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りんご不可思議論

リンゴ・りんご・林檎・苹果……
どの表記がお好きでしょう?

私は、「林檎」という漢字のもつ抒情や
いかにも、木箱に並んでいそうな雰囲気が好きです。
けれど、今回は何となく、ひらがなを採用しました。
そして、今が旬のりんごについて思いを巡らせることにします。

。。。。。。


りんごの形は、ちょっと不思議。
まん丸ではなく、少し角ばっていて、けっこう安定感がある。
そのわりには、どしっとした、ふてぶてしさがない。

りんごは物体、かつ、現象である。
なんらかの神秘性を内包した、独自の世界をもっている。
スピリチュアル的にもトーラス構造とかなんとか。

空間の中に、そっとりんごをおいてみる。
ふいに、空気の流れとか、静謐さとか
目には見えないものが、その周りに立ちあらわれる。

そこだけ、少し時空がずれた並行宇宙のような。
あるいは、りんごの内部宇宙へといざなわれるような。

そこには、人の記憶や哀しみをあたためる場所が
あるような気がする。

。。。。。。。。


ちなみに、

私はりんごが食べられません。
りんごアレルギーだからです。

このアレルギーは、かれこれ20年ほど前に発症しました。
K市からT市に移り住んで、まもなくのこと。

( 後になって、聞いたところによると)
私が転入する何年か前、T市は
とある木をとある山にたくさん植栽したそうです。

その木の花粉抗原が、バラ科の果物の抗原と構造が似ているため
アレルギー反応を引き起こすのだとか。
そのため、T市の人口の約3%(さだかでない)が
りんごなどのバラ科の果物アレルギーにかかってしまったらしいのです。
私もその一人のようで……(TT) ちなみに家族は何ともありません。

食べられなくなると、
大好きだったわけでもないのに、妙に食べたくなる人間の心理。
りんご、かじりた~い。
りんご飴、食べた~い。
けれど、一口かじったが最後、つらいことになるのです。

まさしく、禁断の果実。
私にとって、りんごはどこまでも
誘惑的で罪深くもある、甘美な現象なのです。


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