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転職先にスタートアップを選ばなかった理由の一つは、アセット。

5年半勤め、最後には執行役員をしていたスタートアップ企業を辞めた。
転職した先は、桁違いの大きな企業。
はたしてこれでよかったのか、とか考えたことの記録。

「もすこさんは絶対にベンチャーが向いている」とたくさんの人に言われたが、新しい会社には、大手企業を選んだ。

理由の一つに、「人もお金もある。活用できるアセットが潤沢にある。使っていいよと言われた。」から、というのがある。

スタートアップで辛かったのは、やりたいサービスやつくりたい機能、売りたい先があるのに、開発するエンジニアやマーケティング予算が不足していたこと。

前職のスタートアップは「お金がない」か、「予実達成・黒字化を重視して今は採用費や人件費を増やせない」のどちらかであることが多かった。
開発もマーケも、投資だとよく言われる。未来への投資だとバンと出すか、今の赤黒経営を重視して保守的にいくかは、そのときの会社のフェーズと、経営陣の先の見通し力と、経営陣の気分によって決まる。

エンジニアの採用には時間がかかるし、入社してもキャッチアップに二ヶ月ほどかかるので、常に募集をし続け、いつきてもいいようにしておかないといけないが、
「今は出費がきついから」という理由で、募集をクローズし、まっさきに削ろうとするのが、業務委託のエンジニアだった。そして正社員をとれ、という無理難題を押し付けてくる。

仮にもテックベンチャーをうたっているのに、エンジニアを最初に削ろうとするのは不思議である。そこ削ったら、サービスのグロースハックもとまり、あたらしいことをやるスピードも落ち、停滞が見えるのに、サービスが維持できなくなる、ということをお金を握っている人がわかってない。
表面上単価が高いところから削ろうとするのは、短絡的だなあと思って眺めていた(だけでなく物申したこともあるが)。

お金も人も、結構ギリギリ。資金調達ができていればいいが、できていたとしても、赤字であることが多いので常に口座残高を切り崩す日々。資金調達もうまくいき、ちょっとずつ黒字化してきたと思ったら、その黒字を落としたくないから今度は冒険をしなくなる。数年潰れない預金はあるのに。

5年いる間に、エンジニアをとろう→お金ないからストップ→調達したからとろう、の流れを5ターンくらいみた。そのたびに、面接にあたっているリードエンジニアらががっかりしたり疲弊するのをみた。人がいないからコード書きながらカジュアル面接しているのだ、大変なのだ。

マーケも同じ。調子のいいときとそうでないときの波はあるので、それを大きな波と捉えて予算を調整したり施策を検討し、たまには冒険的出費も必要だが、「マーケ費用はこのくらい」と決まってそれがもう増やせないとなるとなかなかの大変さである。売り上げ上がっていたので、ここで一発増やさないとこれ以上伸びないよ、というところに来ても、冒険はなかなかできないのかお金はおりてこない。

何事もやらないとはじまらない。やるためのアセットがないとはじまらない。成功に向けての検証も、小さなA/Bテストですら、人やお金が必要なのだ。そこを惜しみすぎていては、スケールしないぞ、と思う。

やりたいことがあるのに人もお金足りないことで我慢する、は、入社する企業ではなさそうである。エンジニアもびっくりするくらいいる、お金はいっぱいありそうだ。

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