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日本版ウェルビーイングは『推し活』と『noteで俳句』だった!|【読書セラピー】むかしむかしあるところにウェルビーイングがありました

本書を読んだ結論
『推し活』『noteで俳句』
ウェルビーングでした。


どうも読書セラピストのタルイです。


突然ですが、

あなたにとっての
「ウェルビーイング」とは
何でしょうか?



一般的にウェルビーイングとは
肉体的、精神的、社会的において
幸福で満たされた状態を指してますが


定義づけするには難解で
とっつきにくいイメージを
持つ人も少なくないでしょう。 


実は私もその一人でして


これまでに

「ポジティブ心理学」の父とも言える
セリグマン博士が2011年に提唱した「PERMA」モデル

出典:https://wellday.jp/articles/well_being


慶應義塾大学大学院  
前野隆司教授が提唱する
「幸せの4つの因子」

出典:https://digital-is-green.jp/initiative/advisor/maeno/


そして先日、
茂木健一郎先生の
「生きがい本」を読んだら
「5つの柱」

https://note.com/foodbizinv/n/n6fe30a7ff7a3


ちょっと脳内が
ウェルビーイングの定義
渋滞を起こし始めてました😅


ウェルビーイングとは
つまりなんなんだ?


これに悩むこと数ヶ月


そしてついに
納得解に辿り着けました。

この本に書いてあったのです。


むかしむかし
あるところに
おじいさんとおばあさんと桃は
出てこなかったのですが…

ウェルビーイングはありました。



著者は予防医学研究者
石川 善樹《いしかわ よしき》さん

https://www.advertimes.com/20210114/article334344/

1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士(医学)取得。(株)Campus for H共同創業者。「人がよりよく生きる(Well-being)とは何か」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。 専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。




と、もう一人の方

ニッポン放送アナウンサーの
吉田 尚記《よしだ ひさのり》さん

https://c.kodansha.net/news/detail/36388/

1975年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。『ミュ~コミ+プラス』(月~木曜日24時より放送中)のパーソナリティとして「第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」を受賞。「マンガ大賞」発起人および選考委員。著書『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(太田出版)が累計13万部(電子書籍を含む)を超えるベストセラーとなり、近著に『没頭力 「なんかつまらない」を解決する技術』(太田出版)がある。マンガ、アニメ、アイドル、落語、デジタルガジェットなど、多彩なジャンルに精通しており、年間100本に及ぶアニメやアイドル、ゲームなどのイベントの司会を務めている。


では早速ですが

ウェルビーイングとは何か?

これについて
知り得た情報をシェアしましょう。


明確な定義はありません。


なんとも拍子抜けの答えですが
私は納得できました。



なぜならば、

ウェルビーイングや幸せのかたちが、本来、一人ひとりでそれぞれに異なるものだからです。

本書より

国や時代が変われば
ウェルビーイングの条件や内容も
やはり変わってくるそうです。



そもそも科学者は
定義などしないそうです。

「○○すればウェルビーイング」
「○○すれば幸せになれる」


この考え方は
結局のところ確率論なんですね。


科学者のエビデンス(論拠)にも
100%はないのです。

例えば「タバコは身体に悪い」

これは常識ですが、
喫煙者も全員が
早死にしているわけではありません。

一定の確率で
スパスパしながら
ピンピンしている人はいます。


こうやって書いてあると
なんだかちょっと
気持ちがラクになりますよね。

科学的に正しいことを
しようとすればするほど

「○○でなければならない」

と「べき論」が生まれて

逆にウェルビーイングな気持ち
じゃなくなっちゃいます。


著者曰くウェルビーイングを
最もダサい日本語で言うと
「イキイキ」だそうです。 


ウェルビーイングとは
「イキイキ」である。



うん。
わかりやすいです。


では改めまして
本書のテーマである

「日本昔話から学ぶ
 ウェルビーイングとは何か?」


これを発表しつつ
深掘りしていきましょう。


それは
『推し活』と『noteで俳句』
に辿り着くのです。





ご興味が湧いていただけたでしょうか?


ここからさらに深く解説します。


◆日本的ウェルビーイングの特徴


筆者いわく
西洋的なウェルビーイングとは
「満足」と「幸福」の二軸

この2つ揃えば
概ねウェルビーイングであろう
と考えられるが

日本的ウェルビーイングは
まずその”ものさし”が違うのです。


そのものさしとは
日本の昔話や神話、和歌、
アイドル文化まで

古今の日本カルチャーに
根付いているそうです。


ものさしとは以下の3つ


●ゼロに戻るを良しとする

日本人の心性としては

西洋のようにマイナスからゼロ
ゼロからプラスへと
上を目指すのではなく

「ゼロに戻る」ことに
日本人は価値を見出してきたそうです。

著者は、日本人は長らく
ゼロに戻ることが「幸せ」のかたち
だったのではないかと分析してます。

これは裏を返せば

「プラスに行きすぎると
 不安になってしまう」


ことの表れともいえます。

確かに、この心理は

  • 楽観バイアス

  • ポリアンナ効果

  • 快楽の踏み車効果

以上の3点で
心理学的に証明されてます。



●「誰でもない」匿名性が大切


日本の昔話には
登場人物が「何者でもない」
という特徴があります。

物語はおじいさんやおばあさんなどの
高齢者が登場して

「むかしむかしあるところに、
おじいさんおばあさんがいました」

という形で始まります。



彼らはどこにでもいる普通の人々で
名前も明かされることは
ほとんどありません。


●基本ネガティブ

日本人は昔から
ネガティブとも言える状況を
愛でる傾向にあります。


その象徴とも言えるのが
侘しい・寂しい
ネガティブな感情から生まれた
「わびさび」文化です。


また、
日本人の「謙虚さ」
ネガティブから生まれました。

日本人は評価されても
「いえ、私なんてまだまだです」
と反射的に自己否定しちゃいます。

それに対して相手が
「いやいや、そんなことないよ」
とさらに否定を重ねてくる。

つまり、
否定を否定されて
初めて自己肯定ができる


とややこしい構造です。



やっぱり日本人にとっては
自分で自分を肯定するのは
”粋”じゃない
とされてきたのですね。


  • ゼロに戻る 

  • 何者でもない

  • ネガティブ


以上の特徴を捉えた昔話は
実に多いそうです。


たとえば
あの有名な浦島太郎


欧米的なストーリーを考えれば

勇者浦島太郎
亀を助けことをきっかけに
「竜宮城」でドラゴンと闘い
最後は乙姫と結ばれる

と、ポジティブでハッピーエンドな
物語になりそうですが…


浦島太郎は
ただの漁師です。

何者でもないただの漁師が
たまたま亀を助けたことがきっかけで

竜宮城でもてなされて
乙姫様と結ばれることもなく

地上に帰ったら村は、
何百年も経ったあとの世界だった。

ネガティブな展開

悲しくなって玉手箱を開けたら
最後はただの老人に戻る

つまり「ゼロに戻る」物語ですよね。


このような特徴をもつ
日本のお伽話は
世界的にも珍しいそうです。




◆七五調のリズムに込めた強い思いの民族

https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/218390


著者いわく

日本文化のルーツは
平安時代に生まれた「古今和歌集」
にあるとのことです。


その序文には

和歌は日本人の心の動きを
自然に記したもので、

心が動けば日本人は
自然と歌を詠む民族なのだ。

神様もご機嫌になり、
喧嘩する男女を仲直りさせ、

猛り狂う武士の心をも
鎮めるのが歌の力だ!

と書かれているのです。


すごいですね!

昔の日本人は
神よりも歌の力の方が強い
と考えていたのです!

五・七・五・七・七
三十一文字という
独自のフォーマットに

日本人の心に
すっと入ってくる言葉は、

もう千年以上ずっと
七五調のリズムになっているのです。


●サロンやオフ会、別アカが日本カルチャー


その後、平安時代以降に
和歌という文化が広がりました。


江戸時代には
和歌を詠み合う集まりを
「連」と呼び、

今でいうサロンのような
コミュニティで
俳句の世界も広まります。

その「連」の参加条件には
「号」という本名とは
別の名前を持つことだったのです。

「号」とは
今でいうところの「別アカ」です。


この日本文化の特徴から
見えてくることは

当時の人々は
他者に「人格の首尾一貫性」
求めてなかった。

昭和バブル期に登場した
「アッシーくん」
「メッシーくん」

これは
私と「連」を組む時だけ
「アッシーくん」という
「号」で機能してくれたら
それでOK

という関係性だったのです。


現代では仕事でもプライベートでも
清廉潔白な一貫性を求められています。

しかし本来は
仕事の実務能力と
プライベートのあり方は
別問題ですよね。

渋沢栄一なんて
浮気山ほどしましたけど、
仕事でも山ほどの
事業を立ち上げました。


「連」「号」がない社会は
息苦しいだけなんです。

この章をまとまると

  • 俳句や短歌の七五調のリズム

  • サロンコミュニティー

  • 本名ではないアカウント


おぉ、これはつまり…

私は気づいちゃいました。

noteで俳句を読むことは
ウェルビーイングだったのです。



なるほど🧐

だからnoteで
盛り上がっているのですね!

これは素敵な活動です。



◆存在感がないことに存在意義がある

右からアマテラス、スサノオ、ツクヨミ



古事記には
「からっぽ」の神様がいました。

アマテラス、スサノオ、ツクヨミ
の「三貴神」の中で、

ツクヨミ
「ほぼ何もしない」神です。


「いてもいなくてもいいのにいる」

ということは、

逆に考えれば
「いるだけで価値がある」
ということなんです。


この

何かをする(doing)ではなく

いる(being)こと自体に

価値を認めるのが

日本文化の特質の一つだそうです。



●「上」よりも「奥」を意識する


日本では、歴史的に
「奥」が重要視されてきました。

例えば住宅では、
「奥の間」が最も大切な部屋とされ、

神社などでは
長い参道の「奥」に本殿があり


時にはそこまでの道が
曲がりくねっていたりして、
容易にたどり着けないことがあります。




一方で、
西洋の価値観では
「上」が尊重されます。

指導者や重要な役職は
「上層部」にあり

個人は一生懸命働き
「上」を目指すことが求められます。

会社でも、社長室や重役室などは
通常「最上階」に位置しています。



この章のここまでを
まとめてみると

  • 集団の中に「からっぽ」の存在

  • 「上」よりも「奥」


著者は
この「からっぽ」「奥」

アイドルグループの「推し活」
通ずるものがあると考察してます。


どういうことか?

アイドルの推し活に関しては

「いる」ことに
価値を見いだしている人が多いのです。


推すことに満足と幸福を見出せれば、
それがウェルビーイングの状態
となり得る。


彼らがアイドルの
パフォーマンスを見ることで

幸せホルモンが分泌され
ウェルビーイングを
感じることができます。


また、
グループ内のアイドルも
一緒にいることで
お互いに支え合いながら活動して

替えの利かない存在となり
ウェルビーイングを
感じることができます。


日本のアイドルグループには、
実に40人以上もの
メンバーがいたりします。

アイドルグループの
歌唱時のフォーメーションは、

中心に人気メンバーを配置しつつ、
「奥」に向かって広がる形が一般的です。

奥で踊っているメンバーは
存在感が薄いかもしれませんが、
熱心なファンがついています。

必ずしもスター性があるとは限らずとも

陰で必死に努力する姿勢が
共感を呼び

ファンからの支持を得る
ことができます。

このような文化は、
日本において古くから
受け継がれてきたものであり、

アイドル業界においても
変わらず存在しています。




これは
アイドルだけではありません。

俳優やアーティスト
アニメやゲームのキャラクター
作品やチームなどなど

好きな存在を「推す」行為
人生に多大なウェルビーイングを
もたらしてくれるのです。

◆なぜ「推し活」がウェルビーイングなのか?


それは「推し活」が
自分より大切なもの
見つけることだからです。


ウェルビーイングのbeing
「いる」ということ。

人間関係は構築は
▶︎いる(being)
▶︎なる(becoming)
▶する(doing)

学校のクラスの教室で
互いに「いる」から始まり

次第に友達に「なる」

そして一緒に何かを「する」


この順番が自然な流れです。


ところが
職場の人間関係は違う。

就職したら一緒に「する」からが
始まりなのです。

そして同僚に「なる」がきて

ごく稀に公私を超え「いる」
関係になれる。


真逆なんです。


こう考えると
職場の人間関係が辛いのは
当たり前です。


恋愛や結婚もそうです。
ただ一緒に「いる」だけじゃ
ダメなんです。

「一生一緒にいようね」
だけじゃダメなんです😤


その点、

「推す」気持ちは
恋愛したいとかどうなりたいとか
のように

「なる」でも「する」でもない。

ただ、いてほしいだけ。

一方的に愛させてくれるのが

ありがたくて尊いのです。

となると
神様を信仰することも「推し」ですし


天皇の存在は
日本最古の推しともいえます。

有史以来、
世界で一度も革命が起こってない国は
日本だけなのも

天皇の存在価値が

「いる」
にあったからだと

著者は考察されてます。


かつて昭和の時代は
自分より大切なものとして
「子育て」「仕事」
その代表的でした。

現代では「推し活」
その役割を果たしているというのです。


そう考えると、
子育てが一段落した人が
アイドルに熱中するようになるのも

自分より大事な
新しい「推し」
無意識に求めての行為

といえるでしょう。


「推し」という存在に
熱中することで

自分の価値を示す必要がなく

心をほぐすことができるため
多くの人が心の安らぎを得ています。


自分より大事なものを持つことが、
人生のエネルギー源となるのでした。


ということは

子育てが終わったら
推し活をするのは
ウェルビーイングです。




◆〈私のまとめ〉ゼロは通過点ではなくゴール

私が今回一番勉強になったのは


日本の昔話には始まりと同じ位置
「ゼロ地点」へと戻る結末が多いこと。

そして、

そこから他者に成長や変化を求めず
あるがままを受容して生きる
日本人の精神性が垣間見えること。


現代の日本人は
マイナスからゼロ、
ゼロからプラスへ、

という西洋思考である
上昇志向を刷り込まれています。

ウェルドゥーイングな
「夢、目標、志をもっと高く」
この発想はバイアスなんです。


ウェルドゥーイングな
より良い人生はあると思いますが

やはり前や上ばかり見てると

すぐ目の前の「いまここ」

疎かになってしまいがちです。


たとえ
やりたいことが見つからなくても

今日という日を味わって過ごし

いつでもゼロに立ち戻っていける。


その自分を積み重ねる日々に
価値があるのでした。



ゼロに戻るとはつまり

成長も変化もしないことなんです。


そして
成長も変化もしないということは、

弱さや嫌な部分を
あるがままに肯定する

ということでもありますね。


以前に私が「世界三大幸福論」
まとめたときに

幸福になるためには
ハレ(非日常)からケ(日常)に戻る

ニュートラルな時間の必要性
を考察しましたが

それは今回で証明されました。


「ゼロに戻る」とは
ニュートラルな時間
の必要性を述べてます。



では最後に

「まんが日本昔ばなし」の
エンディングテーマである
「にんげんっていいな」
で締めてみたいと思います。


はい、お聴きいただいた通り

動物たちはどこを見て
「にんげんっていいな」
と思っているのか?

それは
「ごはん」「おふろ」「ふとんで眠る」
ことをいいなと羨んでいるのです。


「飯!風呂!寝る!」なんて
昭和の親父のセリフみたいですけど

気づいたら私も

飯、風呂、寝るな毎日です。

ちなみに最近の私は
仕事が終わると


自衛隊の「課題終了ラッパ」に

「めーし、めーし、ふーろ、ふーろ、
 後は寝るだけー♪」

と替え歌をつけて脳内で歌ってます。



本記事の冒頭に質問しました

「あなたにとっての
 ウェルビーイングとは?」


私にとってのウェルビーイングは

「飯・風呂・寝る」

このシンプルな3要素は
日本人にとっての「ゼロ」とも言える

ウェルビーイングの
原型
ではないでしょうか。

心理的ウェルビーイングの前に
身体的ウェルビーイングです!

とはいえ、
「飯・風呂・寝る」の毎日じゃ
つまらないとも思えます。

本書ではもう一つ「旅」についても
ウェルビーイングの原型があることが書かれてます。

なぜ旅がウェルビーイングなのかというと
「旅をするからゼロ地点に戻れる」からですね。

詳しくお知りになりたい方は
ぜひ本書をお手に取ってください。

では、

でんでんでんぐりがえって
バイバイバイ


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