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CREATURES” 出演アーティスト紹介 (7):→(yajirushi)

俺たちである。フランク・フゥ(g/vo)とKume(ds/vo)の2人組である。自己認識としては、楽しい音楽をやっているつもりだが、聴衆は、そのように受け取る者、ツェッペリンみたいという者、「あは、あは、あは」と生乾きの笑いを返して去る者、まあさまざまであるが、概ね好評だ(と思いたい)。

好きなアーティストは沢山いる。だが、目標とする者はそこにはいない。俺の目標は、夏目漱石だからだ。「坊っちゃん」に見られる分かりやすい文体、快活なスピリット、突拍子もない行動、当たり前ながらしみじみと堪える余韻…全て俺の憧れである。

夏目は、絶対に世界に勝てたはずだ。西洋世界にも、日本のネチネチした自我にも嫌気がさした彼の、ニヒリスティックと楽天性の共存。その、宙に浮いた視線に、俺は、日本人として、西洋と中華の血の混じった日本人としての希望を見た。どっちつかずでいいんだ。迷ったままでいいんだ。多く報われなくったっていいんだ。とにかく分かりやすく伝えろ。俺たちのロックは、いつもこれを基準にしている。

夏目漱石の視線、それは翼である。これがあれば、俺たちはどこにでも飛んでいける。世界中の人々に会いに。

但し、渋谷以外である。

きらびやかなまでにおぞましい街、渋谷。現在の日本の主流の音楽が、渋谷やミッドタウンにある。それが、東京の顔、日本の顔であるかのようなデカい態度である。馬鹿か。俺たちはあそこには行かない。絶対に。

国際都市、東京の下街。ここには様々な人種/身分の人々が生きている。外国人がいる。おばあちゃんがいる。じじーもばばーもいる。刺身を湛えた者もいる。ここに書けないアブナイ職種の方々もいる。俺もいる。そしてこの街は、全ての人々を受け入れてくれる。テキトーに温かく、テキトーに冷たい、この街のような音楽を作りたいとは、ずっと思っている。

https://youtu.be/rT0P5g0oYPM

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