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自分の世界観を見つける1人旅 ~金沢編~

本編に入る前に

本来、北陸の復興支援も兼ねて1月に金沢編を公開する予定だったのだが、面倒くさがりを発揮してしまい2月になってしまった、、、(なお、面倒くさがりだが夏休みの宿題は先にさっさと終わらせる派である。あとでやるのが面倒だから)

金沢行ってからちょうど1年。当時書いていた備忘録も読みながら、振り返りと1年経った今だから思うことをまとめてみようと思う。

1人旅のきっかけは、以前公開した「1人旅とブランドをつくるきっかけ」を読んでほしい。読んでもらってから以下の1人旅備忘録を読むと、私の1人旅の意味が分かりやすくなると思う。

それでは、第1弾、金沢編スタート。


1人旅第1弾 金沢

リュックを背負い、1人夜行バスに揺られながら、着いた金沢。
駅に着いたときは雪は降っていなかったが、観光していたら兼六園や国立工芸館回っている辺りで雪が降ってきた。さすがに、雪の中歩くのは大変だったが、基本的にバスと徒歩で移動だから何とかなった。

なお、金沢着いたら「金沢市内1日フリー乗車券」を買うことをお薦めする。特に私みたいに方向音痴な方は。迷ったら一旦金沢駅に戻ろう(笑)(私はどのバス乗ればいいのか分からず、とりあえず金沢駅のバスターミナルに戻ればどうにかなる精神で観光してた)

最新の観光スポットとか映えるスイーツがあるカフェを巡るのではなく、工芸や伝統を感じられる場所を選んで訪れた。工芸品が好きというのもあるが、その土地に根付く、その土地が作り上げたものや空気を感じられるから。

今回はホテルメインなので観光諸々は軽くで。

香林居

今回のメイン。ここに泊まりたくて金沢に行きたかったと言っても過言ではない。

名前からもわかる通り、香林坊に構えていて、最寄りのバス停からも近い。もともと工芸品を扱うギャラリーを改装してつくられたそう。

1階に蒸留所を構えており、部屋にも蒸留所で作られたミストが置かれていた。木のすっきりと洗練された香りがなんともいい匂いで。ミストをシュッとひと吹き。目を閉じれば森林浴に早変わり。

内装・世界観

コンパクトだけど窮屈さを感じない。テレビはないので備え付けのプロジェクターで。

今回泊まった部屋は、スタンダードでコンパクトな部屋でありながら、曲線をうまく合わせてモダンで洗練された構想となっている。建築家が最もこだわったというのも納得だ。器やルームサインも伝統陶器を使っており、伝統とモダンの融合、私が求めている姿だ。

備え付けの家電や器がとにかくセンスがいい。プロジェクターはコンパクトで、バルミューダの電気ケトルもスタイリッシュで。(ケトルは気に入り過ぎて引っ越すときに買った)

奥にある九谷焼の器も鮮やかだけどパキっとし過ぎない色合い綺麗。

ガラスポッドが丸みがあってかわいい。コルクの栓がアクセントになっている。ガラスの蓋もいいけど、コルクもいいね。(ホテルという非日常だからありなのかもしれない。日常的に使用するとなると管理とか大変そうではあるが)
何よりお茶がにじみ出る時間をゆっくり眺められるのが、透明のいいところである。

この空間を切り取りたいくらい気に入った机周り

この机周りだけでこのホテルのセンスと世界観が表れていてすごく好き。一人時間を向き合うの場所としてふさわしい気がして。茶器でもライトでもインテリアでも雑貨でもいいから、お気に入りのものを机に置いて1人の時間を過ごしたいと思わせてくれる。

部屋に置かれていた台湾茶とハーブティー、お菓子も美味しかったし、この空間だからより雰囲気と味がマッチするんだなと。久しぶりに1人ゆっくりとお茶したような気がした。今まで忙しくてゆとりがなかったことに気づかされた。

部屋に入る前のこの感じからホテルの世界観があふれている。

入り口のルームサインもいいが、その上にある照明は月の満ち欠けをイメージしているよう。好きだ。まっすぐ見ると新月、そこから三日月、90℃回ると半月に見える。

ウェルカムドリンク

桂花茶

ウェルカムドリンクは桂花茶だった。金木犀の甘い風味もありつつ緑茶のすっきりさを併せ持ち飲みやすかった。器も工芸品である。こういうおもてなし、好きだ。

フリードリンク

夜ご飯から帰ってきた後に、ラウンジでフリードリンクをいただいた。どのドリンクも魅力的で迷ったが、部屋にテイクアウトも出来るということで、1杯はラウンジでいただき、もう1杯は部屋でゆっくり飲むことにした。

八角と桃のシロップの水割り

ラウンジでいただいたのは八角と桃のシロップの水割り
おちょこサイズの器にシロップの水割りを注ぎ、八角を浮かべ、串に刺さった桃の果肉が添えられている。

小さな1杯だが、ひと口いただいて驚いた。桃のまったりと優しい白桃の甘味にアクセントで八角の風味が効いている。甘いけど、その甘さが心も体も癒されるほど疲れが取れてしまうほど、

凄く丁寧な味がした

こんな表現で伝わりきれないくらい。美味しい飲み物は世の中たくさんあるが、たった1杯で丁寧さを感じたことなど今までなかった。思わず、最後まで丁寧にいただかないと失礼に当たるのではないか、と思わせてしまうくらい。串に刺さった桃の果肉も甘く優しく、満足感があった。

部屋に戻りパソコンでカタカタ備忘録を打ちながら、テイクアウトでいただいたリンゴとラベンダーのジュースを飲んだ。思ったよりラベンダーが効いていたがそれが意外にも相性がいい。夜飲むのにぴったりだ。

個人的には桃と八角の方が好みである。

朝食

今まで飲んだ豆乳の中で1番の濃さ。

台湾粥メインのコース料理。始めに出てきた豆乳は今まで飲んできた豆乳のサラッとした感じを覆すかのような濃厚さ。豆腐を崩してどろどろにしたかのような飲みごたえがあった。豆乳に苦手意識があったがこれほどおいしい豆乳を飲んだことがない。

鶏の薬膳粥

粥は鶏の薬膳粥を選択。ナツメに苦手意識があったがレーズンのような甘さが味にアクセントを、ごま油の風味が食べやすくしてくれた。付け合わせの卵や佃煮、漬物も台湾感に和の要素を加え違った印象に見せてくれる、でも相性は良く食べ飽きることなく一杯を口にした。

蒸し加賀野菜とまんとう、角煮。

加賀野菜の美味しさに目覚めた。これはうまい。蒸してるだけなのにほんのりとした甘さが心地いい。ソースのゴマ味噌だろうか…これも野菜の旨さを引き出してくれた。

角煮を挟んだまんとう、ネギとパクチーを挟んでいただいたが、角煮の旨さとまんとうのほんのりとした甘さ、アクセントとしてネギの辛さ・シャキッと感、パクチーのすがすがしさが二口サイズのまんとうを素晴らしくしてくれた。

豆花

デザートの豆花がこれまた最高。生姜がほんのり効いた甘いシロップと豆腐とは違った柔らかさを持つ豆花、もちもち食感のタロイモとサツマイモの芋圓、下に敷かれた緑豆、飽きの来ない心地よさであった。今回は冷たいのにしたが、温かいのでも良かったかもしれない。でも冷たくても冷たいと感じさせない。

丁寧な時間と洗練さ

部屋もラウンジもどこか無機質なのに温かみを感じる。ジャズとかピアノのBGMを流しながら、ただぼーっとする。心も体も整っていく感じがした。シンプルだけどこだわりのある構造だからこそ感じる落ち着き。

心が研ぎ澄まされ、ただ、静かに丁寧な時間だけが流れていく。

ああ、これを求めていたんだと。こういう空間を作りたい、一人暮らししたらこんな感じの部屋空間にしたい。

この空間には透明愛好家さんのプレイリストがよく似合う。ピアノ曲が一瞬で透明な空間に仕上げてくれる。部屋の中で、夜も朝もそれぞれ違うプレイリストをかけて過ごした。

ホテルのスタッフさんもいい人ばかりだったな、、、。穏やかで優しい人だった。心が穏やかになれば自然と自分にも誰かにも優しくいられる。そう教えられた気がした。

チェックアウトを対応してくれたお兄さん。教えてくれたラーメンとお土産におすすめしてくれたチーズケーキ、すごくおいしかった。ありがとう。

塩鶏白湯に3種のチャーシュー。満足な1杯。

その他

街並み

香林坊は高級店が入っているデパートだったりで少し高級な雰囲気があったが、駅周辺や観光名所周辺は、THE観光都市という感じで歩きやすかった。(人混みとかそういう意味ではなく、1人でもようこそ!って感じで受け入れてくれる雰囲気が)
外国人観光客も少しずつ戻ってきているのも嬉しい反面、金沢の良さを日本人にこそ知ってほしいなとも思ってしまった。(これはどの観光都市にも言えることだが)ちゃんと石川・金沢の伝統や文化が現代と融合しつつ生きているのが嬉しかった。

ひがし茶屋街は京都の祇園に似ているようで京都にない要素も感じる。華やかさと落ち着きを兼ね備えたこの街にはM2Uさんの『熱帯夜の祭り』が似合う気がして、聞きながら歩いてみた。正解。これが夜だったらもっと合うんだろうな、、、夜に訪れなかったことを後悔した。

ご飯

ご飯は基本的にハズレがなかった気がする。居酒屋で食べた治部煮も、おにぎりが食べたくなってたどり着いたおにぎり屋さんのおにぎりセットも、ホテルのお兄さんに教えてもらったラーメンも。美味しかった。

金沢着いて朝からもりもり寿司へ。
左は明太子チーズ、右は能登しいたけの旨煮
寒い冬の夜に温まる治部煮。
帰りの新幹線内で食べた石川尽くしの駅弁。


1年経った今感じること

3ヵ所訪れた1人旅先の中で1番良かったと思っている。一番期待していた京都以上に。訪れたことない土地だったからというのもあるかもしれないし、ホテルが予想以上に心地よく理想形に近かったから、というのもあるかもしれない。

当時書いていた備忘録に「インスタ映えとか気にすることなく、ただ自分の感覚に沿うような旅にしたかった。」とあった。

それがすごく心地よかった。私が求めているのはこれだったのだと体感できた。映えとか関係なく、ただ自分の感性が研ぎ澄まされる環境だった。それをすごく実感した。冬の冷たい空気も相まって。

今の住居の机周りは、香林居の机周りの感じを参考に実用性と世界観を兼ね備えられる感じにした。机の近くにウォールシェルフを設置して、お気に入りのものを置いている。こじんまりとしたバーのようで好きだ。

金沢旅を経て、インスピレーションも沸いた。工芸品とスイーツのコラボとして約8年前に江戸切子にフルーツゼリーをいれたものを作った。その伝統工芸×スイーツの第2弾として「金沢(石川)工芸品×台湾・香港スイーツ」を制作したい。今のところは九龍球と愛玉子の予定。結局ゼリー系だな(笑)

もちろん、第1弾の「江戸切子×フルーツゼリー」もブラッシュアップして近年中に作れたらな、と考えている。構想は良い段階まで浮かび上がっているので細かいところまで詰めていきたい。(これについてはいつか詳細を)

それから、モクテルの構想も。森林浴をテーマにしたもの。これもまたいつか詳細を。

また、行きたい。いや、行く。そしたら香林居にもう1回泊まるんだ。
だから、待っててね。