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【幸福論】なぜポジティブ=幸福ではないのか?|大退職時代到来!あなたの仕事の目的は『幸せ』になること

なぜ、ポジティブ=幸福ではないのか?

哲学を読み解くことで
その答えがわかりました。


どうも、安全・安心と絆でつながる
キャリアコンサルタント
のタルイです。



今回の記事は
私のkindle出版用の原稿を
紹介しようと思ってましたが
ごめんなさい。まだ書けてませんw

産みの苦しみ中…


言い訳になりますが…
kindle出版の後に
商業出版する予定なので
まとめるのに時間がかかってます💧


代わりに、
この次にkindle出版する予定の内容を
今回ご紹介したいと思います。


テーマはずばり「幸福論」です。


なぜ私が
幸福論を取り上げたかというと

いまアメリカを中心に
イギリスやフランスまで
大退職時代(グレート・レジグネーション)を迎えて

アパレル、宿泊、飲食サービスなどを中心に
労働者が大量に仕事を辞めているのです。

「TikTok」に、仕事を辞めたことを共有する動画



いま欧米では
「仕事辞めてみた」が大流行。



この流れでいくと…おそらく
日本でもまもなく流行るでしょう。

アメリカの店や会社側は、
賃金を引き上げて
従業員を確保しようとするも…

「時給4000円」でも働かないそうです!


大退職時代は
単なる賃金・報酬の問題だけでは
ないようです。


報酬が離職に与える影響を1としたとき
特に有害な企業文化が10.4倍の影響がありました。

これからは、
働く人が幸福になれない職場
人手不足で潰れてしまいます。


この流行は以前からあり
パンデミックをきっかけとして
人生の見直しが迫られているのです。

「賃上げ」「福利厚生」
「ハラスメント」等々…

確かに企業や会社にも
改善しなくてはならないことが
たくさんありますが

働く人のマインドセット
つまり、先入観・信念・判断基準や
無意識の思い込みにも

変わっていく時代なのかなーと
考えております。


そこで今回は
私たち多くの日本人が
勘違いしているマインドセットである

ポジティブ=幸福
を取り上げてみたいと思います。


ポジティブ=幸福ではない



職場にポジティブな外的要素だけを
求めて転職しても結局はガチャです。

当たりを引くまで転職ガチャ
繰り返すことになります。


では転職しない方がいいかというと
それも違います。

ブラックな職場に一片だけある
微細なポジティブな面だけを見て
ネガティブの側面から目を逸らすことで
現実逃避して自己満足に陥るだけです。
(心理学でいうポリアンナ症候群)


さて、

ポジティブな面を追い求めてもダメで
ネガティブな面に耐えてもダメとなると


一体私たちはどうしたらいいのか?


その答えは『哲学書』にありました。

20世紀初頭の偉大なる三人の哲学者の
「幸福論」です。

ひょっとしてあなたは
哲学なんて、髭生やした
偏屈そうなおじさんが書いた
屁理屈をまとめて主張してるもの

と、思われているかも知れません。


と言いますか
私も以前そのような偏見を
持っていました。
(今でもちょっとあります)


そこでnoteで紹介するに
哲学者の主張に対する
論拠がほしくなり


日本が誇る幸福学の第一人者
慶應義塾大学の前野隆司教授の
幸せの4つの因子を論拠として
引用します。


仕事における幸福(Well-being)

「幸福というのは、夢や目標があって、やる気にあふれていて、仕事も私生活も人と比較せずにがんばろうと思える。そして周囲に感謝し、仲間と良い信頼関係が築けている状態なんですよ」

前野教授は統計学的エビデンスに基づき
長期的な幸せに関係する要因を、
過去の研究から徹底的に洗い出しました。

日本人約1500人を対象に
アンケートを実施

その結果をコンピューターで
解析したところ

幸せのカギは
次の4つの因子に集約されたといいます。

つまり職場で

「やってみよう!」
「ありがとう!」
「なんとかなる!」
「ありのままに!」

と、ポジティブな言葉が
飛び交う職場が理想なんです。


しかし職場の体質関係は、
会社に依存しても
なかなか変わりません。


場合によっては
自身のマインドセットを
変えることが最善とも思えます。


ここから三大幸福論を順に解説して
最後に改善のヒントを書いていきます。



▶︎アランの幸福論では「好きでやる仕事は幸福」

(ペンネームだったんだ!)


アランの自称は
「決してくじけない楽観主義者」


アランの超絶ポジティブぶりは
彼の有名な言葉からも滲み出てます。

「幸せだから笑うのではない
笑うから幸せなのだ」


あなたが上機嫌でいれば、
周囲の態度も変わる。

誰でも不機嫌になったり
カッとなったりしたことを
恥じる

あなた自身は
不機嫌になって人生を
台無しにしてはいけない。


なんにも努力しないで、
「幸せになりたいなぁ…」
と言っていても幸福にはなれない。

悲しみはいつか消えることを忘れない

いかなる運命も
善いものと思って
受け入れることで
幸せになれる。

というのです。



どうやらアランの思考は
欧米の成功者に多い
ポジティブ思考で
アグレッシブな行動家

のようですね。



アランの幸福論と
前野教授の幸福学の共通点は

「なんとかなる」因子です。

これは前向きさと楽観の因子です。


いつも前向きで、
「自分のいいところも
 悪いところも受け入れる」

という自己受容ができており

「どんなことがあっても
 何とかなるだろう」
と感じる楽観的な人は、
幸せになりやすいのです。


そんなアランの仕事観は


「好きでやる仕事は幸福」


役に立つ仕事はそれ自体楽しみであることがわかる。仕事それ自体であって、そこから引き出す利益ではない

アランは
元祖『好きを仕事に』の人ですねw


そんなアランは仕事の
“やらされ感”に反応しまくります。

「誰だって強いられた仕事は好きではない。好きでやっている仕事は楽しみであり、もっと言えば幸福である。」 
「いかなる職業でも自分が支配するかぎり愉快であり、服従するかぎり不愉快である。」


たしかに、
嫌々長時間拘束されていると
思っていたら

自分の成長もわずかなものです。


もう会社帰りに、
同僚と赤ちょうちんで一杯やって

会社の愚痴を溢しながら
会社の部品となって働くというのは
過去の話ですね。

六本木クラスは観ても
六本木に行かない若者たち…



▶︎ラッセルの幸福論では「仕事を楽しめれば幸福になれる!」

(三大幸福論の中で一番論理的な本)


ラッセルは言います。

自分自身にとらわれていると
幸せになれない。

自分の内側にばかり
目を向けるのではなく、
客観的に生きてこそ幸せになれる。

だから「外側に目を向けよ」


内省的でクヨクヨしがちな人に
は善いアドバイスですよね。


以前、このnoteでご紹介した
ヴィクトル・E・フランクル
同様のアドバイスをされます。


また、他人との競争を止めて、
本当に楽しいと思うことを追求すれば
幸せになれる。

と、優しいアドバイスも
書いてあります。


前述したアランのように
超絶ポジティブでアグレッシブ
感じとはすこし毛色が違います。


そういう意味で
「アランより普通にラッセルが好き」
という方も多いかもしれません。


ラッセルの幸福論は
前野教授の幸福学では

「やってみよう」因子です。

これは自己実現と成長の因子です。


人生の意義が明確で
自己実現をしている人は
幸福度が高いのです。


ここでいう自己実現とは、
やりたいことをやって
ワクワクすることです。

それが仕事でも趣味でも
ボランティアでも構わないのです。


夢や目標ややりがいを持って、
「本当になりたい自分」
を目指して成長していくとき、
人間は幸せを感じるのです。


ラッセルの仕事観は

「仕事を楽しめれば幸福になれる!」

特に仕事は大切である。熱意を持って社会に役立つ仕事をし、それに健全な誇りを持つことが、幸福の直接の源泉となる。その熱意は、自分の能力と仕事への自信から生まれるし、その自信は周囲に与え、そして与えられる愛情から生まれる。

私が特に好きな言葉はこちら

仕事を興味深くさせる2つの主要な要素がある。1つは熟練、もう1つは建設である。

『熟練』とは、
仕事の技能を上げていくことです。

もうこれ以上は無理という限界まで
人は仕事を通じて成長を実感できます。

『建設』とは、社会に役立つ仕事をし、
それに誇りを持つということです。

自分自身の仕事を恥ずかしいと
思っているような人は、
決して自尊心を持つことができません。


私にはラッセルと
下町ロケットの阿部寛さんが
シンクロしてます。

「成し遂げようとする夢の前では
大企業も中小企業もない!」




▶︎ヒルティの幸福論は「仕事自体が幸福になるもの」

(山羊のようなお髭…)


ヒルティはストイックの語源ともなった
ギリシャのストア派と
クリスチャンの影響からか

「信仰や信念を持って生きることが
 幸福につながる」

という姿勢が特徴です。

私の個人的な予測ですが

ヒルティーはこれから再注目される
哲学者だと思ってます。

なぜならば
「自分らしく」生きたい人が
増えているからです。


それでいて、情報の洪水や
周囲や自分の感情に振り回されがちで、

またそれが嫌で、
自分自身を理性で
コントロールする方法を探している


そんな方に
ヒルティの幸福論は最適です。


ヒルティの幸福論は

幸福学では「ありのままに」因子です。

独立と自分らしさの因子のことです。


人目を気にせず
自分らしく生きていける人は、
そうでない人と比べて
幸福感を覚えやすい傾向があるのです。

なぜならば、
他人の目を気にしない人は、
地位財(お金・快楽・社会的地位)
などよりも

他人との比較によらない非地位財
大切にする傾向があるため、
長続きする幸せを手に入れやすいのです。

ヒルティーもまた
「財産」「名誉」「地位」は
人を決して幸せにしない。

と断言してます。


他人と自分を比較しないというのは
実社会では難しいものですが

確かに自分の軸を
しっかり持って生きる人は
幸せそうですよね。


ヒルティの仕事観は
「仕事」を自分の人生の一つの柱とし、
幸せの源泉にしたいと願う方には最適です。


ヒルティの『幸福論』は冒頭から、

「幸福になるには仕事をちゃんとしなければならない」

仕事をするには勉強をして、
行動しなければいけない
と説いています。

この世の最大の不幸は、仕事を持たず、したがって、一生の終わりにその成果を見ることのない生活である
真の仕事ならどんなものであっても、必ず真面目にそれに没頭すれば間もなく興味がわいてくるという性質を持っている。人を幸福にするのは、仕事の種類ではなく、創造と成功とのよろこびである
最も愉快な、最も報いられることの多い、その上で最も安価な、最も良い時間消費法は、常に仕事である
仕事の上手な仕方は、あらゆる技術のなかでもっとも大切な技術である。というのは、この技術を一度正しく会得すれば、その他の一切の智的活動がきわめて容易になるからである。
それなのに正しい仕事の仕方を心を得た人は比較的に少ないものだ

とにかくヒルティは「仕事」に
打ち込めと力説します。


人間の幸福の最大部分は、
絶えず続けられる仕事
そこから生まれる「喜び」
「やりがい」であるというのです。



▶︎三大幸福論による仕事感をまとめると…

ここで、三大幸福論による仕事感をまとめると

アラン:「好きでやる仕事は幸福」
ラッセル:「仕事を楽しめば幸福になる!」
ヒルティ:「仕事自体が人生を幸福にさせる」


と、このようにまとめてしまえば
なんとも普通にポジティブなことしか
書いてありません。

20世紀初頭には斬新でも
21世紀のいまは語り尽くされた
言葉なのかもしれません。

アラン、ラッセル、ヒルティの幸福論は
ポジティブシンキングの源流とも呼ばれています。

私もよくあるポジティブシンキング系の
焼き回しの言葉を先に読んで知っているので

正直、
学ぶところがなかったのが感想です。


が、しかし、

後々まとめたメモを読み返して
私は気づきました。


幸福論はポジティブな言葉よりも
ネガティブが重要だったのです。


ポジティブシンキングとは

物事にはポジティブと
ネガティブの二面があり

嫌な出来事があったら
常にポジティブな面を見ることで
幸福になれる」
というものです。


よくある例えは
砂漠でコップに水が半分あるときに
「もう半分しかない」と思うか
「まだ半分ある」と思うかの違い


確かにそれは理にかなっているようです。



ですがポジティブシンキングを
実践するには
重大な要素が抜け落ちています。


まずはちゃんとネガティブを
受け入れることです。


砂漠で最重要に考えることは
コップの水の量の現状を受け入れた後
次の行動を考えることです。

「まだ半分あるから安心」
だけでは茹でガエルと同じで
いつか干からびます。


私はポジティブシンキングとは
2種類の考え方があると思ってます。


「嫌なことがあっても
 ポジティブな面を見なさい」と

「嫌なことがあっても
ポジティブとネガティブな面をみて
楽観的に考えられる」こと


この2つは似て非なるものです。



三大幸福学もよくよく読み解くと
ポジティブな面をみる前に
ネガティブな面を受け入れる
その必要性を説いてるのです。


アランは前提として
「人生というものは、そもそも
 苦しくてつらいものだ」

と書いてます。

人生は何もしなければ
ネガティブが真理だと。

だから必要なのは、
信じて微笑むことだ。
と綴っているのです。



ラッセルは不幸を産み出す源泉

「悲観主義」「競争」「過度の刺激」
「精神的疲労」「嫉妬」「罪悪感」
「過度な自意識」などの

ネガティブだと言っています。

そして人は自発的かつ主体的に
これら不幸を「回避」
幸福を「獲得」しなければならない。

そう説いてます。

この「自発的かつ主体的に」
ポイントです。

ネガティブの側面から
目を逸らし現実逃避し
自己満足に陥いれとは書いてません。


ヒルティも

自分でコントロールできる
「欲望・嫌悪・怒り・不機嫌」
制御して

自分でコントロールできない
「病気」「死」「貧困」

現実のものとして受け入れよ
と書いてます。

その上で人間の幸福の最大部分は、
絶えず続けられる仕事
そこから生まれる
「喜び」「やりがい」である。

と説いてます。



彼ら偉大なる哲学者の言葉を
私なりに要約して言い換えると



「表のラベルだけじゃなく
 裏のラベルも見てみよう」

です。

例えば、
スーパーやコンビニで
表のラベルをみて
商品を手に取って

裏のラベルを確認しないのは
危険な行動です。


まぁ、商品としては当たり前なんですが
表のラベルにはポジティブなことしか
書いてありませんw

しかし、裏のラベルには
たくさんの注意書きが
中にはネガティブなものも
書いてあります。

ちゃんと両方を見た上で
購入することは自己責任の範囲で
肯定的なアクションです。


ポジティブな面もネガティブな面も
ちゃんと受け入れた後に
楽観的にプラスに行動する

これが成功や失敗に問わず
一番健康的で人間らしい幸福論だと
私は考えます。




▶︎幸福とはポジティブとネガティブの中間

おそらく人類最古の幸福論をまとめた

アリストテレスの
『ニコマコス倫理学』によれば

最高善は幸福であり、最高善に達するためには「中庸の徳」を身につけなければならない。

「幸福は最高の善」であり
人生の究極の目的が
「幸福」であるとしました。

アリストテレスはその方法の一つとして
「中庸の徳」を提唱しています。


アリストテレスの中庸とは
「中間」の意味です。

例えば

「勇気は無謀(過剰)と
 臆病(不足)の中庸


のように

過剰と不足の過不足の中間に
『徳』があると説明してます。


よって「幸福」とは
アリストテレスの中庸で説明すると

「幸福」とは
ポジティブとネガティブの中間

つまり
ポジティブ=幸福
ではないのです。


ところで、
この中間とはどのあたりが
中間なのだろうか?


私は長らく
過不足なく足して2で割ったところに
徳があるものと思い込んでましたが…

これはどうやら
私の勘違いでした。


『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』
によれば

怒り、嫌悪、後悔、退屈、恐怖、
不安、悲しみ

これらのネガティブの感情を
20%のネガティブ時間として
有益に使える人は

仕事でも学問でも成功し
豊で幸福な人生を歩めるというのです。


よって、幸福とは
80%ポジティブと
20%ネガティブの中間にあり

言い換えるなら「ニュートラル」です。

なんでもない日常が続くことを
幸せに思えることこそが
「幸福」じゃないですか。


昔はハレの日(非日常)と
ケの日(日常)と区別して 
考えていたそうです。


また、
陰鬱な気持ちや
何かよくない力、
病気や死などで

「ケ」の生活が順調に
いかなくなることを

気枯れ(ケガレ)といって
忌み嫌い、禊ぎ、清め、
祓いなどをしてました。


しかし現代は真逆で
まるでハレの日が 
日常であるかのように 

SNSでキラキラと装飾したり、
ドヤ顔したりしてます。


好ましくない出来事も
ポジティブシンキングと称して
無理やりテンションを上げてます。


政府は働き方改革として
長時間労働を是正してますが

実は思ったほど効果が現れている
報告はありません。


この理由を私なりに分析するなら

多くの人はその浮いた時間を
ニュートラルに戻るために使ってない
からだと仮説を立ててます。


幸福になるためには
ニュートラルに戻るための
ルーティンが必要なのです。

ちなみに私のルーティンは
銭湯とサウナ♨️

仕事で成功しても
落ち込んでも
ニュートラルに戻れます。


私たちは、
反射的にネガティブなことに
目を背けがちですが

そのネガティブな面を
ちゃんと受け入れる技術を
必要としています。


その技術とは

気分で振り回されないで
ちゃんと「落ち込む」ことです。

●ストレスを自分の内側に溜め込まない
●テンションが低いことが普通と認識する
●ハレの日ではなく、普通の日の過ごし方を大切にする


ちゃんと落ち込んでから 
回復するまでの期間は

すべてマイナスから
プラスの出来事になるのです。

「あの時は辛かったけど
 それがあったからこそ今がある」

こう思えることも
幸福なのではないでしょうか。


私はそう考えます。


最後までお読みいただき
ありがとうございました。

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◆この記事で参考にした文献紹介


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