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『next to normal』雑感(注!内容に触れています!)

久々の連日投稿です。私の中で感情がこぼれ落ちて、それをそのままにしておけなくて、noteにつづって、という感じ。キャストの皆さんのことを書こうかと思いましたが、その前に書き留めておきたいことがあって、タイトルを「雑感」としました。

個人的な話になるので、作品そのものの感想は少しですが、作品の内容には触れています。

今回、私がこの作品の登場人物で感情移入したのは、ナタリーでした。ナタリーが抱く家族への不安や恐怖、焦り。ヘンリーという存在が現れても、誰かに近づくことも近くに来られることも怖い。自分もいつか母と同じようになってしまうかもしれない。そう思うと、早くここから出て行きたい。押し潰される思いが、昆さん演じるナタリーから感じられました。

ナタリーは、今は亡き兄ゲイブのことを時に「アイツ」と呼び、嫌悪し嫉妬し忌まわしい存在として捉えているようでした。両親が亡き兄に心をとらえられて、目に見えない兄の方が生きている自分よりも愛されている。劇中の♪superboy and the invisible girlは、曲調はキャッチーですが、歌詞が本当に苦しくて切ない。昆さんの力強くて真っ直ぐな歌声がナタリーの胸の内を語っていました。(海宝さんのゲイブの声が重なるところは、音がびりびりと伝わり心が震えました)

私もナタリーに似た境遇にありました。いつだったかは覚えていませんが、母から私には兄がいたということを告げられたのです。ずっと一人っ子だと思って生きていました。母が時折、男の子を持つと大変だとか、男の子は身体が弱いからとか、言っていたことを思い出し、何か引っかかるところはあったのですが、まさか、、、という衝撃を受けました。

きっと、家族にはひとりひとりの背景が重なって、どの家族にも物語がある。伏せられて知らされないままかもしれないし、向き合わなければならない時が訪れて知るところになるかもしれない。この作品を観た後、何も自分だけがどうこうではなくて、本当に色々あるんだということに気づかされました。

私は、母の告白以来、会うことのなかった兄が、何となく自分の中にも存在しているような、ひとりじゃないという心強さを得ました。行き詰まった時は、兄ならどう考えるだろう、と。

『next to normal』に出会えて、私もまた光を浴びたひとりです。かけがえのない観劇体験に感謝です。



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