『わかろうとはおもっているけど』感想

贅沢貧乏の『わかろうとはおもっているけど』を観てきた。中身の感想というより、作品によって引き出された気持ちのメモです。(途中ネタバレあります)

何かの演劇を観に行った時に、わかおものビラをみて、これは観ないと後悔する、と思ったのでチケット予約開始日をきっちりノートに書いて、これはみた後に誰かに話したいことがむくむく湧いてくるだろうと予想がついたので、友達を誘った。
その予感は正解で、これは見逃していたら後悔するわ、と思ったし、友達と観に行って良かったなと思った。

さっくり言えば、男女の話だったので、観に行こうと思った。男女について、というのはここ2〜3年でたくさんの議論を目にするようになったし、もちゃもちゃとどこかで考え続けているトピックでもある。
なかなかしっくりくる考えにたどり着けなくて(といっても、必死にたどり着こうとはしていないけれど)、でも見過ごすことはできなくてずるずると考え続けている。

疲労感を感じつつ、しなければならないという気持ちで、ずるずると考え続けるのは、それが自分のこれからの人生に嫌という程関わることであると肌で感じているからだし、宿題を先延ばしにすれば後で苦しむことがわかっているからだ。

観たり読んだりしていて辛いので、放置しておきたいが、観たり読んだりしなければならないという気持ちもあって、観たり読んだりすると、疲弊してしまう。と、自分も思うし女の子の友達も結構そんなこと言っている。
そういう話題になると、あ〜〜超もやる〜〜しかも悲しい〜〜!!ってなる。辟易とした気持ちを持つことに落ち込む。
だから、そういう気持ちに何か風穴を開けられるものを探してるのだと思う。そういう彼女たちに風穴があるよと教えたいのだと思う。悲しいので。

こういう話の何に疲労感を感じるかというと、主に堂々巡りだと思う。あまりに同じことがTwitter上で繰り返されている。何を言っても伝わらない瞬間や、ディスコミュニーケーションの瞬間を目にし続けている。どちら側からも、すれ違い続ける様子を目にするのが苦しいのだ。
あとは自分の中で何を正しいとすれば良いか考え続けること。今まで正しいと思っていたことは正しくないかもしれないという気持ちを持ち続け、疑い続けることへの疲労感もあるかもしれない。
そういう堂々巡りの連鎖に穴を開けてくれるものや、前進のヒントが得られるものを求めていて、それでこの演劇を観に行こうと思った。

結果として、この作品は風穴をもたらしてくれたと思う。
ぐぬぬぬぬと唸りながら観た。笑えるところもあるので、もちろんくすっともするんだけれど、ああ、こういうこと言ってしまうなとか、こういう違和感放置してしまっているなとか、自分の生活を顧みた。全部自分のことだという気持ちになった。観たことが全て、自分の生活に跳ね返ってくる。 観たもの全てが糧になる感覚。

演劇の途中で、男女が入れ替わりミラーリングされるシーンがある。
ミラーリングされる前も、緊張感がある話運びだったのだけれど、そんなところで笑えないよ…というシーンでゲラゲラ笑っている40代くらいの男性がいて、ざわざわした気持ちを抱えていた。そこで笑うって、なにも、なにもわかってないじゃん!!っていう、もどかしさだ。
でも、ミラーリングされた瞬間から、その人はすっと笑わなくなった。
ミラーリング後は、その人のようにわかりやすくはなくても、観客全てがふと自分の行動について顧みるだろうと思った。すごく面白い体験だった。

Twitterでもミラーリングをみかけたことはあるけれど、言葉の上で男女が入れ替わることと、目の前の現実で男女が入れ替わることは大きく違った。
やっぱり違う、の差異をなんとかして「わかろう」と、埋められないか、と思ったと、アフタートークでも語られていた。その「けど」の先へ、ディスコミュニケーションがコミュニケーションになるかもしれない、希望を少し感じた。

でも、作品が伝えるものとしての可能性を感じただけで、現実で自分がコミュニケーションできる方法を手に入れたわけではないので、やっぱり現実のディスコミニュケーションに落ち込む気持ちもあった。
それが救われたなと思ったのがアフタートーク。今まで、実際に活動をしている人の話を聞いたことがなかったので、その熱量を持つ人の存在を目の当たりにして安心した。
よかったな〜と思ったのは『プリンセスメゾン』という漫画の話。非正規雇用で働きながら、自分の収入でマンションを買おうとする女性の漫画を山田さんが紹介されていた。自分の力だけでマンションを買うという発想がすごくすとんと私の中に落ちてきた。なーんだそうか、ひとまずは自分の足で立つことに集中してみればいいか。という感じで、すごく前向きになれる発想だった。

あと、この演劇を観て、あの人は、この人は、みんなは、なにを思うのだろうかということがすごく気になったので、感想知りたいな、教えてほしいなって思いました。

#贅沢貧乏 #わかろうとはおもっているけど #感想 #エッセイ #演劇

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