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記憶へのアクセス【電子書籍「反対側へのダイアリー」制作日誌】

ふれるま たみ子初めてのエッセイ「反対側へのダイアリー:わたしが見つけた、もうひとつの世界」についての制作背景や想いなどを書き綴っています。

第2章 心に抱えていたもの(2017年10月 前半) 
■13  罪悪感の根源 10月14日(土)

今日はどれくらい心に罪悪感を感じただろうか。

 雨が降る中、駄々をこねる息子を園に連れてってもらった時
 体調が優れず人に会う約束をリスケしてもらった時
 コラボ企画で売り上げの配当をほぼ私に分配していただいた時
 集客がうまくいかなかったのにレッスンの場所を提供していただいた時

 これくらいだったかな。全部逮捕して、(ありがとうございます)と心の中でお礼を言った。

「いつから?」
と猫さまは問う。
(いつだったっけな…。悪いから、とてもいただけないって思うようになったのは)

 目を閉じ過去を振り返ると、私の制服がどんどん遡る。高校生のブレザー服、中学生のセーラー服、小学生のランドセルと帽子…

 腕に包帯を巻いた母が車から降りてきた…私は駆け足で駐車場に向かう…抱きついた母の体が硬直するのがわかった。私の後ろから父親が向かってきている。
「すみませんでした…」
と泣きながら頭を下げる母。父は少し引きつったような表情で
「よか、よか」
と母の肩を抱き、自宅に入って行った。私はすごく嬉しかった! また母に会えて。とても嬉しかったから、
「お母さん、嬉しい。また一緒に暮らせるね」
 そう言いたかったんだ。だけど言えなかった。母はとても悲しい表情で、私の頭をずっと撫でていたから。
(嬉しいと、感じてはダメなのだ。これは、とても悲しい母の決断だったのだ)
と、子供ながらに自分の気持ちを押し殺した。
 
それは、とても息苦しい記憶だった。
(本文より)

制作背景:記憶へのアクセス

猫さまによる潜在意識へのアクセスが始まり、この頃からどんどん過去の記憶が蘇ってきます。正直なところ、これまでの人生一度もカウンセリングやセラピー等といった「心との向き合い」をやったことが無かったので、半信半疑な部分はあったと思います。猫さまの質問はいつも想定外のところから飛んできて、それが一体何と関係があるのだろうと思っていましたが、そんな気持ちが過度な期待を生むことを無くして、逆に良かったのかもしれません。ただ淡々と猫さまの質問に答える為に過去を振り返るという作業を繰り返していきました。

記憶の回帰はインパクトの大きなものから、といった順序なのかどうか私には分かりませんが、最初しばらくの間、辛い過去ばかりと行き来していたので、思い出す現代の私自身もなかなかにしんどい作業でした。


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