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GAFAMの発展と広告代理店の功罪

広告の仕事をしているのに、広告を見るのがキライ。

そんな矛盾した感情を抱えながら今日もいそいそとnoteを書いています笑
今回はインターネット広告の隆盛とGAFAMの成長、それを裏で支えた(助長させた?)広告代理店の功罪について、最近になって思う事をツラツラ書いてみます。

お時間ありましたら、最後までおつきあいください。



山ほど広告出稿してしまったあの頃の話

少し前の話になりますが、2010年~2015年の頃にインターネット広告の仕事を担当していました。
クライアント企業に提案したり、はてはクライアント企業に出向して出稿管理をしたり。(お!うまいこと言った?)

最初の頃はまだまだYahoo!を始めとするバナー広告が主流で、ようやくGoogleの検索連動型広告が出始めた頃でした。

その頃の広告予算の配分としては、1にテレビ、2に新聞、まだまだ雑誌とラジオの広告も多く、その一角にようやくインターネット広告がおまけのように割り込んで来た程度でした。

クライアント企業の広告予算も、だいたいは商品単位で決まっていて、新商品が出るたびに複数の広告代理店でコンペ(競合)が行われて、取った取られたとやってました。

そんな状況を打破したくて、「検索連動型広告はそういうもんじゃない!売り手のタイミングじゃなくて、顧客のタイミングで出すものなんだ!
「だから通年で出稿しましょう!!」という提案をして、見事通年予算を獲得したのでした。(えへん)

今思えば、その時からGAFAMの広告収入に貢献し始めていたんですね。

やがてスマートフォンが普及してきてアプリ広告が登場、アフィリエイトやらリワードやら、成果対コストは明確だけど、なんだかグレーゾーンな広告も増えました。

このあたりから、自分達の広告がどこのサイトやどこのアプリに表示されているのか、膨大過ぎて追いきれない状態になっていきます。ログとしては出てくるんですが、人間が目視できる量を超えてますからね。数値報告だけで成果をアピールしていました。

そうこうしているうちにYouTubeがグイグイ伸びて来ました。
ちょうどGoogleがYouTubeを買収して、動画内広告が始まった頃です。当初はユーザーから非難轟々でしたが、いつの間にやら受け入れられていきましたね。

当初は1日1社のみという広告枠があって、全ユーザーに必ず1回表示されるというメニューでした。これを毎週末出稿して、ややウザがられた覚えがあります。調子に乗ってやり過ぎました。。。

同じころにFacebook、Twitterの広告も始まり、SNS広告が広がっていきました。当時はまだまだ手探りで、どんだけユーザーセグメントを小分けにしてクリエイティブ作り分ければいいんだ?とかやっていましたね。

その後はどんどんインターネット広告予算は増え(代わりに新聞、ラジオ、雑誌はどんどん減らされ)当たり前の様に提案が通っていくようになりました。

そうはいっても当時の広告の主役はあくまでテレビであって、テレビ用の広告素材が作られた後にインターネット広告用の素材が後付けで作られる状況でした。
「インターネットファーストでいきましょうよ!」という提案はなかなか通らなかったんですが、今は変わってきましたかね?

以上のような感じで、今振り返ってみると、ちょうど日本でインターネット広告が大きく成長した5年間だったんだなあ、と思います。
その後インターネット広告がテレビ広告を抜いたのが2019年4マス合計を抜いたのが2021年、直近2022年の統計では全体の43.5%になったそうなので、もはや名実ともに広告の主役はインターネット広告ですね。



GAFAMを肥え太らせた広告業界

自分のキャリアとしては貴重な時期に貴重な仕事に関われたなあ、と思っていたんですが、最近になって少し違った視点で見るようになりました。

というのも、少し金融市場のことを勉強するようになって、GAFAMの時価総額の巨大さと、世界経済に与える影響を感じるようになり、さらにはその収益源の多くが広告収入であることを意識するようになりました。

厳密に言うとAppleはiPhone、AmazonはEコマース、MicrosoftはOSとアプリが収益源なので、広告収入が柱になっているのはGoogleとmeta(Facebook)ですね。
少なくともこの2社は広告収入のおかげで今の時価総額までに成長したわけです。

あー、その一部に自分も貢献してたんだなあ、と。

貢献と言うか、「貢いでたな」という感覚ですかね。
別に応援していたつもりは無くて、純粋に費用対効果で選んだらGoogleの広告が良かった、Facebookの広告が良かった、という理由でしたから。

でも、当時の「良かった」っていうのは、あくまで「クリック単価」だったんですよね。要するに、自社サイトにどれだけ効率よく大量に誘引できたかが指標で、そこから先は「あなた達企業側の努力や商品力でしょ」という感じで、広告の責任領域では無かったのです。

これって違う見方をすると、誰でも良いから人数(正確にはクリックなので人数以上に水増しされてますが)を連れてくればよく、悪く言えばハーメルンの笛吹きでも良かったわけです。

成果報酬型広告はちょっと金でクリックを買ってるみたいで嫌ってましたが、検索連動型広告やターゲティング広告は「ユーザーのニーズに適合した広告が表示されるわけだから、合理的かつ有益なのだ」という理屈をそのままクライアントにも説明していました。

うーん、それってホント?


ユーザーの反撃と地政学的攻防

ところが2010年頃から、行き過ぎたインターネット広告に世界中から懸念の声が上がり始めました。

特に個人情報保護の観点から欧州が強く反発を示しました。
欧州のGDPR(General Data Protection Regulation)では本人の明確な許可なく個人情報は取得してはいけない、Cookieについても明示的に承諾が必要だ、というような事が言われます。

実はアメリカと日本はその辺はスタンスが違っていて、アメリカでは「有益な情報が提供されるんだったら個人情報を取得されても良いよ」というトーンでしたし、日本はどちらかというとアメリカに倣えというか、アメリカ以上に個人情報に疎いトーンでした。

このあたりはたんに文化的な違いだけでは無く、アメリカのテック企業に情報が集約し過ぎる事を懸念した欧州のけん制、という政治的な側面もあったと思います。

2020年頃からは、Webサイトでクッキー取得の確認画面を出すのが普及してきましたし、2021年にはAppleがiOSにトラッキングのブロック機能を搭載してきたりして、かなり意識が変わってきた感はあります。

とはいえ、日本のインターネット広告費は今も伸び続けてますし、2023年も過去最高を更新しそうです。
電通さんの予測によると2兆7,908億円ですって!すごい規模ですよね。

相も変わらず企業側は広告活動に積極的なようです。

でもユーザー側はどうでしょうか?
皆さん、広告好きですか?邪魔じゃないですか?

正直ですよ、私はウザイです。。。。

YouTubeも広告見たくないからPremiun入ってますし、アプリのトラッキングはOFFにしています。広告見るのはゲームでポイントが欲しい時だけです。(だって課金したくないんだもん)

広告の仕事しておいて、自分は広告見ないだなんて、罪ですよね~。
ごめんなさい。


これからの広告はどこへ行くのか、この道はどこまで続くのか

ここ最近は広告モデルではないインターネットサービスも増えて来ました。

YouTube Premiumもそうですが、Adobeの各アプリケーションもそうですし、Office365なんかもそうですよね。サブスク形式で月額費用を徴収することでマネタイズしています。

このnoteもそうですね。有料コンテンツの手数料と有料ユーザーの月額利用料で運営費を賄っています。おかげで無料ユーザーも恩恵を受けているわけで、こういうビジネスモデルをフリーミアムと言ったりします。

もう一つの可能性として、ユーザーコミュニティーによるマーケティング方法があります。

特にWeb3の世界では、Discordでユーザーコミュニティーを作り、そこでファンを集め、ファンが次のファンを呼び込むような仕掛けを多く見かけます。広告費をかけずに集客する良い方法になっているのでしょう。

ただし、なかなかスケールアップせずにプロジェクトがとん挫してしまうケースも少なくないようです。私がやっていたゲームもいくつか消えてしまいました。(稼いだトークンがゴミになりました泣)

さらにさらに、最近は生成AIの登場で検索が無くなる、なんて話も飛び出してきましたね。

Google幹部が「コードレッド」を発令したとかで話題になっていましたが。確かにBingにAIが搭載され、ある程度の調べものについてはAIの回答で十分だったりします。

GoogleですらついにSearch Labという限定的な方法ですが、検索にAIを搭載してきました。自らの広告収入を減らす危険を冒してでも対抗しないとマズいぞ、という危機感を感じます。

では今後はインターネット広告は無くなっていくのでしょうか?

GoogleやMeta(Facebook)やX(Twitter)は、
広告モデルから転換できるのでしょうか?


広告代理店というビジネスは不要になるのでしょうか?

広告の歴史は古く、古代エジプトや古代ギリシアでは既に壁画や碑文と言ったカタチで商品やサービスの宣伝が行われていたそうです。
その後も印刷技術の発展、産業革命での大量生産/大量販売、ラジオやテレビの登場、そして現代のインターネット広告と人類の歴史と共に広告は発展と拡大を続けて来ました。

次の100年の広告がどうなるのか?
それとも情報伝達の摩擦係数が0になって「広く告げる」という必要が無くなる日がやってくるのか?

答えの無い問いに頭をぐるぐるさせている今日この頃なのでした。


まとめ

今回はインターネット広告の歴史を私の経験に沿って振り返りつつ、昨今の広告排除の動きについてご紹介しました。そのうえで、広告って何なんだろうなあ、これからどうなっていくんだろうなあ、というお話をしました。

皆さんもインターネットを使っていれば、毎日毎日広告に触れない日は無いのではないでしょうか。
あなたはそれをどう感じていますか?
これからどうなって欲しいと思いますか?

私のモヤモヤをそのまま押し付けて今回は終わりにしたいと思います笑


おまけ

むかしむかしの偉い人が言いました。

広告費の半分が金の無駄遣いに終わっている事はわかっている。
わからないのはどっちの半分が無駄なのかだ。

ジョン・ワナメーカー(1838年~1922年)のコトバ

結局100年経っても大して変わって無いですね。 一般的なインターネット広告のコンバージョン率(商品をポチっとした数÷広告経由の流入数)なんて数%とかなので、9割は「無駄」と言われそうです。

それでも企業は広告を出します。
そしてその広告費のおかげで、私たちが便利なサービスを無料で使えているのも事実です。

これは人類の功績なのでしょうか?

それとも罪なのでしょうか?


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
またお時間ある時にでも立ち寄っていただけたら幸いです。

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