Kaoruthless

貧乏旅行・チャリ・バンド。Flat Sucks どこでもライブしに行きます ・アゼルバ…

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貧乏旅行・チャリ・バンド。Flat Sucks どこでもライブしに行きます ・アゼルバイジャン爆ぜるスカジャン・妬み嫉みミネソタの民 https://www.facebook.com/flatsxcks https://flatsucks.site/

最近の記事

追いかけてシドニー②

足止めくらって南大阪。 1日おくれの飛行機は本日(4月24日)午後4時出発予定。これでシドニーには2泊しかできないことになった。あんなに広い大地にたったふた晩。すべては野外ライブのため。イアン・ギラン。ギャング・オブ・フォー。ホテルでよく眠った朝、感情が麻痺状態から回復し、なんでも楽しんでやろうという気分が芽生えてくる。二色浜から泉佐野で途中下車、商店街の薄汚れた居酒屋で海鮮丼ランチ680円をいただく。狂うほどにうまかった。なぜかエアロスミスが流れていて客は私ひとり。会計時、

    • 追いかけてシドニー①

      二歳の誕生日プレゼントは、乗り物、恐竜、虫の絵本にした。「かお!」とは私の名を呼んでくれているのだった。三冊の中で彼がもっとも気に入ったのは乗り物の絵本だった。電車や飛行機の絵にめくりがたくさんあって、そこを開くと中の様子が見えるようになっている。はしゃいだ子どもと大人たちは結局深夜まで布団に入らなかった。 深酒の朝、働かない頭で準備し友人家族の家を出て関空に向かった。まるでとなり町にでも出かけるかのように慣れきった足どりだった。シドニーの野外フェス、パンデモニウム2024

      • Åland、岩盤、夜は長く

        束の間、砂の国から離れてスウェーデンへ。 整然とした空港で秩序が際立つ。鳴らないアザーン。手すりや椅子、テーブルなどどこに触れても砂や汚れがつかない。濃い顔の男、ヒジャブを巻いた女などはよくよく探さなければ見当たらない。白い肌で金髪の男女が視界の多数を占める。売店の支払いは電子マネーやカードが基本で、現金はこの旅行中ついに一度も見かけなかった。 「エジプトにいるあいだにこっちに遊びにおいでよ」という誘いを真に受けてまんまとやって来た。2023年1月、大学時代のメタル仲間、M

        • 砂まみれ日常

           なにごとも「明日やるから」といってはやらない、「こっちは担当じゃないんで」といってはたらいまわす無責任国家エジプトでも、シーシャの炭交換だけはまことに正確な頻度でうやうやしくやってくれる。どんな茶屋にもかならずシーシャがあり、1回100円ほどで味わえる。チャイは約30円。砂糖を大量に溶かして運んでくる。夕暮れにアザーンが響くころ。大学近くのすっかりなじみになった店。カオル、元気か? と唯一の英語を話せる店員アフマド。「シーシャもいいけどよ、ハシシ売ってないんかこの店は」マン

        追いかけてシドニー②

          大日本脱出記

           屋上へのハッチは取手とはしご部分が細ひもできつく結ばれていて開閉できないようになっていた。最上階、空っぽになりかけの混沌とした自室にはそれを切断するものが見当たらない。いくつものゴミ袋をかきまわし、ついに包丁を見つけたトモがギラギラ笑う。躊躇なくひもをぶち切る。ハッチを押し開けば大量の塵埃が外廊下の地面に落ちた。さっそうと昇る男たち。少しおくれて女たち。3年住んだアパートを退去する前日は、引っ越し手伝ったるわ、とは名ばかりの大乱痴気騒ぎと化していた。 頭上に広がる夜空はあ

          大日本脱出記

          瀬戸内ハードコア自転車行⑤

           国道2号線を東へとひた走る。芦田川を渡ると道の両側に商業施設があらわれはじめ、福山駅周辺にはさらに背の高いビルが林立し久々に都会の空気を感じた。人々の服装もどことなく洗練されている。 中心地からはずれたところに福山通運の巣を発見。圧巻の新緑色。 峠をひとつ越え、次なる県、岡山に入った。笠岡市。 人通りの少ない味わい深い商店街を抜けて、駅前の広場にあるベンチに陣取る。ひとり分のスペースごとに鉄の手すりで分断する、いわゆる排除ベンチである。ベンチ横にはいまだ野ざらしの喫煙

          瀬戸内ハードコア自転車行⑤

          瀬戸内ハードコア自転車行④

          9月12日(日)  制服を着た少女が船着き場でたたずんでいる。時折、時間を気にする素振り。もう日が暮れてずいぶんたった。 自転車ごと乗船して海を渡り、向こう岸から見たらあんなに明るく連なっていた光の中に、いま私はいる。こちらの尾道側からみると、私がこれまで通ってきた島々のなんとわびしいことか。港のわずかな灯り以外、深い闇に沈んでいる。 その闇を背に「にゅうしまなみ」号が航行する。ものの数分でこちら側にたどり着いた。合図の汽笛をヴォッと鳴らして船が接岸する。舳先の板が半回

          瀬戸内ハードコア自転車行④

          瀬戸内ハードコア自転車行③

          9月11日(土)  雨上がりの路上、午前7時高松。本日は曇りのようで自転車旅には最適。 ではあるが、そろそろ尻の皮が剥がれそうなほど痛い。全身の筋肉も悲鳴を上げている。 当初は松山市まで足を延ばして風流な温泉街で浴衣美人でも眺めようかと企んでいたが、高松―松山間は150キロもあり、さらに桜三里と呼ばれる峠を越えなければならない。しまなみ海道にも遠くなってしまう。よって今日はあまり無理をせず、高松から約100キロ地点の愛媛県西条市に宿をとることに決めた(それでも100キロ…

          瀬戸内ハードコア自転車行③

          瀬戸内ハードコア自転車行②

          9月10日(金)  インターネットカフェというものはやはり非人間的である。いくらソフトクリームが食べ放題でもだ。さっさと外に出よう。朝まだ暗いAM4:30。明石駅前の駐輪場で愛しのフジ子を迎え、さてどうしたものか。淡路ジェノバラインの明石発岩屋港(淡路島)行始発フェリーまであと1時間はある。乗船場付近のベンチに座り、漁船や釣り人などを眺めつつじっくりと潮風を体に受けていると、山側からぼんやりと空が白んできた。夜が明ける瞬間をあと何回見られるかで人生の豊かさが決まる。天道さん

          瀬戸内ハードコア自転車行②

          瀬戸内ハードコア自転車行①

          9月9日(木)  急速炊飯で炊いた新潟米に友人からもらったシジミの佃煮を投入、サランラップで念入りに丸める。これからは、嫌でも外食しかできない日々がまたはじまる。瀬戸内海一周、海上以外全行程自転車のストロングスタイルな旅。自炊生活の最後の悪あがきのような巨大な握り飯だった。空気入れ、パンク修理キット、タオル、着替え、日焼け止め、文庫本などをリュックに突っ込み、愛車・フジ子のチェーンに油をさす。君の車体は今日もキレイだね。明日の南あわじ発・鳴門行の自転車積載連絡バスに予約の電

          瀬戸内ハードコア自転車行①