『ソープ嬢』

長く東京に出ていた友人が
地元に帰ってきた。

垢ぬけてるかと思ったら
すっぴん眼鏡じゃないの

友人を見て
変わらない笑顔にほっとした。

今度結婚することになったんだ
そういいながら
友人は
コーヒーを飲む。

私はおめでとう！
良かったね～
とさらりと答えたのだが、

友人は俯いてボソッと
私ね東京でソープ嬢やってたんだけど
一日に２５万ほど稼いでいたのね。

私はびっくりして
固まってしまった。

その時期に
たまたま知人の結婚式に
出席したんだけど
新郎新婦も会場にいる人たちも
みんな幸せそうでね・・・
私、お金はあるけど・・・
この笑顔は買えない。
そう思って・・・

彼女は落ち着いて話をつづけた。

勇気を出して
ソープ嬢やめてね
介護の世界に入ったの。

そしたらね
おばあちゃんたちが
私、何もしてないのに
手を合わせて、ありがとうって言ってくれるのね。

私はまっすぐ彼女を見る

私、心を満足させることは
お金じゃない。
って、本当に・・・

ごめんね
こんな話。
誰かに伝えたかったの。
旦那様も私の過去は知ってるんだけど
受け入れてくれたのね。

指には小さなダイヤが光っている。

幸せって何か？って
考えたとき
人間、何か変われる時なのかもしれない

私は友人の手を握って

おめでとう

心からそう呟いた。