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かつての里山に暮らす動植物 その3 ~虫たち②~

 前回はかつての里山に暮らす動植物ということで、虫(イモムシ、ケムシ)を紹介した。その姿形がとても多彩、独特なので、思わず気になってしまうのだったが、その大人の姿(成虫)も紹介しておこう。

  これはベニシジミ。住宅街のちょっとした草地や畑の脇なんかでも見かけます。シジミチョウの仲間は大きさといい、形といい、その色や模様も意外に多彩で思わず惹かれます。近くにあるキツネノマゴの蜜を吸いに来たか。

 ズミの花に来たヒメウラナミジャノメ。羽の模様が蛇の目なのでこの仲間は総称してジャノメチョウという。初夏に咲くズミの花は御覧のとおり、純白がとても鮮やかで、たくさんの虫たちが集まってくる。

 これはオオトモエ(ガ)。大型のガ。ガの仲間は夜行性であることが多いので、なかなか成虫を目にすることは少ないが、建物の壁なんかに止まって朝を迎えると、こうして人の目に留まることがある。ちなみに羽の丸い模様が巴模様(和太鼓などに描かれているアレ)に見えるので、この仲間はトモエガと呼ばれる。

 カノコガ。一見、ハチのようにも見えるがガの仲間である。お腹の長さや色合いもハチっぽく、こうして敵から身を守っているのかも。

クロアゲハ。

 クロメンガタスズメ(ガ)。じつに毒々しい模様をしており、比較的大きめのガなので、一見、ギョッとしてしまう(ちなみに毒はもっていないらしい)。本来、熱帯性のガらしいが、近年、温暖化の影響なのか、分布が北上しているようである。写真のものを見つけたのは静岡の里山だったが、虫の専門家に見せたところ、やはり珍しがられていた。幼虫がトマトなどのナス科野菜を食べてしまうので、”害虫”とされている。映画『羊たちの沈黙』に出てくる(?)ガは、これと同じメンガタスズメの仲間。

 ダイミョウセセリ。幼虫が食べるのがヤマノイモなどのヤマノイモ科の葉らしいが、ヤマノイモ科の植物はかつての里山には豊富にある。

 テングチョウ。写真では見づらいが、顔の先に天狗の鼻に見えなくもない長い突起がある。かつての里山では春先によく見かけるが、幼虫がエノキなどの葉を食べるという。エノキもまた、かつての里山の代表的な樹木のひとつだ。

 ナガサキアゲハ。名前のとおり、かつての分布は九州や四国南部だったようだが、温暖化や食草(ミカン科の葉)の植栽で北上しているといわれている。これも静岡のかつての里山で撮影。

 ヤママユ(ガ)。大型のガ。天蚕(てんさん)とも呼ばれ、天然の蚕(カイコ)。この繭から取った糸で編んだ布(絹)はたいへん高価らしい。幼虫はコナラやクリなどの葉を食べる。

触覚が見事だ。これがセンサーとなり、夜の森でも活動ができるのだろう。

スジグロシロチョウ。

 名前はわからないが小型のガ。羽を閉じていると一見、ゴミのようにしか見えない・・。

  クロコノマチョウ。森のなかをわりとすばしっこくジグザグに飛んでいることが多い。写真のとおり、羽根を閉じてジッとしていると、枯葉のようで見つけづらい。

 ウツギの花に来たカラスアゲハ。アゲハの仲間は意外に1か所にとどまっていることがなく、捕まえづらい。標本をもっている人がいたら、なかなかの虫捕り人?。

 写真がなくて紹介できていないチョウやガはまだまだたくさんいるのだが、ご覧のとおり、幼虫時代にはある決まったものを食べ(コナラ、クリの木の葉、エノキの葉、ヤマノイモ科の葉・・)、成虫になってもわりと訪れる花や果実(ガの場合)が決まっているこの仲間たちはやはり、多様な植物や環境がある場所でこそ生き続けていくことができるのだろう。なので、こうしたさまざまな草木や虫たちが生きていくためには、森や林があるだけでなく、草っぱらや小川もなければならないのだ。

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