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【京都旅行】 金木犀の香

 金木犀がどこからともなく漂ってくる秋祭りの季節だ。久しぶりに京都へ旅行に出掛けた。コロナ禍もあり、以前に旅行したのは、いつ頃だったのだろうか。

なぜ京都へ行くのかは、息子が京都の大学へ通っているからだ。旅行前、あちこち観光めぐりをしたいが、無理な計画を立てるのはやめた。一番の目的は、息子の通っている教育環境を見ることだから。

学内のごみ箱の仕分けを見ただけで、きちんとしている大学の思いが伝わってきた。外国風の素敵な図書館には、沢山の蔵書の数々。教育レベルの高さが分かった。
 
観光リストに選んだのは、伏見稲荷大社と三十三間堂だった。観光ブックを見ながら朱塗りの千本鳥居を見てみたかったのだ。本殿のみでは満足せずに、稲荷山をぐるりと一周した。

こんなに登りがきついとは。これほど体力を必要とするとも思わなかった。各所に休息所があり、お茶と和菓子をいただいた。ほっとした気分も束の間、出発した。頂上に到着した時は何とも言えない満足感だった。
 
今も、瞼の裏に浮かぶのは、三十三間堂だ。1001体の千手観音座像は圧巻だった。神々しいとはこのことかと感謝の念が湧いてきた。日々の行いを見守られている気がした。

私は、ロウソクを購入し、そのロウソクに願いを込めて「世界平和」と書いた。私のこのロウソクの光が三十三間堂を照らし、世の中を照らしてほしいと願わずにはいられなかった。

庭園に出て、ベンチで主人と休憩した。この平和な瞬間にも世界には、恐怖と戦っている人がいることを忘れてはいない。金木犀がどこにあるのかもわからない。にもかかわらず、金木犀の香が漂ってくる。神が返事をしてくれているのか。ありがたい。

息子は、歴史深きこの京都の街で、ひとまわりもふたまわりも成長するのだろう。母はいつまでも応援している。

金木犀の香が漂うこの季節には、この京都旅行を必ず思い出すだろう。感謝の思いで、京都の地を後にした。


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