーニングが競技のパフォーマンスアップ寄与するのです。
逆に高めたポテンシャルを技術の中で活かせなければ意味がないのです。
だから、競技練習をして、自分の持つポテンシャルを競技で発揮することを覚えていく必要があるのです。

何も考えずに競技練習をするだけではなく、トレーニングで鍛えたもの(出力、動作、使い方など)を競技動作の中に落とし込むことで、より高度な競技動作を行えるようにしていくこと。

これこそがトレーニング効果と競技パフォーマンスを繋げる上で一番重要であり、ある種、競技パフォーマンスアップの近道と言えるのではないでしょうか。

まとめ

今回は、SNSでトレーニングの情報をよく見るようになったことから、トレーニング効果と競技パフォーマンスの関係性についてまとめました。

トレーニングとパフォーマンスを繋げるためには、まずトレーニングとパフォーマンスを分けて考えることが大事です。
トレーニングで得られた効果を競技動作でも活かせるようにするために競技練習を重ねていくことで、周り回ってパフォーマンスも上がっていくでしょう。

私はトレーニング指導者ですが、ぶっちゃけトレーニングしなくても競技で勝てるなら(自分が満足するなら)やってもやらなくてもどっちでもいいと思っています。

ただ、せっかく時間をかけてトレーニングをするなら、正しい努力で正しい結果を得てほしい。そんな思いが強いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?