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エネルギーの地産地消、ソーラー蓄電システムの紹介

前回の夏場の日射遮蔽の記事から約1か月、北海道はひんやりした日が続きます。これから冬にかけては日射遮蔽ではなく日射取込が最も重要になります。冬になったらそちらの記事も書いていきたいと思います。

さて、私は2011年3月の東日本大震災及び福島第1原発の事故をきっかけに、恩師である方に師事し、建築の世界をやめてバッテリーを使ったソーラー蓄電システムの開発に携わっていました。恩師が亡くなりそのプロジェクトはなくなったのですが、その思いを受け継ぎ、今フローの取組みに繋がっております。

今回は今年8月に自宅兼弊社事務所に追加導入いたしました、ソーラー蓄電システムの概要と効果について紹介したいと思います。今回初めて目次で生地整理してみました。少し長いですがぜひご覧ください。


■ソーラー蓄電システムの仕組み

一般的なソーラー発電システムと蓄電システムフローの比較

一般的なソーラー発電システムは、屋根に大きなソーラーを設置、パワーコンディショナーで家の電気を供給し、余った電気を売電するシステムです。
こちらの欠点は発電した電気を自分の家で使う場合、太陽が出ている日中か、新たに蓄電池を導入することになります。

それに対して蓄電システムは売電を行わず、ソーラーの電気をバッテリーに貯めて、インバーターで交流に変換し、家の電気に使用することができます。またバッテリー残量が減った時にバッテリー電源から電力会社からの電気に切り替える機器を取り付けることで、普段の生活でそのまま利用することができます。

まさにエネルギーの地産地消が実現できます。

左が通常のコンセント、右がバッテリー→インバーターに繋がるコンセント。このように各所に配線しています。バッテリー容量がなくなれば商用に切り替える機器を入れているので、機器を繋ぎっぱなしでOK。

■弊社事務所蓄電システムの導入理由と概要

弊社事務所は4人家族の一般住宅と兼用しております。実はもともと省エネ意識も高く、電力使用量は少ないと思います。
2018年9月のブラックアウトをきっかけに蓄電システム①を導入しました。冷蔵庫と事務所PCなどを接続していましたが、4年たちさすがに鉛バッテリーも弱ってきたことと、昨年作ったウッドデッキの屋根ができたこと、そして廃棄した太陽光パネルを在庫として持っていたため、今回思い切って蓄電システムの追加に踏み切りました。

●蓄電システム①(2018年10月導入)

ソーラー蓄電システム①

【太陽光発電容量】 203W×2=0.406kW(南西向き)
【バッテリー蓄電容量】鉛蓄電池(ゲルタイプ)約2,520Wh(70%深度)
【インバーター出力】100V 2000W 
・フロー事務所(PC、モニター×2、プリンター、モバイル充電)
・居間TV、AV機器
・家族モバイル充電コンセント
・充電式掃除機

●蓄電システム②(2023年8月導入)

ソーラー蓄電システム②

【太陽光発電容量】 195W×8=1.560kW(南東向き)
【バッテリー蓄電容量】リチウムイオンバッテリー約5,500Wh(90%深度)
【インバーター出力】100V 2000W 
【接続機器・負荷】
・エアコン1台
・給湯・暖房ボイラー、洗面所換気扇
・冷蔵庫
・光回線及びルーター等通信機器
・息子リモートワーク用PC関係

■効果の見える化

蓄電システム②を導入した2023年8月19日の1か月前から直近までのソーラー発電電力量、バッテリー使用電力量、購入電力量、それらの相関をグラフ化見える化しました。

ソーラー発電電力量
蓄電システムバッテリー使用電力量
電力会社購入電力量
購入電力量+蓄電システム+太陽光発電相関グラフ

■導入の効果

●エネルギーの地産地消

まさに自分で作ったエネルギーを自分で使う、通常の太陽光発電システムでは得られない地産地消の感覚は、採れたての野菜を食べるのと同じ充実感を得られます。

●電力購入量、CO2排出量の削減

今回蓄電システム②を8月19日に導入しましたが、購入電力が導入前209.4kWh、導入後が101.1kWhと約50%の削減でした。以下のグラフを見ても使用電力量のうち購入電力量の割合が87.4%から44.4%に大幅削減となっています。CO2排出量についても購入電力量の削減につき、わずかですが75㎏-CO2/月の排出量削減につながりました。

蓄電システム②導入後の使用電力量割合比較

●夏季のエアコンとの相性の良さ

上記のグラフでもわかりますが、今回の蓄電システム②は全体の約23%であるエアコン稼働を目的としたため、バッテリーもインバーター出力もかなり大きくなりましたが、そのおかげでエアコンフル運転でも1度も止まることなく使用することができました。
また、当然冷房使用する時は晴れの日が多く、発電した電力をそのままバッテリーから使用することができる為、ソーラー蓄電システムと夏季の冷房については非常に相性がいいことがわかりました。

●災害時の非常用電源としての効果

蓄電システム②導入後、9月12日10時ごろ札幌は局地的な大雨、雷に見舞われました。そのせいで札幌では1分程度の停電が何度か続きました。
当日仕事中でしたが、蓄電システムから供給された電気は全く被害を受けることもなく、照明などが落ちて停電に気づく状況でした。
こうした災害は、ほんとにわずかではありますが、それでも恩恵を非常に感じることができました。

■導入のデメリットと課題

●コストメリット

今回はソーラーパネル以外は新たに購入し、80万ほどの投資となりました。さらに設置工事を業者にお願いすると、工事費がさらにかかります。メーカーもののシステムは補助金などがありますが、こうしたDIY系のシステムは対象外。削減電力料金で元を取るという話には残念ながら無理です。

●DIY要素が高い

自分は元大工の経験もあり、工事は全てやりましたが、一般の方にはハードルは高いと思います。特に屋外の太陽光パネルからのケーブルを屋内に配線する穴空けやパネルの固定などは難しいかもしれません。
しかし、自分でエネルギーを生み出す経験は成功した時の喜びもひとしおです。是非チャレンジしてみてください。

●インバーター騒音

実は今回初めて知ったことで、2000kWのインバーターの冷却のためのファンの音がかなり大きいです。定期的に2〜3分ほど回っています。
バッテリーも大きい為、設置場所がフロー事務所PCの横なのですが、少し仕事に支障が出ています。

■最後に

前回のシステムから、蓄電システム機器の購入は蓄電システム.com様にお世話になっております。

今回もお盆中にも関わらず、私の勘違い(ソーラー接続、4直2並列を2直4並列と勘違い笑)をきちんと誠意持って対応いただきました。

小さなシステムのセット販売もありますので、是非チャレンジしてみてください。

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