西嶋明子

コロナ禍の世界。石の重さも違って感じられるような日々。20年来のニューヨークの住人がみ…

西嶋明子

コロナ禍の世界。石の重さも違って感じられるような日々。20年来のニューヨークの住人がみなさんに綴る、過去、未来、現在のことがら。日記であったり、物語であったりします。

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  • コロナ時代のヨガ教師

  • たまには文化にどっぷりと(ダンス、ジャズ、三線、アート)、)

最近の記事

音の世界というもの

大雨の夜、カーネギーホールに辻井伸行さんのピアノコンサートを聴きに行った(もちろん自転車)。*ちなみに辻井さんの「辻」は点が一つのものらしいが、普通にタイプできないので「辻」とさせてもらいます。 クラシックのことは全くよく知らない私。でも以前辻井さんの人生を幼少時から遡ってまとめたドキュメンタリー番組を観たことがあり、彼のはち切れんばかりの笑顔と明るい弾き方がとても印象に残っていたので一度生で聴きたいと思っていた。パンデミックを経て3年ぶりのニューヨーク公演だそうだ。 会

    • 冬空に魔笛

      寒い寒いクリスマス・イブのお昼に、モーツアルトのオペラ「魔笛」をリンカーンセンターのメトロポリタン・オペラハウス(メト・MET)に観に行った。オペラのことは何にも知らないのだが、これは冬のホリデー・ファミリー・プログラムなので何とかなるだろうと思い、今日が誕生日の息子と行った。 この日、ニューヨークは全米を襲う大寒波の影響で日中でも-13℃。車を降りてリンカーンセンターまでのたった1ブロックが流石にしっかりと寒い。透き通った青空と劇場をバックにリンカーンセンターの広場を携帯

      • ダッチオーブンの哲学

        アメリカに住んでいると年の瀬よりもクリスマス前が慌ただしくなる。特にうちは息子の誕生日がクリスマスイブなので、誕生日パーティとクリスマスが重なって何度もケーキやプレゼントを買う羽目になってしまう。といっても普段うちは慎ましい生活。年に1度だけちょっと買い物をして贅沢な気持ちになれるのでかわいいもんである。私はいつもあまり物ではなくて、みんなでどこかに行くイベントなどをプレゼントにしている。 今年は自分にキャストアイロンの鍋を買った。ダッチオーブンである。2クオートの小さめの

        • 種子島のはなし・その2

          2日目。 昨日から、どうも明日は風が強く波が高くなりそうだと言われていたものの、いやいや、みんな遠くから来たんだからちょっとくらい船に乗せてくれとひっそり思っていた。なのに朝起きて外に出たら何やら台風の前のような横向きの風が・・・。次第にこれはちょっと、と素人にも思えるような強風になって雨も時折降るようになってしまった。 雨はまだしも風が強いと漁船は出ない。 種子島で漁船? と思われるかもしれないが・・・トビウオ漁ではないです(笑) 今回の旅のメイン・イベントは何と言っ

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          種子島のはなし

          種子島には鹿児島を経由しないと行けない。 簡単な観光マップにはちゃんとした位置にも載ってないし、島の形すらないこともある。 私たちは奄美大島から行くので船と飛行機のどっちで行こうか考えていたが、奄美大島と種子島の距離がわかる地図を探すのにしばし時間を要してしまった。本当はフェリーで行きたかったが時間もないので奄美から飛行機で鹿児島空港に行き、それから空港リムジンバスで鹿児島港に行き(遠い)、高速船トッピーに乗ってようやく種子島の西之表港に着いた。 *トッピーは早いが乗車券

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          からだを変える9日間のヨガワークショップ

          もうすぐ日本はゴールデンウィークの期間になるので、お出かけを予定されている方も多いと思います。そして実はこの期間中、私はニューヨークの自宅からオンラインで”京都国際ダンスワークショップ・フェスティバル”というものにヨガ教師としてワークショップを教えます! 題して 「からだを変える9日間のヨガワークショップ」 ジャジャーン(⌒▽⌒) このフェスティバルはコロナ禍以前はもちろん対面のみで、世界各国から著名で才能あふれるダンサーや振付家が来日してワークショップやパフォーマン

          からだを変える9日間のヨガワークショップ

          自分の中心を感じる

          毎週2日間オンラインで教えている日本語インヤンヨガクラス。 次回のテーマは「自分の中心を感じてバランスをとる」です。 めちゃ基本で今さらって感じですが・・・ というのも 自分の中心となる軸から動けたら全てが楽に動けるんじゃないかと私はいつも思っているのです。私の体のいろんな部分はあちこち歪んでいて、お互い違うことを言い合っていることが多いのですが、それを一つ一つ聞いて何とかまとめるのではなく、人間の体ってどこかでうまくできてるはずだから何かがカチッとハマれば一瞬でパッと変

          自分の中心を感じる

          聖者が行進するとき

          3-4歳の子どもたちとヨガをさせてもらっている日本語の幼稚園(プレ・プレキンダー)にジャズバンドがやってきてミニ・ライブをしてくれた。生徒のお父さんがジャズミュージシャンだということでまさしくニューヨークっぽい話だけど、そんな小さい時期に一流ミュージシャンの生演奏を教室で聴けるなんて本当に素晴らしい体験だと思う。 私は演奏を聞かなかったけど短いビデオを見た。 “When the Saints go marching in”というよく知られている曲、日本語ではよく「聖者が街へ

          聖者が行進するとき

          ニューヨークで琉球文化の架け橋に触れる

          今年が沖縄の日本復帰50年目にあたるということを沖縄県民以外の日本人で知っている人はどれくらいいるのだろう。ニューヨークでもジャパンソサエティで沖縄関連のイベントが行われていて、メインとなる琉球舞踊のパフォーマンスに私も行ってきました。 今公演の演出ディレクターは宮城流の嘉数(かかず)道彦さんというまだ40代前半の方ですが、なんと国立おきなわ劇場の芸術監督を33歳からやっておられるとのこと。古典芸能では珍しい?舞踊家と演奏家からなる一行はいろんな流派から集められたと聞きまし

          ニューヨークで琉球文化の架け橋に触れる

          ニューヨークで福島ピースウォーク

          今年も3.11、福島第一原発メルトダウン事故を想いながらニューヨークにあるインディアン・ポイント原発まで平和行進に参加させてもらった。 メトロノース鉄道ピークスキル駅前で集まって、そこから2マイル(3.2キロ)歩いてニューヨークのインディアンポイント原子力発電所まで歩く。長年ピースウォークをやっている日本山妙法寺の純さんとマサチューセッツのピースパゴダのトビーお上人を先頭に、下は9歳、16歳の若い子たちから上は何歳か知らないけど上の方たち、猫も混じって太鼓を叩きながら歩く。

          ニューヨークで福島ピースウォーク

          雪の日にニューヨークで

          雪だけどせっせとマンハッタンのアッパーウェストへランチに行ったよ。 やっぱクイーンズと違って洒落てるわあ〜😀 ウェストサイドっていつも道がよくわからない。コロンバスとかアムステルダムとか道の名前は番号にしてくれとつぶやきながらスノーブーツでわしわし歩く。 赤いラインのサブウェイってさ、なんかいつも車内暗いし、週末のゆっくり運転度も高めのような。ごとごとごと、と電車は行く。(たまにはいいけどいつもはロスタイムゼロの自転車がいいね😌) でもやっぱりセントラル・パークが近

          雪の日にニューヨークで

          もぐらの誕生日のひみつ

          今日2月2日は、アメリカでは「グラウンドホッグ・デー」と呼ばれる地面からもぐら(本当は別名ウッドチャックと呼ばれるでかいリスですが、もぐらの方が似合うので勝手にもぐら扱い)がそろそろ春かなと顔を出す日らしい。出てきて後ろを振り返って自分の影を見たらその年は後6週間冬が続き、影を見ずにその場にとどまっていたら春は近いそうです。何でやねん。。ちなみに今年はもちろん影が見えて冬続行。。。 この習慣はヨーロッパ各地にもあるそうで、日本も2月3日が節分だし、この辺りが冬と春の境目なの

          もぐらの誕生日のひみつ

          昔といっても4年前だけど

          (4年前にFBに書いたものを読み返してしみじみしたのでここに載せておきます) 最近は一人で眠れるようになったアカルくんだが、今度は母がさみしくなってたまに狭いベッドにもぐりこんで無理やり日本語の本を読んで聞かせている。 私と一緒に眠るときはいつも「マイ・キッズ」と呼んでいる4つのぬいぐるみを間に並べてひとりひとりにちゃんと毛布をかけてあげるアカルくんなのだが、たまにぬいぐるみを撫でながら"I'm gonna miss these guys when I grow up(大

          昔といっても4年前だけど

          こどもとヨガがたのしくてたのしくて

          今年の初めからブルックリンのアフタースクールでヨガを教えている。 いろいろ感じたことがあったので今日はその話。 アフタースクールとは日本でいえば学童みたいなものだろうか。 アフタースクールは高校まであって、大抵はその日なにをするか決まっている。サッカーだったり、映画を見たり、宿題をする日だったり、好きなプログラムを自分で選んで登録する。市立は大抵無料、私立は有料などさまざま。 私が行っているのは3歳からキンダー(日本で言う年長さんだと思う)までの日本語の幼稚園についている

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          アイアンガーヨガのつよい女たち

          昔インドネシア人の男性同僚に「男と女の人生ってどっちが大変だと思う?」と聞いたら 「たぶん女だろうね」 という答えが返ってきた。 理由は「いろいろ責任を押し付けられて家庭を支えないとダメだし」「社会的に弱い立場でもある」だからだそう。 今の時代、「女性」と言っても生き方や環境が様々なので一括りにはできないが、やはり弱い立場、責任を押し付けられる立場というのは言えると思う。 すぐに「女」と答えた同僚には少し感心した。 日本で同じ質問をしたら、答えは「男」と返ってくるのがほ

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          1月17日

          あの日の前日まで私は2週間くらい風邪をこじらせていて同じ京都市内にある実家に戻っていた。 やっと熱も下がったので寒い古アパートに帰ってきて、大きな木の横にある部屋で眠っていた。そして突き上げるような揺れに飛び起きた。 京都は静かだった。周りは何もない丘の上のアパートだったせいか外からも特に物音は聞こえなかった。 すぐに電話がかかってきた。母からだった。 「大きかったな」 「すぐにテレビをつけなさい」 あ、そうか、テレビってこういう時につけるんだと思いながらニュースの