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諸行は無常である ナンバーガール解散前の心境

ナンバーガールの解散が迫っている。
迫っているというか、あと1日になった。明日だ。
また解散してしまう。
ナンバーガール活動中に思ったこと、解散前に感じたことを書けるのはもう今しかない。解散前と最後のライブ後と、自分の中で何が変わるのか、変わらないのか知りたいから、個人的に今思ってることを綴ることにした。

ネットニュースで解散を知った時は、まあそうかなという感想だった。
そもそもライジングサンに出て、あと何本かやるかも、みたいな感じだったから活動がずっと続くとは思っていなかったし、最後のライブが迫っても寂しさはなかった。メンバーも楽しそうだし、当時の解散とは違って、ライブを楽しんで笑顔で送り出せそうだなと思っていた。
…が、2日前にして急に感傷的になってきてしまった。やっぱりまだ観たい。
その理由は二つある。 

新曲の可能性があった

まず、スッキリ出演時に、向井が解散すると決めたことに対して求められたの中尾憲太郎のコメント

僕は新曲とか作りたいなーって言ってたんすけど

日本テレビ スッキリ 2022年12月9日放送

あの中尾憲太郎が!
脱退すると言って空中分解したナンバーガールで!!
新曲を作りたいと言った!!!

最初の解散をリアルタイムで体験したリスナーにとっては、こんなに嬉しく幸せなことはない。胸熱すぎる。
森アナじゃないけどそのコメントだけでもう勝手に涙が出てくるわ…。
活字ではなく、本人の口から聞けたことが嬉しいし本当によかったと思う。

中尾憲太郎の、この発言が聞けただけで、17年の歳月を経て再結成した意味があったと思う。
再結成ありがとう、スッキリありがとう、あとメンバーに満遍なくコメント求めてくれた加藤浩次ありがとう。ありがとう中尾憲太郎。

金を稼ぐ為に再結成して昔の曲だけ演奏するということが、こんなにも求められてカッコよくて、新しいファンを獲得し、またフォロワーとなるバンドが新たに生まれるだろう。そんなこと、ナンバーガールだからこそ成立しているし、それでも十分すぎることだと思ってたが、新曲聴けるなら聴きたかった…なんならツアーも…と思ってしまった。

「言うことを聞かない」向井に猛プッシュして何とか実現して欲しい…。
未発表曲で何年後かに発表で小銭稼いだらいいのに…。


ライジングサンでの解散発表はツラい

もうひとつの理由は、スッキリ出演と同日の夜に、Youtubeで無料公開された「ライジングでのNUMBER GIRL」で解散発言を初めて観たこと。

当然知ってるのになんかショックだった。
これ実際に自分が現地に行ってたら、ついにライジングサンでナンバガ観られて最高…!!という状態から、一気に突き落とされたのではないか…恐ろしい…。いつまでも続くものではないとわかっていても、やっぱりナンバーガール最高とか思ってる最中に言われたら感情の処理が追いつかない気がする。

しかし「諸行は無常」なのである。リスナーが幾度となく耳にしてきた言葉。向井の言う通りだ。見事な引き際。

最後となるぴあアリーナは広いし、座席は3階だし、オールスタンディングじゃないから、空間の密度や熱量がナンバーガールを切実に求めていた当時のような状況ではないし、きっと冷静なまま楽しんで終われるハズ。泣くことはない、大丈夫…なハズ。


再結成後のナンバーガールは刺さっていない?

再結成を渇望し、実現に目を耳を疑い、目の前で再び繰り返される諸行無常を、できることなら全部目に焼き付け記憶に刻み付けたいと思っていたのに、コロナやら何やらで熱が冷めてしまった。
そもそもライブができない状況で、いつ再開されるかわからない。少しずつ開催され始めてからも、証明書が必要とか、面倒くさいことが増えて、気軽に行けなくなってしまったことで、ナンバーガールに限らずライブ情報を一切追わなくなった。そして気がついたら解散が発表されてしまった。

コロナとか日常の忙しさも理由だけど、やはり当時、ナンバーガールの轟音にカラダをグサグサ突き刺され、貫かれていた頃とは自分も環境も変わっている。

ナンバーガール不在の間に多くの音楽を取り込んできたし、ナンバーガールがいなくても乗り越えてきた。今の自分に絶対に必要なものではなくなっていた。17年という年月とはそういうものだ。

今でも覚えている。
早朝、バイトに行くために自宅マンションの駐輪場から道路に出る狭い通路をベスパを押して通り抜けている最中。ガラケーに届いた友人からのメールでナンバーガールの解散が発表されたことを知った。

これからどうやって生きて行けばいいんだろう

あまりにも急な解散で、本当に意味がわからなかった。
その日は一日中、「いやマジで意味わからん…」とブツブツ呟いていた気がする。

ナンバーガールが大きな部分を占めていたから理解が追いつかなかった。発売済みだった最後となるツアーのZepp Tokyo のチケットは幸運にも既に確保してあったのは不幸中の幸い。

もう二度と観られない目の前の光景を、二度と聴けない突き刺すような轟音を、鬼気迫る演奏を繰り広げる四人に、二度と手が届かないその場所に少しでも近づきたくてモッシュの中、とにかく前へ手を伸ばした。最後だとは信じたくなかった。

解散後も当然聴き続けた。頻度は減っていった。世の中にある素晴らしい音楽を全て聴くには時間が足りなさすぎる。ナンバーガール以外にも刺さる音楽はある。それをひたすら探す旅。でもやはり思い出したように、ナンバーガールを聴く。まだメンバーみんな生きてるし、再結成しないかな…まあムリだろうなという日々で突如訪れた吉報。

17年の時を経て、目の前に再び現れたナンバーガールはナンバーガールだった。涙が出た。

コロナ前とコロナ後のナンバーガールを観るということ

2019年に再結成してから、解散後にナンバーガールのライブを観ることができたのは、結局1回だけだった。チケットを取った日比谷野音のZAZEN BOYS とのツーマンはキャンセルになった。

再結成ライブ1発目のライジングサン。死ぬほど行きたかったけど難しい…と涙目だった。が、再結成後に初めてゲットしたチケットは、なんと2019年7月27日土曜日の新宿LOFTでのライブ。予定されていたライジングサンより前に、しかも新宿LOFTという300人規模のライブハウスとかなりレアなライブを目撃することとなった。

きっとまだ100%ではなかったかもしれないが、かつてボロボロになるまで聴いたCDやiPodでデータとして再生されていた、この曲あの曲が、あの頃見た光景が目の前で繰り広げられていることがいつまでも信じられなかった。
何の制約もない、活動休止前と同じ条件で、気づいたら昔のようにステージはカラダが引き寄せられていた。

このライブがどれだけ貴重な体験だったかと、今になって痛感している。
今、新宿LOFTでライブをやっても、同じ状況になれないからだ。叫ぶこともモッシュすることも、ナンバーガールのライブではもうかなわない。

野音も結局行けなかったし、座席ありで観る、しかも最後のナンバーガールはどんな感じなんだろう。制約のある、広い会場で、自分がどう反応するんだろう。

会場の熱があの頃の殺るか殺られるかくらい緊迫感のあるライブを形成していたのは間違いない。
感情を100%出し切ることのできない広い会場で、再び味わう解散という現実に対してどう向き合うのか。不安であり楽しみでもある。

これは最後の祭りだ。MATSURI。



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