ゴミはゴミ?
外へ出るとモワァッとした空気と煙たい香りが漂ってきた。
暑い上に、煙のせいで更に息苦しい。
またどこかで野焼きでもしてるのかー。
それにしてもすごい煤だわ。何を燃やしているのか。
しかし
行けども行けども煙の充満と大量の煤。
建物の陰になって見えないが、あそこから大量の煙がでている。ただの野焼きにしては多すぎるわ。
そんなことを考えながら暫くたって、
消防自動車が1台やってきた。
そして煙が出ている方へ。
火事だったのか。火はみえないけれど。
ホーチミンは乾季で3ヶ月かそれ以上雨が降っていない。
そんな中、煙り充満の状況はかなり厳しい。
私の住むレジデンスには、他の外人やお金持ちなベトナムの人も多く住んでいる。が、1歩外へ出ると、そんなことお構い無しに現地のベトナムの人が生活している。当たり前だ。
当然、野焼きというかゴミ焼きもしている。
迷惑なんて気にしたら生きていけない。
日本ではゴミを焼くことは、ダイオキシンが発生するからということで、ずいぶん前から禁止になっているが、こちらベトナムでは健康被害なんて言葉は程遠い。
道路の隅の辺りで何かしらが燃えていることよくある。
私にとっては懐かしい臭いだが、健康的にはダメなのよね。
ゴミも、道路の隅やそこかしこにたくさん落ちているし、何なら漁っている人もいる。
ゴミの中から使えそうなものを探しているのだ。
ホーチミンでは日本のように、プラスチック、紙類、大型ゴミなど分けて収集するということにまだまだ意識が向いていない。というより、ゴミにまで目が向かないのが現状ではないかと思う。
やはり貧しい人が圧倒的に多い。貧しいとまでは言わないが、それでもやはり資本主義の我々の生活とはおおいに異なる。
一応、ビン缶はゴミ箱で分けているが、リサイクルしているとは考えにくい。
なので、
ちょっと壊れて使えなくなったものや、サイズアウトした服などマンションにあるゴミ捨て場に持っていく。
ある日
私の住むフロア担当で、挨拶や軽い話をする掃除のおばちゃんが、大量に服や小物を床に広げていた。マンション内の通路で、通りすがり見てみるとどうやら何か様子がおかしい。ピンクの子供服は薄汚れているし、帽子もへたっている。
マンション住人の捨てたゴミだと、その時気づいた。
おばちゃんが仲間の監視員さんや掃除のおばちゃんたちとお店を広げて分けあっていた。
おばちゃん指導で。
それを見たあと、何だか気まずくて、ずっとゴミを出すのを戸惑っていた。生ゴミや紙類等は出せるけど。
暫くたったある日。
ピンポーン♪
ドアのスコープから覗くとあの掃除のおばちゃん。
ドアを開けると、ベトナム語で何やら言っている。
どうやら我が家が引っ越すことを知ったらしい。
その手には2日くらい前に捨てたはずのアルミのお弁当箱の下の部分。ご飯をよそう方。
上の蓋は日付を開けて捨てたはず。
バイバーイ
軽く右手を挙げおばちゃんは去っていった。
大事そうにお弁当箱の下部分を、布でフキフキしながら。
使えるもの捨ててごめんね。
上の蓋と分けてごめんね。
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