俺の生まれ故郷。広島県比婆郡東城町。今は合併して庄原市の一部になってる。俺は5歳まで東城で暮らした。そのうち婆さんに引き取ってもらった2歳からの3年ちょっとは東城駅の近く、踏切の脇にある共同住宅に住んでいた。

なんとなく呼ばれた感じがして東城まで行ってきた。岡山で暮らす友人に無理を言って車で連れて行ってもらった。

うっすら残る記憶を頼りに、踏切を目指した。

位置的にたぶんこのあたりだね、って言って視線を右にやると、間違いない、俺が婆さんと住んでた建物に間違いない、うわー、まだあったんだ、すっかり廃墟になっちゃってるけどまだ建ってる。なんとも言えない感慨。ちょっとこみ上げるものがある。

貧しい暮らしだったことは後になってから聞いた。幼い俺には貧しいって概念すらなかった。

たまにラーメン食べさせてもらった逢来園も健在。ラーメン食べるのは俺だけで婆さんは何も食べないの。泣けるなあ。

東城駅の近くを歩いてみた。あんなことやこんなことがたくさん思い出される。購買部でマーガリン買ってもらったなあ。土用夜市でりんご飴買ってもらったなあ。ピーマン焼いてもらって食べたなあ。備北バスの人たちに遊んでもらったなあ。保育園のたまちゃん先生かわいかったなあ。加藤先生は怖かったなあ。こたにで散髪するときバリカン怖かったなあ。そんでもって補助イス使ってたなあ。みこしのまーくん元気かなあ。池田モータースの人に電話取り次いでもらってたなあ。ひとつ下の男の子いたけど名前なんていったかなあ。

挙げてたらきりがない。

逢来園で食事してお会計のとき「また来てくださいね」って言ってもらえた。また来るかな。次はいつだろう。今から47年後っていったらちょうど100歳だわ。