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デザイン美大生のためのロードマップ

このnoteを書こうと思ったきっかけ

僕は今年の3月に芸大のデザイン科を卒業しました。自分の場合、在学中に起業して2年休学、卒業後もそのまま自分の会社の経営をする、という若干特殊な道を進んでいます。ただ、改めて大学生活を振り返ってみると、もっとこうしておけば良かったかな、もっとできたな、と思うことも多々あります。そこで、今までの経験をもとに「デザイン美大生のためのロードマップ」を書いてみようと思いました。将来に不安な思いを抱きながら、進むべき道が分からず悶々としている学生の方に、少しでも参考になれば幸いです。

そもそもの話、なぜその美大に通っているのか?

まずはこの問いに対して自分なりの答えを持てると良いですね。なんとなく行く、とりあえず受かったから行く、というのはあまりお勧めしません(一般的な総合大学よりは、なんとなく行く人なんて少ないと思いますが)。目的がないなら、正直、美大に行っても得られるものが少ないかと思います。

- 1〜2年生 -

この時期は、自分の性質を知るために、手当たり次第にチャレンジする期間。自分もそうでしたが、高校生までは狭い世界の中で活動していた人がほとんどだと思います。いろんな世界に飛び込んで、挑戦して、将来のビジョンを描けるようになりましょう。

アーティストか、デザイナーか。

アーティストは、目の前にある現象や社会を自分の視点で捉え、解釈し、その考え方をどう表現するかを追求していきます。一方で、デザイナーは社会や人々の抱える課題を解決するために、その目的を達成する手段として何かをデザインします。一見似ている両者ですが、その中身はかなり違います。

職人タイプ?それとも企画者タイプ?

ひたすら手を動かして制作する職人気質のタイプか、アイデアを出したりプロデュースしたりするタイプか。これがわかっている状態だと、他人との比較が気にならなくなります。

これらの性質は、どちらか一方の性質しか持ち合わせていないのではなく、グラデーションになっています。様々な制作を通して、「自分は70%ぐらいはデザイナーだけど、30%ぐらいアーティストだな」といった感じに、おおよそで認識できれば良いと思います。

社会との接点を持つ

美大生はどうしても自分の世界に閉じこもりがちです。実際に社会に出ないと判断できないことだらけなので、まずは大学以外で社会とのつながりを作るのをお勧めします。とりあえず起業してみる、というのも選択肢の一つです。

何かに挑戦する時の心構え

・思い込みではなく、あらゆる視点、ジャンルや方向性を見る。
・何かアイデアがあればすぐに取り掛かる。
・面白そうな話をもらったら、迷わず飛び込む。
・失敗を恐れない

そんなすぐに挑戦できないよ、という人もいるかと思いますが、実は意外と簡単に行動できるようになります。僕自身も、もともとは行動派の人間とは程遠いタイプでしたが、意識してすぐ行動するようにした結果、何かに挑戦したり行動したりすることに対する心理的なハードルはかなり下がりました。

行動力を身につける5つのステップ

1. やりたいことリストをつくる
2. 人に宣言する、行動せざるを得ない状況をつくる
3. 実現するために必要なタスクを書き出してみる
4. 分からないことはすぐ調べる、人に聞く
5. できることからすぐに行動してみる

絶対にやるべきこと5選

1. SNSで作品を発信する
自分の作品を発進しながら、社会との接点が得られ、評価される経験はとても重要です。SNSをやらない理由はありません。不特定多数に拡散を狙うならTwitter、ポートフォリオサイトのような作品の投稿場所を作るならInstagram、コンセプトや制作プロセスを文章で伝えるならnote、仕事の発注や作品の購入をしてくれそうなおじさんと繋がるにはFacebookがおすすめ。

2. ポートフォリオをつくる
SNSでも十分問題ないですが、作品集として、ポートフォリオのWebサイトまたは冊子があると様々なチャンスが舞い込んできます。デザイナー就職の場合はポートフォリオの制作は必須になるので、早いうちからつくりましょう。ポートフォリオは一度作って終わりではなく、常に追加・修正していきます。その時点でのベスト作品をピックアップして、アップデートできるのが理想です。

3. 読書をする
読書をすることで知識が増え、多くの視点を持つことができるようになります。知識は今後の将来を描いたり、何かを判断する時の材料になるので、あるに越したことはありません。読書の習慣があると収入が上がるという調査結果もあります。

4. センスを磨く
センスは、実は知識や経験の蓄積によって構築されるものです。世の中で評価されているもの、良いとされているデザインや製品を細かく観察していくことで、なぜ良いのかということが見えてきます。美術館やギャラリーに積極的に足を運ぶのも良いでしょう。

5. 遊ぶ&恋愛する
よく学び遊べと言われるように、遊びは学びと同じぐらい大事なこと。遊びでの発見が新しい学びにつながります。純粋な恋愛も学生でしか味わえない経験です。

5つの”しない”こと

1. 大学の成績は気にしない
海外留学のため、優秀な成績が必須といったことがなければ、大学の成績は気にしなくてOKです。

2. しないことを選択する
時間は無限にあるわけではありません。手当たり次第に活動空いていると、あっという間に大学生活が過ぎ去ってしまいます。自分の性質を見極めるための行動はしつつ、何をしないのか、やらないことを決めておくことも重要です。

3. 一人で制作しない
自分一人の力でできることは限られています。苦手なこと、不得意なことは、それらが得意そうな友人や知り合いに依頼してみましょう。人は支え合って社会を形成しています。それを実感できることでしょう。

4. 同じことをしない
周りの人がこれをやっているから、という安直な理由で行動せず、自分自身で考えて行動する癖をつけましょう。新しいアイデアや表現が求められるのが創作活動の世界です。独自の考え方を身につけると意識しおくと、今後に生きてきます。また、過去の自分と同じことをしていても、成長できません。同じようなことでも必ず、改善&レベルアップさせた内容で取り組みましょう。

5. 学生と社会人を区別しない
社会に出て活動しているという点では、学生と社会人に大きな差はありません。アルバイトやインターンでお金を稼いだり、フリーランスとして活動したり、在学中に会社をつくる人もいます。まだ学生だから〇〇…、学生のうちは〇〇…と考えず、自信を持って行動してみましょう。


- 3年生 -

3年生は、進む道を判断する時期です。この先何をして生きていくのか。就職するのか、しないのか。間違っていても良いので、このタイミングで一度自分なりの結論を出すと良いでしょう。大事なのは、「自分で思考し、決断した道へ、責任を持って進む」ことです。

考えても結論が出ない、全然わからない、ということもあると思います。でも焦る必要はありません。時は次のステップに従って、自分なりの結論を出してみてください。

方向性を決めるためのステップ

1. 今までの取り組みをノートに書き出す
2. それらの共通点を見つける
3. 活動する上で何を大事にしていたことを理解する
4. 今後もそれを実現できる市場・企業・職種を探す


- 4年生 -

大学生活最後の年。卒業制作もあると思いますが、授業もほとんどなく一番時間に余裕が生まれる期間です。3年生で考え描いた方向へ、本格的に向かいます。

誰にも負けないぐらい究極的に好きなものがあり、それをまっとうできる道(就職先も含む)が見つかっている場合
素晴らしい!たとえ周りが反対したとしても、ひたすら自分で信じる道を進んでください。どんな困難があっても必ず乗り越えられるはず!応援しています!

→全力で進みたい道が特にない無い場合
あなた自身が無理やり好きと思い込んでいるものに縛られる必要は全くありません。デザイン美大生だからと言ってデザイナーにならないといけないわけでもありません。そこには無限の可能性が広がっています。今までの自分を振り返り、ゼロベースで直観を研ぎ澄まして、ワクワクする方向に進みましょう。就職をしたい場合は、次の指針が道標になります。

就職先を決めるためのポイント

・成長している市場を選択する
・業績が伸びている会社を選ぶ
・会社の経営理念やビジョンで選ばない
・1ミリもモチベーションがわかない職業だけは選択肢から外す
・時代は変化し続けているので、過去の経験を語る人(親や教授)の言うことを鵜呑みにしない

デザインスキルを高めるためのポイント

・アルバイトやインターンで現場の実践的な制作を体験する
・良いと思うデザインの模倣からはじめる
・自己流ではなくデザインの基本的な考え方やプロセスに従う
・プロのデザイナーにフィードバックをもらう
・デザインに造詣の深くない素人の感想も聞いてみる

起業する時のポイント

・とりあえずフリーランスからはじめてみる
・チャンスがあれば会社をつくっても良い
・自分(自社)が誰にどんな価値を提供できるのか明確にする
・どの市場で勝負するのかを選ぶ

おわりに

このロードマップは、あくまでも個人的な視点で書いたものなので、学術的研究の結果これがベストだ!という主張ではありませんが、少しでも参考になれば幸いです。皆それぞれの進み方があり、どの道にも正解不正解はありません。自分で選択した道を、自分にとっての正解にしていくことが大切だと思います。

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