マガジン

  • J LAB ch0 #ワークショップ

    • 135本

    コミュニティメンバーによるワークショップ関連の記事を投稿する場所。

  • 旧 表現研 部誌

    • 27本

    コミュ内、『文化表現研究部(表現研)』の活動に準じた評論を集めていた旧部誌。

最近の記事

ルポ「路上生活」書評

この文章は,以下の書評を受けて作成したものである. 路上生活者.筆者の地元である県立明石公園にも,小学生の頃はブルーシートなどで覆われたテントなどを作り生活していた人を見かけることがあったが,行政側が生活保護を受給させアパートにでも入れたのかいつの間にかいなくなってしまっていた.このように,最近は行政その他が実施する「浄化作戦」により見かけることはずいぶん減ったが,それでもなお日本においては一定数路上生活を営む人がいると思われる.この本は実際にそのような「路上生活」を二カ月

    • 「友だち地獄」書評〜とはいえ15年前の本だよね

      『友だち地獄ー「空気を読む」世代のサバイバル』は、同じコミュニティのメンバーであるイスツクエさんに紹介していただいた本である。イスツクエさんによる書評およびNote記事は以下を参照 まず,この本は15年前(2008年出版)と,若者文化論を扱う本としては少々古めかしいものと言わざるを得ない.15年前と今とは社会情勢もそれを支える技術,サービスも大きく変化した.iPhoneに代表されるスマートフォンの登場,そしてTwitterやInstagramといったSNSの普及は言うまでも

      • 「科学哲学講義」書評 - 科学とはどう言う営みか?

        科学と擬似科学の区別 科学の活動は、ある対象についての思考、批判、議論の積み重ねを前提とする。科学は、仮説や理論を提出し、それらを実験や観察によって検証するプロセスを経て進歩する。例えば、物理学においては、アインシュタインの相対性理論が提案された際、激しい議論と検証が行われた。実験結果としての光の曲がりなど、多くの具体例がこの理論の正しさを示している。このように、科学では理論や仮説が絶えず試され、批判を通じて発展する。一方、擬似科学はこのような厳格な検証プロセスを欠き、しば

        • ジェイラボワークショップ第69回『部員が聴く 』【情報科学部】[20231127-1210]

          この記事は,以下に説明が記載されていますジェイラボワークショップ『部員が聴く 』のログとなります. 1日目 WS概要説明■けろたん部長からの趣旨説明 こんばんは。けろたんです。 けろたん諸事情でスタートが遅くなってしまいご心配をおかけし申し訳ありません。 本日から情報科学部のWSを始めたいと思います。 ・前回WSの振り返りと今回の企画説明 前回のWSは情報科学部部員自身について知ってもらうという趣旨で、好みや考え方にについての全42の質問に部員5名で答えていきました。部

        ルポ「路上生活」書評

        • 「友だち地獄」書評〜とはいえ15年前の本だよね

        • 「科学哲学講義」書評 - 科学とはどう言う営みか?

        • ジェイラボワークショップ第69回『部員が聴く 』【情報科学部】[20231127-1210]

        マガジン

        • J LAB ch0 #ワークショップ
          135本
        • 旧 表現研 部誌
          27本

        記事

          「ナチスはいいこともしたのか」書評 やっぱりあいつらはええとこない【基礎教養部】

          やっぱり,なんだかんだ演出が上手くてかっこいいのは認めざるを得ない.(ナチ党党大会における写真) ナチス.親衛隊の黒制服やニュルンベルク党大会に代表される無駄に洗練されたデザインや,そして全世界に向け戦争を吹っかけ,もう一つの悪の巨頭ソヴィエト連邦と絶滅戦争をやらかししめやかに爆発四散した最期,そして「ヘルシング」などのコンテンツの影響もありさまざまな分野のオタクに対してカルト的な人気を誇る(?)みんな大好きNSDAPである. 第二次大戦前後を扱った戦略シミュレーションゲー

          「ナチスはいいこともしたのか」書評 やっぱりあいつらはええとこない【基礎教養部】

          ジェイラボワークショップ第64回『語=言+吾 』【情報科学部】[20230918-1001]ログ

          この記事は,以下に説明が記載されていますジェイラボワークショップ「『語=言+吾 』のログとなります. 1日目 WS概要説明■けろたん部長部長からの趣旨&スケジュール説明 皆さんこんばんは。本日から2週間情報科学部のWSよろしくおねがいします。 今回の情報科学部のWSテーマは「語る練習」です。端的に言うと、情報科学部員の考え方や部員自身について知ってもらおうという趣旨です。2週間かけて部員のみなさんに全部で42の質問を答えていただきます。 これまで情報科学部のWSでは一般書

          ジェイラボワークショップ第64回『語=言+吾 』【情報科学部】[20230918-1001]ログ

          「対話の害」書評〜けど,これを書いている人間とは対話したくないよ〜

          (タイ・バンコクで出会った二匹の猫.彼ら/彼女らはどんな「対話」を日々行なっているのだろうか) この文章は,以下の書評を受けて作成したものである. 「ゆっくり読め」という本の指示に反し,(購入するのもかったるいので)朱雀の図書館まで行き一時間くらいでさっくりとこの本を読んだのだが,感想としては「伝えたいことがいまいちよくわからない」というものに尽きる.この本は,一貫して,マイケル・サンデル教授の「白熱教室」のような”対話形式”とされる講義に「問題自体の条件を疑うような思考

          「対話の害」書評〜けど,これを書いている人間とは対話したくないよ〜

          科学を「数値」で測ることの意味-豊田長康「科学技術立国の危機」を読んで

          この記事は,以下の書評,および書評で扱われた本である豊田長康「科学技術立国の危機」を受けて作成したものである. 現在,我が日本国における学術研究を取り巻く様々な環境は,一言で言って「悪い」という印象しか持てない.例えば,常勤の教員は増大する書類仕事に忙殺され十分な研究時間を取れない,また博士号を取得してもポストが任期制であったり,そもそも少子化の影響か自分の専門領域にてポストがなかったり,給料等の条件においてその専門性に値する十分な報酬が設定されていなかったりする.また,大

          科学を「数値」で測ることの意味-豊田長康「科学技術立国の危機」を読んで

          松本俊彦著"「助けて」が言えない---SOSを出さない人に支援者は何ができるか" 書評-「人間ひとりひとりが生きやすい社会」を目指して

          「自己実現」,「自己責任」…昨今の社会はとかくこういう「自己」を強調した単語が並ぶ.受験や就活などはその風潮の極地である.まるで万人が「なりたい理想の自分」などという存在を明確に言語化しなければいけないと言われているようだ.…この傾向を息苦しいと感じるのは私だけではあるまい.もちろん,人権という概念はこれまで国家や家族,社会的偏見といった暴力的な要素を含む存在からどれだけ「自己」を確立するかといった観点で発展してきた.しかしながら,現代社会,および資本主義社会は,今まで確立さ

          松本俊彦著"「助けて」が言えない---SOSを出さない人に支援者は何ができるか" 書評-「人間ひとりひとりが生きやすい社会」を目指して

          「綺麗さ」「清潔さ」による汚染から抜け出すには-「社研」と言う形で人文社会科学に触れた経験から

          この記事は,以下の書評,および書評で扱われた松井彰彦「高校生からのゲーム理論」(ちくまプリマー新書)を読み作成したものである. 私は経済学や社会学といった社会科学や,哲学や歴史学といった人文科学を専攻してはいないが,それらの学術領域にて学生が自主的にゼミを開き,論文を執筆するサークル-「社研」に属していた.ゆえにケインズ経済学やマルクス経済学などについてはある程度耳学問をする機会があった.その中にはもちろんゲーム理論も入っており,今のコンピュータ,およびコンピュータサイエン

          「綺麗さ」「清潔さ」による汚染から抜け出すには-「社研」と言う形で人文社会科学に触れた経験から

          【基礎教養部】磯山雅「J・S・バッハ」を読んで-生成モデルとコンテンツのライブ感

          この記事は,以下の書評,および書評で扱われた磯山雅「J・S・バッハ」を読み作成したものである. 生成モデルの発展と作品について 作品は製作者の人生の表象である.生成モデルが一世を風靡し,作品の「価値」,そして人類の「創造性」という神秘が解体されつつある今日の置かれた状況ではある.しかし,例え生成モデルがこれから先さらなる発展を遂げ自己の好みに合わせて音楽やイラスト,小説といった作品の生成が容易に達成できるようになったとしてもこの「作品は製作者の人生の表象」であるという図式

          【基礎教養部】磯山雅「J・S・バッハ」を読んで-生成モデルとコンテンツのライブ感

          【基礎教養部】小泉悠「ウクライナ戦争」を読んで

          第二次大戦以降最大規模の軍事衝突であるウクライナ戦争の終結は未だその形すら見通せない.現在のところウクライナが抗戦の意思を持ち続けているので,ロシア軍の決定的敗北もしくはロシアでの政変が起こるといった事態しか終結はしないだろうが,それでもやはりウクライナ,そしてロシアにおける軍人,一般市民多数の犠牲が出ることには変わりない.ロシアにおける極少数の施政者が情勢を見誤り侵攻したことによる結果は,ただただ無辜の人たちが流す血である.一刻も早くウクライナの人達が安寧を取り戻し,ウクラ

          【基礎教養部】小泉悠「ウクライナ戦争」を読んで

          「民間防衛」-そもそも「防衛」するべきものとは

          この「民間防衛」を初めて読んだときは中学生の時分だったように記憶している.DSやWiiといったゲームハードを買ってもらえなかった私は小学生の頃からPC上でプレイできるフリーウェアのウォーシミュレーション,またHearts of IronやCivilizationといった大規模戦略シミュレーションにハマり,学校で行われる「平和教育」なるものにことあるごとに反発を覚える健全なミリオタ少年になってしまったのであるが,その過程の中で「民間防衛」を手に取って読んだように思われる.当時の

          「民間防衛」-そもそも「防衛」するべきものとは

          小泉悠『ウクライナ戦争の200日』【基礎教養部】

           今まで何度「歴史の教科書でしか見たことない」と感じただろうか.長らく歴史の表舞台から消えていた国家同士の正面戦争,ウクライナ戦争が勃発してもう7ヶ月が経ってしまった.歴史上の出来事だと思っていたのは戦場での事象に限らず,戦闘が終わったはずの地域におけるロシア軍の残虐行為も該当する,4月にブチャで拷問され,殺害された形跡のある遺体が多数発見されたとの報道を耳にしたときは,怒りよりも「なぜロシアはこのような練度もプロ意識も低い部隊を雑に投入しているのか?」とその事態を理解できな

          小泉悠『ウクライナ戦争の200日』【基礎教養部】

          「情報なき国家」に生まれたものの使命として- 堀栄三著:「情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記」

          中学生の頃から歴史,軍事に興味のあった私は「戦争教育」と言うものが嫌いだった.その時は教材等の粗を突っ込んだりするなど中学生らしい行為をしていた記憶がある.学校で提供されるどの教材を見ても「戦争を繰り返してはいけない」,「戦争は悲惨だ」というあまりにも自明かつ何ら情報量がない記述しか存在しなかった.その程度の事項なら誰でも知っている. ではなぜ,いまだに戦争は無くならないのか?もし無くならないと仮定して,ではどうすれば少なくとも日本を戦争の災禍から防げるのか?...学問を目の

          「情報なき国家」に生まれたものの使命として- 堀栄三著:「情報なき国家の悲劇 大本営参謀の情報戦記」

          【基礎教養部】ロシアによるウクライナ侵攻と,日本が採るべき選択肢-「現代ロシアの軍事戦略」を鑑みて

          まず,ゼレンスキーウクライナ大統領,及び国家の存亡に際し自ら立ち上がった数多のウクライナ国民の人たちに対し格別なる敬意を表します.また,差し迫った生命の危機を感じ国外に避難したウクライナ国民の人たちに対し深く同情いたします.ウクライナとその国民の人たちが,危機からいち早く抜け出し,その生命,財産,名誉を守り抜くことを切に祈念しています. 個人的に,ロシアは思い入れが深い国である.私は10年来の比較的年季が入ったミリオタである,特にWW2~冷戦期に対する興味が強いということも

          【基礎教養部】ロシアによるウクライナ侵攻と,日本が採るべき選択肢-「現代ロシアの軍事戦略」を鑑みて