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「トップダウン」でも「ボトムアップ」でもない最適解

フォレスト出版編集部の寺崎です。

会社にはさまざまなスタイルがありますが、あなたの会社はトップダウンでしょうか? それともボトムアップでしょうか?

出版社の場合、社長が創業者だったり、その一族だったりということも多く、けっこうトップダウン型の会社が多い気がします(私の前職もそうでした)。大手の場合は、編集長のトップダウンというケースもありそうです。

一方、先進的な業界(たとえばIT系とか)の場合はボトムアップ型が多いのかもしれません(ただのイメージ)。

ところが、この変化の激しい時代には「トップダウン」「ボトムアップ」の両方とも不正解だそうです。

その理由を中尾隆一郎さんの新刊『現場が動くマネジメント』からみてみましょう。


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「トップダウン型」と「ボトムアップ型」の違い

 まず、変化が大きな現在、「どのような組織を作りたいのか?」「作る必要があるのか?」ということを考えてみましょう。判断の仕方、情報の流れという観点で組織を考える際、一般的に対比されるのが「トップダウン型」の組織か、「ボトムアップ型」の組織かという議論です。
 トップダウンとは、企業のトップであるリーダーが判断を行い、ボトムである現場に指示することで事業運営を行う方法です。
 一方のボトムアップは、トップダウンとは逆に、現場にある程度の権限を与えて、現場の意見やアイデアをトップが汲く みとったうえで事業運営を行う方法です。

中尾隆一郎『業績を最大化させる 現場が動くマネジメント』より

 それぞれメリット、デメリットがあります。
 トップダウンの一番のメリットは、判断の時間が早い点です。
 デメリットは、どうしてもボトムである現場は受け身になり、指示待ちのメンバーが増加します。加えて、上司に判断を仰がないと、自分でやることを決められないので、モチベーションが低下しがちです。
 しかもトップの能力に依存するので、業績を上げ続けたトップが交代した際に、新しいトップの判断ミスなどが起きがちで、長期的に業績安定が見込めません。カリスマ経営者が、次の経営者に引導を渡せない話などが該当します。
 ボトムアップの場合、現場の意見が事業運営に採用される、つまり、現場の従業員にとって自分たちの意見でやることを決められるので、モチベーションが高くなります。
 ボトムアップのデメリットは、判断の合意形成などに時間がとられることが多い点です。変化が大きい時代に判断に時間がかかるのは致命的です。
 みなさんの組織は、どちらに近いでしょうか?
 一般的に、「トップダウン」と「ボトムアップ」どちらがよいのかという議論になるのですが、トップダウンは、トップの資質に依存するので、長期的な安定感がなく、ボトムアップは、判断に時間がかかるので、瞬発的なスピードがありません。
 変化の大きい現代では、変化を把握するためにも、顧客情報を持っている現場の意見を参考にする必要があります。加えて、変化が大きいので、瞬時に判断することが求められます。つまり、トップダウンだけでも、ボトムアップだけでもダメなのです。
 最終的には、トップに判断を仰がなくても、(トップの判断の軸が分かっている状態で)現場で判断ができる組織が求められます。
 つまり、現場が自分で考えて、自分で行動し、成果を出し、そこから学ぶ、自律自転する人・組織が1つの回答なのです。

理想的な組織は「ミドル・アップダウン」

 そこで登場するのが「ミドル・アップダウン」によるマネジメントです。
 ミドル・アップダウンは、トップダウンとボトムアップそれぞれのメリットを活かしつつ、デメリットを弱めることが可能だと言われています。「トップ」はリーダー、「ボトム」は現場のメンバー、「ミドル」は中間管理職を指します。
 ミドルである中間管理職が、トップの考えをすばやく現場メンバーに浸透させつつ、現場が把握している顧客情報や、意見、あるいは不満を汲み上げ、トップに伝える役割を担います。
 かつて、中間管理職は不要だという議論があった時代もあったのですが、変化が激しいこの時代には、トップとボトムを上手につなぐことができる「ミドル=中間管理職」の役割が再度注目されています。
 つまり、「トップダウン」でも「ボトムアップ」でもなく、それらのいいところ取りの「ミドル・アップダウン」が自律自転する組織を作るための1つの最適解なのです。

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トップダウンでもなく、ボトムアップでもなく、中間管理職を据えた「ミドル・アップダウン」が理想的ということでした。

次回の投稿はこの「中間管理職」をどのように育成すればよいか、ご紹介したいと思います。

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