「うるしとともに」が沁みる冬
スペイン大使館のお隣りにあるこの美術館は、分館で小さめですが、住友家が集めたものだったり、関西の財界人由来の名品っぽい展覧会があり、静嘉堂(丸の内)、三井記念(日本橋)と合わせて心の中で財閥シリーズと呼ぶお気に入りです。隣りにHARIOのティールームがあるのも良いです。
今回は漆器。「うるしとともに くらしのなかの漆芸美」ということで、漆塗の芸術的な、でも実際に使われた器や文具がありました。圧巻は冒頭にも出した祝い膳30人前セット「花鳥文蝋色蒔絵会席膳椀具」。以前こちらの展覧会で自宅の客間を飾った屏風が展示され、当時の自宅平面図を見ましたが、確かに襖を開放すれば30人くらは収容できる大広間があった=そのためのお膳セットも必要ということで・・・納得。
次は能楽をテーマに揃いで作られた「扇面謡曲画蒔絵会席膳椀具」の丸盆。実際に使うものではなく、こうやって丸盆だけ飾るものかと思ってしまうような美しさ。1枚ずつに扇に違う図柄が蒔絵で描かれ、その図柄が謡曲の内容を示しているという凝り方。
扇の柄だけでなく、その配置もちょっとずつ違う。しかし、能楽の教養がないと、自分に当たったお膳の意味がわからない・・・ということで、ここには図柄と関係する部分のあらすじもちゃんと解説されていました。この謡曲柄は丸盆だけでなく、会食膳として作られています。ということで、まさに実用性のある芸術。
こちらは赤漆のセットで華やか。それでも漆の赤は落ち着きがあるのでこれだけ揃っても品がいい。ちょっと珍しい獅子唐草模様も。
この展覧会は第一室だけ写真OK。残念ながら他の部屋にあった素敵な螺鈿の器は撮影できず。美術館の展覧会サイトを見ると掲載ありますが、細かい螺鈿の容器が素晴らしかったです。青貝による微妙な表現がなされていて・・・それ以外にも軍鶏柄の筆箱とか、洒落た文具もありました。
あとは、なぜか大皿も同時展示。近年寄贈されたという瀬川竹生コレクションの染付大皿で、面白い柄が色々あり。これはどちらかというと飾る大皿?なんでしょうか。直径40センチ以上のものが何枚もありました。
氷雨で外をゆっくり歩くお天気ではありませんでしたが、ここはお隣がスペイン大使館、目の前にはスウェーデン大使館と雰囲気のある建物も多く、公園はライトアップもされているのでお散歩に良い場所です。最近は麻布台ヒルズが近くにできたからそっちに人が流れているかも?
今回は、能登半島の地震の直後に偶然うるしをテーマにした展覧会ということもあり、受付に公益社団法人日本工芸会へ令和6 年能登半島地震復興支援として指定寄付する募金箱があったことに、帰宅してHP見つつ振り返っていて気付いた。待ち合わせに遅れると焦っていたので気付かず・・・反省中・・・
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