音楽への憧れ

ボヘミアン・ラプソディの予告を観て、絶対観に行くわ!!!って思っていたのだけど、間違えて公開日前日に映画館に行ってやる気をなくしていました。1週間くらい前にやっと行きました。

血湧き肉躍る音楽映画!!かなと思って観に行ったけれど、思いのほかフレディーの孤独が描かれていて、ライブエイドのシーンで、音楽最高!とフレディーのパートがアウフヘーベンされるという、超カタルシス映画でした…。めちゃないた。

思えば、わたしは音楽にまつわるステージと観客の狂乱に憧れを持ち続けていたなぁということが思い出され、ライブに行ってわくわくしたいなぁという気持ちになったので、音楽への憧れ遍歴を綴るnoteを書くことにしました。
ちなみに、わたしは音楽好きだけど得意分野ではないと思っています。音の聞き分け下手だし、リズム感もちょっと危ういし、楽器もできないし。でも、リズムに合わせて揺れるのも、合唱するのも好きで、だからこそステージの上に憧れる気持ちがあると思う。

幼い頃からB'zを聴き続ける環境にいた。触れる音楽の幅はそんなに広いとも言えず、小学生から中学生にかけてわたしの世界の窓は小説だったから、音楽への憧れは小説の中から生まれた。

中学生の頃、ティーンズと呼ばれるジャンルの本を読み漁っていて、そこで音楽に出会った。
『ビート・キッズ』『金魚島にロックは流れる』『おれたちのD&S』の3作は特に面白かった。1回読んだ本はほとんど読み直さないタイプだったのに、全部2〜3周くらい読んだ。
それぞれの主人公は音楽をする。それはとてつもなく素晴らしい体験として描かれていて、弾けるような刺激があった。それを鼻息荒く読んでいた。

ドラムのひびきは、俺の心の花火やねん!英二がたたく。七生が打つ。ふたりの大阪少年が、16ビートで笑って泣かせる!

ビートキッズの内容説明はこんな感じ。中身も、ほんとこんな感じ。
心の花火って……。めちゃすごいじゃん……なにそれそんなすごいんか!!!って思ったけど、行動力のないわたしは自分でバンドやろうとかライブ行こうとは思わなかったので、音楽に対する妄想が掻き立てられ続けるばかりだった。

『おれたちのD&S』はビートルズのコピバンをする高校生の話で、友達からCDを借りてビートルズの虜になるシーンや、演奏しながらハーモニーの美しさにうっとりするシーンがある。それ以外にもパスワードシリーズの外伝『ビートルズ・サマー レイの青春事件簿』はタイトル通りビートルズの話ばかり。CDなど聴く機会がなかったのでわたしの中のビートルズは実体を持たず、妄想で膨らんでいった。

そしてその頃、マイケルジャクソンが亡くなり、追悼番組の影響で弟がマイケルジャクソンにハマったので、我が家ではライブ映像の特番などをちょくちょく録画していた。一緒にみていたわたしが忘れられなかったのは、マイケルがステージに登場したり、身じろぎするだけで、狂喜の叫びをあげて失神する人々たちだ。興奮しすぎて失神するって(満員電車みたいに人がギチギチに詰まってるのもあるけど)、どんな気分なんだろう……。とむらむらと興味が湧いてきたし、それに近い体験をしてみたいなとおもったのだ。

ちょっとあれだけど、セックスをしたことがないときに、どれくらい気持ちいいのだろうと思いを馳せてしまうのと同じような感じで、わたしの中で音楽というものはあまり実体を伴わず、期待ばかりが募っていった。

そんなこんなで、高校生になった。わたしは軽音部に入ることもなく弓道部に入ったのだけど、なぜか一個上の代に弓道部員だけのバンドがあった。私たちの代もそれに習い、弓道部員だけのバンドが生まれた。
でも、わたしは演奏側に回らずそれを観に行く人になった。飢えに飢えていた、目の前で演奏される音楽を味わう瞬間がきたのだ。
むちゃくちゃ、楽しかった。歌って踊って、ステージを仰いだ。たかが高校の軽音部のライブだったかもしれないけど、でも超楽しかったのだ。なぜかうちの高校のライブはありえんほど盛り上がり、モッシュになるみたいな空間で、みんなが興奮していたので、それが楽しかった。
1度目で味をしめて、軽音部員ではないくせに、弓道部バンドを言い訳にライブに遊びに来る人と化し、そんなかんじで大学生になった。

バイトをしてお金を得て、定期によって行動範囲が広がり、それに伴ってアクティブになった。
実はそれまで、アーティストのライブにはいったことがなかったので、初めてアーティストのライブに行った。
それはまた、もう、今までのものが比べ物にならないくらい、たのしかった。泣いた。夢のようだった。
幕張メッセの後ろの方のブロックだったから、全然見えなかったくせに、その空間に泣いた。
それで味をしめて、ライブやフェスに行ってみるようになった。

今ではかなり気軽にライブに行くようになったし、ライブという空間にそんな特別な気持ちは抱いていない。今日はちょっとそんなに気持ち盛り上がらなかったな、ということもあるし。
でも、ボヘミアン・ラプソディを観て、ステージにむらむらと憧れる気持ちを思い出した。こんなにぴかぴかで、きらきらのステージと、あの客席に存在できたらという思いが狂おしいほどに高まったのは久々だった。
ライブエイドのシーンでその気持ちが満タンになって、ライブ行きたいな、2週間後見に行くライブ、超楽しみだな…。ってにやつきながら、劇場を出ました。

#感想 #エッセイ #ボヘミアンラプソディ

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