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私の時間の使い方を人に決めさせず自分で決めて生きていく

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リーマントラベラーとして有名な東松寛文さんの「週末だけで70ヵ国159都市を旅したリーマントラベラーが教える自分の時間の作り方」を読みました。
「ガイアの夜明け」などにも出演されていたので、どういう方であるかはテレビで知っていたのですが、なぜそんな週末海外旅行をするようになったかが書かれていて興味深く読みました。

東松さんはこうした海外旅行をするまでは、広告代理店で朝8時から終電まで働き、接待や合コンにも断らず出続けて週末は寝だめしているような「社畜」生活でした。
たまたま大好きなアメリカのNBAの試合観戦チケットをネットで取り、「アメリカなんてどうせ行けないけど」と思っていたところ、知人から行きたいなら行けばいいのに、と言われ、初めて自分の時間の過ごし方を考えたそうです。

だから、この本で東松さんが一番言いたいのは、休暇のもらい方とかどうやって海外に行くかというテクニックではなく、「自分の時間」とは何で、これからどうやって自分の時間を作って、過ごしていくのか、つまりどう生きていくのか、を考える事だと感じました。

私も経験がありますが社畜時代の東松さんが「忙しい」と感じていることのほとんどは、他人によってやることを決められている時間です。
仕事、会議、残業、飲み会といったもののほか、平日に仕事がスムーズに出来るように、と休日の過ごし方をセーブしたり、寝だめしたり、最悪なのは職場に行って仕事をしたりしていました。
仕事の評価は他人が評価する内容だと考えているため、他人の目ばかり気にした仕事の内容になっていました。
誰かに決められたやらなければいけないこと、ではなくて、自分の意思で自由に使えて、自分のやりたいことを本当にやっている時間なんてほぼありません。

自分の時間なのかどうなのか、東松さんが判定する基準が分かりやすいです。
「休日でもやりたいことかどうか」という基準です。
ショッピングやレジャーなら分かりやすいですが、例えば仕事関係の飲み会などが「休日なのに」と思うか「休日でも行きたい」で判断するわけです。
本ではどうやって時間を作るのか、そうやって生み出した自分の時間をどう使いこなすのか、自分の時間を生きるとはどういうことなのか、についても書かれています。
興味を持たれた方は、ぜひ読んでみてください。

東松さんのテクニックではなく、生き方を考えていくという所は様々なところに通じると感じます。
私たちは日々生きる中で、ライフハックと呼ばれるようなテクニックに逃げがちですが、とことんまで行き着くとテクニックではどうしようもない場面に多数遭遇します。

ここ最近、住職としてお寺業界のことを士業などの他業界の方に話す機会が増えたのですが、そこで質問される多くが「●●のようなトラブルがあったのですが、どうしたらいいですか?」という内容のものです。
トラブルが起きてしまったものはだいたい対応できる方法が限られて対症療法的になります。
質問へのお答えとしては、対症療法の内容とそうならないように事前に相談をしてもらえるような広報・啓発をしましょう、というところが中心になります。

ただ、こうしたトラブルに対して悪条件となったものを何とか良い条件に戻そうとする話では追いつかない問題があります。
現に相続で兄弟間の争いが起きている時に、兄弟の中を良くしていこうと条件を整えようとすることはもはや無理である場合もあります。
そうして兄弟間の仲違いが解決しない、相続争いが収まらない、または全員が納得する結果では終えられなかったとしても、その事を受けとめて生きていく「生き方」を考える必要があります。

ビジネスを中心に考えるとどうしても条件を整える方にばかり意識が行きがちですが、僧侶である私は条件が整わない場合の「生き方」について、もっと自ら考え、伝えていく言葉を紡ぎ出していかねばならないのではないか、と考えました。

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