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(飛行機のあれなに?これなに?) その4

ネット上で見つけた、飛行機に関する写真を解説します。


これはSNS投稿されていた画像です。エンジンの後部から火が上がっていますね。


なかなか例を見ない緊急事態です。
以下の2点に分けて解説します

1.なぜエンジンから火が上がってしまうのか?
2.エンジンから火が上がると、パイロットは何をしなければならないのか?



1.なぜエンジンから火が上がってしまうのか?


まずは前提となるのがジェットエンジンが動く仕組みを説明します

1.ウイングの中に貯めている燃料をエンジンに送ります
2.燃料をエンジン内で燃やすと、熱エネルギーが発生します
 (1600〜2000℃になります)
3.熱エネルギーが重たい金属部品を動かします

ざっくりと1〜3の原理でエンジンは動いています。

そして
4.金属部品(羽)が回って、後ろに大きい空気を作り出します
5.飛行機は前に進みます

エンジンのもっと深い内容は別の記事で紹介します。


冒頭でお見せした写真は、エンジン内の炎が燃焼室の中に収めることができず、EXHAUST(排気口)側まで伝搬している状況です。
もちろん異常で危険な状態です。

通常なエンジン運転状態では、combustion chamberと呼ばれる燃焼室で炎は常に燃えていて、空気と金属部品(タービンと呼ばれる羽根)によって燃焼室の中に収まっています。
バランスが取れているというイメージです。

しかし、何らかの原因でそのバランスが崩れると、炎が排気口側まで移ってしまい、写真のような状況に陥ります。

原因は
・ストール(空気の需要と供給のアンバランス)
・燃料を送り過ぎている
・燃料がどこかで漏れて、燃えてはいけない場所で燃えた
なとが挙げられます。


2.エンジンから火が上がると、パイロットは何をしなければならないのか?


まずパイロットがどのようにエンジンファイアに気付くことができるのかについて話します。
コクピットに篭っているため、肉眼では確認することができません。
そのため、計器や警報システムで判別します。

システム的にはfire detectorという火災センサーで感知でき、コクピットで警報します。
またEGT(exhaust gas temperature)というエンジン排気温度の異常な上昇も判断基準になり得ます。


これは余談ですが、
エンジンファイアの警報が発生するタイミングで、二次災害を起こさないようにするために、機体は自動で様々なシステムをオフにします。
最近の飛行機の機能は、以前のものより進歩しているということです。



そしてエンジンファイアとパイロットが判断すると、以下のように操作します。
1.まずエンジンへの燃料の供給を止めます
2.それでも火災が止まらない場合は、エンジンに消火剤を噴射します
3.最寄りの空港に緊急着陸します


燃料を止めると、燃焼するものがなくなるので次第に火災は収まります。

それでも火災が止まらないということは、エンジンの各部に燃料が付着していて燃え続けたりしています。
エンジンに消火剤を吹きかけて、一刻も早く消す必要があるのです。

その後最寄りの空港までヒヤヒヤしながら飛んでいくことになります。


エンジンに消火剤を撒いた後は、着陸までのフライトはもちろんのこと、整備も大変です。

火災の原因を見つけ、エンジンを交換し、取り卸したエンジン内の部品もバラバラにすることになります。

外国の整備設備の整ってない空港に緊急着陸(ダイバート)してしまうと、整備や運航スケジュール面でもとても大変なのです。

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