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アイデアを形にする「構想力」とは何か?

フォレスト出版編集部の山田です。

「何かつくりたいけど、そもそもアイデアが思い浮かばない」
「アイデアを思いついたとしても、形にできない」

クリエイティブな仕事に限らず、仕事やプライベートで何かをつくる、あるいは課題解決のための新しい切り口を考えるという場合などで、上記のような悩みをご経験される方は少なくないのではないでしょうか。

アイデア発想法には、ブレインストーミングやマインドマップなどさまざまなものがありますが、なかなかいいアイデアが思い浮かばない、アイデアがあっても形にまでできないというときもあるかと思います。そんなときは、三木清の「構想力」という概念がご参考になるかもしれません。

三木清は、日本を代表する哲学者の1人です。大正・昭和期に活躍していました。主著に『パスカルにおける人間の研究』、『歴史哲学』、『人生論ノート』などがあります。彼は、構想力は人間の行為の源であり、社会、文化、歴史といった人間の行為全般をこの「構想力」の論理で捉えようと試みました。

本記事では、三木清が提案したアイデアを形にするための構想力とは何かについて、哲学者・小川仁志さんの最新刊『アイデアの着眼点』から抜粋してご紹介いたします。


三木清の「構想力」とは何か?

 そもそもどんなアイデアの出し方をするにしても、最初にそれを設計する必要があります。何事も設計図を作るところから始まるものです。
 そこで参考にしたいのが、日本の哲学者・三木清(1897〜1945)の「構想力」という概念です。
 
 彼のいう構想力とは、「ロゴス(論理的な言葉)」「パトス(感情)」の根源にあって、両者を統一し、形をつくる働きを指しています。つまり、何かを構想するというのは、単に頭だけでやる作業ではなく、感情もかかわってくるのです。
 しかもその両者を一つにする行為こそが、構想だといっても過言ではないわけです。
 
 考えてみれば、何かを作りたいと思ったとき、私たちの気持ちはまさに「思考」と「感情」が入り混じった状態になっているのではないでしょうか。
 もちろん頭を働かせないと何もできませんが、それ以上に作りたいという感情、熱意が上回っているように思うのです。
 設計というのは、この三木の構想力によって初めて可能になるものであると思います。設計は英語で「デザイン」といいますが、デザインするというのは、「形を作ること」でもあります。
 無から形を作るには、あたかも気持ちの風船を膨らませるかのように、思いを外に放出する必要があるのです。実は三木の構想力の根底には、「虚無」という概念が横たわっていました。虚無とは「何もないという虚しさ」のことです。だからこそ逆に、彼は構想することの意味を重視したのではないでしょうか。
 
 この殺伐とした世の中に何かを生み出すのは、「アイデア」なのです。
 そのためには、まず設計しなければなりません。気持ちを膨らませて、どんどん形にしていく必要があるのです。
 その意味では、設計する力とは、感情を素直に表現し、形にしていく力なのだと思います。そういう力をしっかりと磨いておけば、最初の一歩は心配ないでしょう。
 もしすでに紹介してきた10の方法を使ってもアイデアを出せる気がしないような時は、まず感情を素直に表現するところから始めてみてください。いわばアイデアを出すための準備運動みたいなものです。
 何事も準備運動は大事です。ノリにのっている時は別ですが、そうじゃない場合は、気分をアイデアモードにする必要があるのです。それはスポーツや楽器演奏と同じで、まずはアップをすることです。そうすると体がだんだん乗ってくるはずです。
 喜怒哀楽、どんな感情でもいいので、それを言葉や簡単な絵で表現してみるといいでしょう。それさえしたくないなら、何かを手に取って、それを気分のままにただ一定時間触ってみるだけでもいいと思います。
 要はきっかけが必要なのです。感情が膨らみ、形になるためのきっかけが。少しでも膨らみ始めれば、あとはもう大丈夫です。


 以上、三木清の構想力とは何かについてご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

構想力とは、何かを形にする力(設計力)のことであり、そのためにはまず「思考」ではなく「感情」に働きかけることが重要であるとのことでした。
 
本書では、そのほかにも「美の哲学」や「西田幾多郎の行為的直観」など、アイデアを形にする際のヒントとなる哲学が多数紹介されています。もしご興味ありましたら、ぜひご参考になさってください。

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