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かつての里山に暮らす動植物     その3 虫たち ~目立たないものたち~

 さて、いよいよ昆虫類も終盤。チョウ、ガ、甲虫、ハチ、バッタの仲間などを取り上げてきたが、振り返ってみると、トンボやセミの仲間などは取り上げられなかった。まあ、これらは花に集まるわけでもなし、なかなか止まってくれたり、止まっていたとしても高い所だったりして、なかなか写真に収めずらかったのかもしれない。
 というわけで、今回紹介するのは上記以外の昆虫類である。


 カメムシの仲間。カメムシの仲間は長い針のような口(口吻)で草や木の汁を吸って生きている。なので、意外にもセミや水中にいるタガメやゲンゴロウ、アメンボと近い関係である。

 マサキ?の花に来たカゲロウの仲間。ウスバカゲロウというカゲロウが有名だが、上の写真のカゲロウもまさに羽根が透けている。この仲間は幼虫が水の中で暮らすものもいれば、地上で暮らすものもいる。写真のものは近くに水辺がなかったので、地上で暮らすものだろう。そういえば、あのアリジゴクもカゲロウの仲間の幼虫だった。
 ところで、マサキ?の花にいたので蜜でも吸いに来ていたのかと思っていたが、この仲間は蜜を吸ったり、なめたりするような口をしていなかった気がしてきた。幼虫はアリジゴクで分かるようにアゴの発達した肉食なのだが、成虫はどうなのだろう。カゲロウといえば、”短命”の意味としてもつかわれるように、成虫になればすぐに交尾をし、卵を産んで死んでしまうのかもしれない。したがって、マサキ?の花に止まっていたとしても、蜜など吸っていなかった可能性もある(花粉を食べていた可能性もあるが)。

 ガガンボの仲間。巨大なカのようなやつ。普通、昆虫というのは羽根が4枚あるのだが、このガガンボには2枚しかない。というか、あとの2枚は退化してただの突起になってしまっている(写真にもうっすらと写っている)。アブの仲間の羽根もそうである。

 ときどき木の葉の裏などに白い糸か綿のようなものが付いていることがある。じつはこれ、よく見ると、

ハゴロモという虫の仲間が脱皮をした跡である。どうしておしりのあたりからこんなにも長い糸のようなものが出ているのかわからないが、ハゴロモという名前はおそらく、この脱皮時の姿から名づけられたものなのだろう。不思議な姿だ。

ちなみにアオバハゴロモというハゴロモの仲間はこんな姿をしている。あまり飛ばないし、動きもしないので、ジッとしていると虫なのかなんなのかよくわからない。口吻で木や草の汁を吸って生きているのでセミやカメムシの仲間。

 アリはじつはハチと同じ仲間である。集団生活を営み、噛まれると蟻酸(ぎさん)というもので肌が腫れてしまうことがある。

 実かタネのように見えるが、じつは”虫こぶ”と呼ばれる虫の”家”のようなもの。中では小さなアブラムシのような虫たちが育っている。こうした”虫こぶ”は森や草原にはたくさんある。

 口吻で草木の汁を吸うといえば、こちら。初めて見たときにはアザミの茎になんだか見たことのない毛のようなものが付いているなと思ったら、

なんとアブラムシだった。しかも逆さまのような格好で汁を吸ってるし、それぞれの個体同士の間隔がなんだか等しくて不思議に思えたものである。これも天敵から身を守るための工夫だろうか。

 こちらはキバラヘリカメムシの幼虫。成虫とはずいぶん姿が違うので驚いたものだったが、考えてみると、虫は幼虫と成虫でまるで姿が違うものばかりだ。

 こちらはマルカメムシの成虫。姿は愛らしいが、確か野菜にもついて汁を吸ってしまうので嫌われていたような・・。

 ヨコヅナサシガメ。草木の汁を吸う虫の代表といってもいいだろうか。長くて細い、針のような口吻で木の汁を吸う。

 さて、こうしてみると、やはり昆虫類はその種類も数も多いものだと実感する。そして、その一つ一つを見てみると、姿形やエサ、生き方などがとても多様だとわかる。昆虫類が生きていくためには植物が必要不可欠で、植物にとっても子孫を残すため、また、爬虫類や鳥類にとってもそのエサとして必要不可欠な存在であることを思うと、昆虫類は昆虫類だけで生きているわけではないことがよくわかる。

 こうして地球上の生き物たちはどこかでなにかと繋がり合い、はるか昔から生を繋いできた。そしてこれからもそうだろう。このような生物の生きる姿をかつての里山では見ることができ、それはわたしたち人間の生きる姿でもあることをわたしは忘れずにいたいと思っている。

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