横山さん(横山北斗)| FLY_32

発信し続ける原動力。経験を言葉に変えて自分軸を作る

横山北斗(NPO法人Social Change Agency代表理事) 自由大学では「セルフメディア学」「自分の本をつくる方法」「伝わる文章学」「ニューメディアラボ」を受講。NPO代表として、ソーシャワーカー(※)のためのメールマガジン等のメディア運営、イベント開催を行う。福祉の現場からなぜ発信をするのか? そのきっかけを教えていただきました。

※ソーシャルワーカー:生活する上で困っている人々や、生活に不安を抱えている人々、社会的に疎外されている人々に対して、総合的かつ包括的な援助を提供する専門職の総称であり、また、それらの背景にある、社会や生活環境等を改善する専門職の総称。(wikipediaより)

Q.自由大学に来た経緯(きっかけ)は?

自分が身を置く業界の中からだけではなく、業界の外、つまりは社会全体からソーシャルワーカーという仕事を眺めたいという気持ちと、言葉の力を鍛えたいと思い、発信・メディア関連をネットで検索して見つけました。

Q.言葉を鍛えたいと思ったのは、どうして?

ソーシャルワーカーとして、もっと成長したいと思っていたからです。

ソーシャルワーカーは、人生において困難な時期にある方々と出会い、サポートをします。例えば、病院に勤務するソーシャルワーカーの場合、病気や怪我によって生じた生活上の困りごとの相談にのり、軽減、解決に向けてお手伝いをします。その際、その患者さんが、これまで大切にしてきたものは何か、これからどんな生活を望んでいるのかを教えてもらいながら、一緒に考え、援助を進めていくことがとても大切なんです。

そして、患者さんが抱える問題というのは、その人個人の問題というよりも、その人の環境や社会が、困りごとを生み出しているということでもあります。どうしても業界の中だけにいると蛸壺化していまい、社会全体の中でどのようなこと起こっていて、今何が問題で、その問題によって、どのような困りごとが生み出されるか、ということへの想像力が乏しくなってしまうと思い、危機感を感じたんです。

「どのような言葉を使ったら、伝えたいことが伝わるだろうか」と思うとき、人は想像をします。言葉を鍛えることは、想像力を鍛えることにもつながると感じ、言葉を鍛えたいと思うようになりました。

Q.自由大学を受講してどうでしたか?

異業種の方々との出会い、特に、現状より半歩先を目指す方々との出会いは貴重でした。お互いを尊重しながら学び合う姿勢もとても心地が良かったです。卒業後も交流があり刺激になっています。

Q.受講された講座は4つとも言葉やメディア関連ですね。横山さんが「発信すること」へ興味を持ったきっかけを教えてください。

2008年からソーシャルワーカーという仕事について感じたこと・考えたことをブログに書いていたのですが、ブログを読んでくださった同業者の方からメールをもらうようになったことがきっかけです。

ブログをはじめたきかっけは誰かに読んでほしいからではなく、自分がその当時考えていたこと、感じていたことを未来の自分に対して残しておきたい、と思ったんです。

(写真:横山さんがブログを書くきっかけとなった1冊)

ソーシャルワーカーは、日々、たくさんの人に出会いますが、その一人一人は全く別の生活をしている、社会的背景も異なる人たちです。ソーシャルワーカーとしてお会いしたおひとり、おひとりの個別のケースから気づいたことを可能な限り抽象化し、自分なりに考え、言葉にしていくことが自分の成長になると思いました。

自分のために残した言葉が他のソーシャルワーカーの方々にとっても役立つ情報になっていたことに、同業者の方からのメールで気づいたんですね。自分の言葉が誰かの役にたつことがあるのだ、ということをいただいたメールによってはじめて教えてもらいました。

Q.言葉を発信し続けられたのは、どうして?

私自身は、経験を言葉にすることによって、自分にとっての軸をつくりだしていると思っています。

もともと書くことも好きでしたので、自らの経験やそこから気づいたこと・考えたことを言葉にして発信することは、自分自身の屋台骨を積み重ねるような行為になっているんです。

というのも、わたしは15歳の時に白血病(血液のがん)を患った経験があり、病気を克服した後に小児がんのセルフヘルプグループに参加しました。(*セルフヘルプグループとは同じ経験をした当事者同士が集って経験を共有するあつまりのこと)

そこで初めてソーシャルワーカーの人に出会い、その方が当事者としての経験を話すイベントで私に経験談を一般の方達に話す機会を作ってくれたんです。

今まで、病気の経験をポジティブに考えることができていなかった私ですが、セルフヘルプグループのイベントで経験談を話すうちに、自分自身と向き合い、自らの経験に新しい意味づけをすることができ、違った視点でその経験を捉え直すことができました。

経験を言葉に変えることが、自分の成長につながるのだと実感したのです。

Q.これから、横山さんが目指すことはなんでしょう?

ソーシャルワーカーという仕事の社会的意義をしっかりと社会に伝えていきたいと思っています。

私たちソーシャルワーカーがサポートする方々が抱えている個別の問題は、社会的問題が原因で引き起こされることが多々あります。そういった方々の個別の問題を軽減・解決する過程で、その背後に隠れている社会問題を見出して、発信し、社会的な問題を解決に導くアクションを起こすことのできるソーシャルワーカーを社会に増やしたいと思っています。

今現在は、ソーシャルワーカーを志す人たちと現場の人たちが出会える、ネットワークの場作りや、ソーシャルワーカー同士が出会い研鑽しあえる機会などをつくっています。

もちろん自分自身も社会的な問題を解決に導くアクションを起こすことができるよう、もっと成長したいと思っています。

【取材後記】穏やかに、でも一つ一つの言葉を明確にインタビューに答えてくれた横山さん。「経験を言葉に変えていくことが自分の屋台骨を作っているんです。」という言葉の通り、ソーシャルワーカーという仕事への誇りと情熱というブレない心の芯を感じました。言葉は、伝えるだけじゃなく、自分の軸を作ることもできる。言葉って強い。

(インタビューした卒業生: #鈴木宏美 )

【関連サイト】
横山さん代表 Social Change Agency WEBサイト    
メールマガジン「ソーシャルワークタイムズ
facebookページ

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卒業生インタビュー「FLY」

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