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【フォレスト出版チャンネル#210】ゲスト/漫画編集者|ビジネスコミック制作の裏側①

このnoteは2021年9月2日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。

ビジネスコミック制作の草分け! 老舗かつヒット連発のプロダクション

今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティを務める今井佐和です。皆さんは、漫画はお好きですか? 私は大好きです! 本日は「ビジネスコミック制作の裏側」ということで、素敵なスペシャルゲストをお呼びしています。株式会社トレンド・プロ、出版編集部の佐藤瑞江さんと、フォレスト出版編集部の杉浦さんです。どうぞよろしくお願いいたします。
 
佐藤・杉浦:よろしくお願いします。
 
今井:ビジネスコミックというジャンルを初めて聞かれた方もいらっしゃるかもしれないんですけれども、佐藤さん、さっそくですが、トレンド・プロさんがどのような会社か教えていただけますでしょうか?
 
佐藤:はい。弊社は33年前に創業した漫画制作に特化した広告の制作会社です。当時は漫画で商品やサービスを紹介するのは画期的なことでして、漫画にするっていうだけで先進的な企業と受け取られていました。現在では営業ツール、インナーツール、採用ツール、啓蒙ツールなどで、大きな企業様から官公庁まで広くご利用いただいております。2003年頃から書籍部門ができまして、そこで大学生から社会人向けの実用書であったり、ビジネス書のコミック制作もしております。現在、私はこちらの書籍部門メインでお仕事させていただいております。
 
今井:ありがとうございます。実は、佐藤さんは元々漫画家さんだったと聞いているんですけれども、どのようなきっかけでトレンド・プロさんで働くことになったんですか?
 
佐藤:そうなんですよ。実は私はトレンド・プロの外部スタッフの漫画家だったんですね。なので、トレンド・プロから外注というかたちで、環境白書を子供向けに漫画にするお仕事を請け負っておりまして、それが終わった後に東京に遊びに行って、「挨拶に行きたいです」って言ったら、なぜか「履歴書を持って来て」と言われて、当時の先代社長が漫画と映像に詳しい社員を採りたかったとのことで、気がついたら広島から東京に来ていたという次第です。
 
今井:なるほど、なるほど。トレンド・プロさんでは漫画家出身の方っていうのはたくさんいらっしゃるんですか?
 
佐藤:スタッフは30名ぐらいいるんですけれども、漫画家出身なのは私だけですね。もちろん漫画が描けるスタッフは何人もいるんですけれども、漫画家だったのは私だけです。
 
今井:ありがとうございます。ちなみに漫画家出身ということで、お仕事で得したなとか、よかったな、なんていうことはありますか?
 
佐藤:そうですね。ネームと言って、漫画の設計図なんですけど、それのチェックのときにササっと描き入れたりとか、お客様への戻しが早くできるっていうのは強みかなと思っております。
 
今井:なるほど。これまでの経験がすべて活かされているというかたちになっているんですね。ところで、杉浦さんは佐藤さんとはどういうきっかけで知り合ったんですか?
 
杉浦:はい。佐藤さんとは今までに4冊、いわゆるビジネスコミックと言われるものを制作させていただいていて、それが『マンガでよくわかる 怒らない技術』『マンガでよくわかる 子どもが変わる怒らない子育て』『マンガでよくわかる 子どもが勉強好きになる子育て』、あと8月の新刊なんですけれども、齋藤孝先生の『10歳からの伝える力』という、ちょっとビジネスコミックって言うには、子供向けと言うか、年齢層が大人ではなくて、低いのでビジネスコミックって言っていいのかわからないんですけれども。
つくりとしては、本文が半分あって、漫画が半分あるような書籍をつくらせていただきました。佐藤さんとつながったきっかけっていうのは、『マンガでよくわかる怒らない技術』が2016年に出たんですけれども、当時、かんき出版から出ている『マンガでよくわかる 教える技術』っていう本がすごくヒットしていて、奥付を見たらトレンド・プロさんが制作に携わっていらっしゃるというのがわかったんですね。それで、いいなと思って、普通にホームページのお問い合わせフォームから連絡するみたいな。どなたから紹介されてとか、そういうわけじゃなくて、普通にピンポンって感じで問い合わせたのが最初です。
あのときに一番売れていたビジネスコミックっていうのは『まんがでわかる 7つの習慣』っていうものだったんですけど、そちらは出版社の編集者さんが直接、漫画家さんと制作したような感じだったんです。奥付を見ると、漫画家さんの個人名のみが書かれていたので、きっとそうなんだろうなと思って。
でも、自分自身は今まで書籍はつくってきているんですけど、漫画っていうジャンルの経験が全くなかったので、もうここはプロの力を借りたほうがいいと思って、トレンド・プロさんの門を叩いたという感じですね。で、一作目から幸運にも佐藤さんにご担当していただいて、佐藤さんのプロフェッショナルぶりに味をしめて、そのまま4冊ご一緒させていただいてるっていう感じです。

『伝え方が9割』『教える技術』『誰とでも15分以上 会話がとぎれない!話し方』……漫画版を続々ベストセラーに!

今井:ありがとうございます。そんなプロフェッショナルな佐藤さんがいらっしゃるトレンド・プロさんなんですけれども、トレンド・プロさんは、ビジネスコミック業界の草分けであり、またヒット作連発のプロダクションということで、ぜひリスナーの皆さんにどんなヒット作があるのか教えていただいてもよろしいでしょうか?
 
佐藤:はい。弊社では、ビジネスコミックをだいたい300弱ぐらいつくらせていただいておりまして、一番ヒットしているのは、ダイヤモンド社様の『まんがでわかる 伝え方が9割』ですね。こちらは1も2(『まんがでわかる 伝え方が9割 [強いコトバ]』)も、どちらも非常によく出ております。あと、かんき出版の、先ほど杉浦さんがおっしゃった『マンガでよくわかる 教える技術』も1、2(『マンガでよくわかる 教える技術2 <チームリーダー編>』)と非常に出ていまして、あとは、すばる舎さんの『マンガでわかる! 誰とでも15分以上 会話がとぎれない! 話し方』ですね。いずれも元の本がベストセラーだったものなんですけれども、コミック版もよく出ております。
 
今井:ありがとうございます。もしかしたらリスナーの皆さんもお読みになったことがあるかもしれませんね。
ところで、ビジネスコミックの制作の流れなんですけれども、もちろん会社によってつくり方、制作の流れっていうのは異なるかと思うんですけれども、トレンド・プロさんでのビジネスコミック、漫画制作の流れっていうのはどのようになっていらっしゃるんですか?
 
佐藤:はい。基となる書籍をコミカライズする場合と、著者さんが原稿を書くところから始める場合と、だいたい4対1ぐらいですかね。
なので、コミカライズの場合でお話しますと、ご依頼をいただいてから、どんな本にするかのミーティングを編集者様と行ないます。実は元本の10%ぐらいしか学習部分は入らないんですね。漫画にすると、ストーリー部分を多くとるので、詳しく説明する分、学習内容が短くなってしまいますので、何を中心にするかで本の雰囲気も大きく変わります。そこを打ち合わせしまして、ストーリー漫画風にするか、解説漫画風にするか。ストーリー漫画風にすると、主人公の成長物語になりますし、解説漫画風でしたら、学び部分をそれなりに多く、テンポよく見せることができます。そのどちらにするかが決まれば、だいたい建て付けが決まりますので、そこであらすじ案をチェックしていただきまして、OKであれば、シナリオをつくり、そのシナリオもOKであれば漫画の設計図であるネームをつくって、それでOKをいただいたら、作画というふうに進めていきます。
 
今井:ありがとうございます。いろんな流れがあって、できていくと。で、構成の内容の部分も依頼主のご意向に合わせて構成していくっていうかたちなんですね。
 
佐藤:はい。そうですね。

ビジネス書のノウハウを伝えるだけじゃない。漫画単体としてもおもしろいのがプロの技

今井:ありがとうございます。ちなみに、杉浦さんは先ほど漫画をメインにされるわけではないということをおっしゃっていたんですけれども、佐藤さんとビジネスコミックという形式に携われてみていかがでしたか?
 
杉浦:そうですね。漫画を個人的に読むのは子どもの頃から好きで楽しんできたんですけど、いざ自分がやるとなると、いつもつくっている本と結構形式も違うし、不安が大きいと言うか、「ちゃんとできるかな……」みたいなところがあったのですが、佐藤さんは元々漫画家さんでいらっしゃるっていうところもあって、本当にストーリーだったりとか、その辺はもちろん、ご指摘とかアドバイスだったり、すごく私も勉強になることが多くて、しかも進行もバシバシ進めてくださるところがあるので、信頼して頼らせてもらいました。
で、トレンド・プロさんの上がってくるシナリオがすごく素敵だなと思って。ビジネスコミックなので、書籍でノウハウを伝えたいっていうのがあるわけですよね。ただストーリーがおもしろければいいっていうわけではなくて。ノウハウがきちんと伝わることは最低限なんですけど、必ず「おっ!」と思える、ストーリー展開とか伏線が張られていて、漫画単体で読んでもすごく楽しいんですよ。漫画であえてビジネスのノウハウを知るおもしろさとか、よさっていうのがきちんと現れていて、いいなと思いました。
そして、編集者よりもその本を読み込んでくれているんじゃないかっていうご提案をいつもいただくので、すごくありがたいなと思っていて、『マンガでよくわかる怒らない技術』『マンガでよくわかる 子どもが変わる 怒らない子育て』のストーリーというのは実はちょっと感動系なんですよね。読んでいるとちょっとほろっとするような感じがあったりとかして、ぜひ読んでいただきたいなと思うんですけど。で、先月8月に最新刊として出た『10歳からの伝える力』は、伝える力っていうところで、今時だったらYouTuberが出てくるストーリーがいいんじゃないかなって、ちょっと制作スタッフの間で盛り上がっていたんですけど、著者の齋藤孝先生が読書を勧めていらっしゃる方なので、ちょっとYouTubeを題材に扱うのは難しいかなという話になって、佐藤さんに、なんだかんだ4案ぐらいを出していただいたみたいな、そんな裏話もあったりもします。
 
今井:あのストーリーの裏には、そんな4案も出すなんていうことがあったんですね。
 
佐藤:そうでしたね。主人公を1人にするか、2人するかっていうのも結構協議をしましたよね。
 
杉浦:そうですね。
 
佐藤:成長する内容っていうのを主人公1人に背負わせるか、2人で、男の子と女の子を出して、それぞれに悩みを分けるかっていうので、協議して杉浦さんに強いリーダーシップを発揮していただいて。
 
杉浦:(笑)。
 
佐藤:男の子も女の子も共感できる本がいいっていうので、2人バージョンに決まりましたね。
 
杉浦:そうなんです。ページ数にも制限があるのに、まさか登場人物が2人で悩みも2つあるっていうちょっと無茶ぶりな感じになってしまいまして。でも、制限の80ページという限られた紙面の中ですごく綺麗に収めていただいて、本当にさすがだなと思いました。ありがとうございました。
 
今井:そんな裏話があったんですね。私も普通に一読者として読ませていただいたんですけれども、やはり主人公が男の子と女の子と2人いて、悩みも別々であるからこそ、すごく入ってくるし、いろんな人に当てはまりやすいなあなんて思っていたし、80ページという枠の制限を感じさせないほど、スッと入ってきたので今、いろんな制限がある中、これに決まったっていうのに、ちょっと奇跡的なものを感じました。
 
杉浦:よく漫画家さんが「ネームの〆切が明日までで、発狂する!」みたいな、そういう呟きを、Twitterでされていたりとかあるじゃないですか。きっと佐藤さんもこういう状態なのかなと思いながら、やりとりさせていただいていました。
 
今井:そんな奮闘しながらつくられているビジネスコミックなんですけれども、こんなかたちで広告からビジネスコミックも含め、さまざまなお仕事をされているトレンド・プロさんなんですけれども、本日はお時間が来てしまいましたので、またさらに明日ですね。制作の裏側について詳しくお聞きしていきたいと思います。本日は佐藤さん、杉浦さん、どうもありがとうございました。
 
佐藤:ありがとうございます。
 
杉浦:ありがとうございました。
 
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)

 

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