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ものの数とは何か

モチベーション

「無限」は常に我々を魅了し、数学的に最も興味のある対象のひとつである。例えばゼノンのパラドックスは約2500年前に考えられた無限にまつわるパラドックスであるが、解決されたのは人々が無限をきちんと理解し扱えるようになった近代からである。
さて、無限を考える上で最も基礎的なのが個数無限である。自然数{1,2,3,・・・}を考えれば分かるようにこれは有限で打ち切られた概念ではないので個数的に無限と言える。次に考えられるのは数直線上の点の集まり(※数直線そのもの)が表すような連続無限である。
実際的にはこの二つが分かれば大体終わりだが、他にも無限はたくさん存在する。この記事でやりたいのはものの数をきちんと考えることで、無限を紹介するということである。

個数の定義

まずものを数えるとはどういうことなのかを考えたい。
まず東に木が2本、西にりんごが2個あるとしよう。個数の定義(※2というもの)を作るうえで注意すべきは
①2に3とは違うアイデンティティを与える事。

②2本でも2個でも2と同じという区別できなさを与える事である。
今、自然数を{1,2,3・・・}と並べておく。ここで木の1本1本をあるだけ自然数の先頭から紐づける(※1-木、2-木のように)。そして紐づけが終わった後に一番最後の自然数(※2)を叫ぶ事で個数が判明する。りんごの場合は1-りんご、2-りんごとし、2を叫ぶ。
こうすれば、2は3とはアイデンティティが異なり、2は2同士でアイデンティティが同じとなる。

無限個とは

上記面倒くささは何も与えていないが、無限を数える時に指針となる。
まず自然に考えると無限個(※数えられる無限、可算無限)は自然数の数そのものである。
ある集合{りんごA、りんごB、りんごC、・・・}がある時にはりんごAから順番に自然数の先頭から紐づけていくが、紐づけがある有限の自然数で終わらなかった時、かつ任意のりんごXがある自然数と結びついてるとき、これは自然数と同等の個数が存在すると考えりんごの集合は無限個と言っていい。
これは集合の要素を一列に並べれることと同じである。

あれもこれも無限個

整数全体{・・・-2, -1, 0, 1, 2, ・・・}は何個であるか?
一見、自然数{1, 2, ・・・}より真に大きそうであるがこれは可算無限である。何故ならば、整数を{0, -1, 1, -2, 2, ・・・}と考えれば一列に並べれるからである。個数という考え方は集合から抽出される特徴点に過ぎない(※即ち原集合の抽象化)ので真なる部分集合と個数が同じでも全く問題ない。
つまり結論に直感的に違和感が生じても、我々は直感的に違和感のない形でまわりくどく個数を定義したので、それに従えば生じた違和感は単に初めて学ぶ無限の分からなさからくるものに過ぎないのである。
有理数(※分数)の全体は二次元座標の格子点なので一列に並べることが可能なのでこれも可算無限である。
実は1つ1つの要素が列である列も簡単に可算無限であることが分かる。
こう考えると、列の列の列の列・・・それすら列、そしてその列の列の列・・・も可算無限であることもすぐ言える。

連続無限

では無限とは有限の否定としての意味のみを持つのだろうか?
これは違う。冒頭で予告した通り実数全体の集合(※数直線)は可算無限ではない。即ち数直線の要素を一列に並べることは不可能だ。{1.2, 1.23, 1.234, ・・・}と並べても細部が無限に存在しどうやっても並べることは出来ない。
これは実数が完備化という操作を通して作られており、有理数などより厄介な製法になってるからと思っていい。

現実の時空間は物理学的に4本の数直線軸で近似されるという前提を持つので我々の生きている世界の1本1本の軸は仮定として連続無限である。

無限の製法

応用編である。
ある集合Aに対してその部分集合の全体をべき集合というが、この濃度(※実は個数の事を正確には濃度という。もはや「個数」ではないので)は元の集合の濃度より必ず大きくなることが知られている。
故に連続無限が最大ではなく連続無限のべき集合を考えれば、べき集合は必ず濃度的に大きくなる。故に同じ無限でも濃度が異なる無限は無限に存在するのである。

まとめ

皆さん無限を堪能できましたか?
今回やったのは集合の個数、そして個数(濃度)としての無限である。現代数理科学ではこれを最も基礎的なこととして、時間が1秒から2秒に動いたとき(※即ち連続無限を飛び越えたとき)に、自動車の速度の変化を考えたりする。つまり無限なる軸を動く変数を(1から2に)増やし、その絡みを考えたりする。微分積分学はその典型である。
一方、無限は完全に解明できているが、数列が発散し無限になるということは取り扱い不可という事を意味している。これは勘違いされやすいが、∞というシンボルを入れた拡張実数を考えたからと言って無限値を取り扱えたことにはならない。
無限は大らかであるが、その思考法は慣れるまで繊細と感じ難しい。興味を持った読者の皆様はその感覚に磨きをかけて欲しい。実生活上の言葉としても有用に使える!

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ではまたね~\( 'ω')/

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