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あなたが提供するモノ・サービスの主戦場はどこでしょう? 一段俯瞰してみたら新しい主戦場が見えてきませんか?[事業編 #24]

顧客が買うものは満足であるという事実から、あらゆる製品とサービスが突然、まったく異なる生産、流通、販売のされ方をしている他産業の製品やサービスと競争関係に置かれる。

創造する経営者』第Ⅰ部 事業の何たるかを理解する
第6章 顧客が事業である p119より


商品が売れなくなった……。
営業に行っても話を聞いてもらえなくなった……。
業界全体が元気がなくなってきた……。

そんな状態に陥ったとき、自らが提供するモノ・サービスをより良くするために集中しているだけでは解決しないことがあります。

顧客が、そのモノ・サービスを活用して満足したい気持ちを満たしていたのはもう過去のお話。
違うモノ・サービスがその満足を満たしてくれるようになった、という事実が隠れている可能性があるのです。
集中しているレベルから、一段視点をあげて、状況を俯瞰する必要が出てきているのです。

過去の斜陽産業が、どういう末路をたどっていったかが、それらの変化を教えてくれます。
すでに自分たちが提供しているモノ・サービスとは全く違うモノ・サービスに人々の注意が移っていたにもかかわらず、自分たちの業界とは異なるものだ、われわれが提供するモノ・サービスはそれらより高尚なものである、といった意識で、新しいモノ・サービスの動向を注視しなかった結果が、業界全体の低迷を誘発しているんですよね。

鉄道の利用者が、空路による速い移動に魅了されていった……。
公共交通のバスや電車よりも、自家用車による移動の自由を求めるようになった……。
映画に娯楽を求めていたが、家庭にテレビが設置され、映画館に行かなくても楽しめるようになった……。
紙の出版物を購入しなくても、サブスクリプションサービスにより多くの書籍がデータで読めるようになった……。
余暇としての編み物の需要があったが、スマートフォンなどの別の娯楽に人々の注意が移ってしまった……。
フィルム撮影よりも、手軽なインスタントカメラへ、画像をデータで保存できるデジタルカメラへ、携帯電話に搭載されたカメラ機能へ移り変わってしまった……。

いろんなモノ・サービスが、新しいモノ・サービスによって需要が奪われていくことは、世の中の変化によって当たり前に起こることです。
その変化を受け入れ、そのうえで自らのモノ・サービス、産業をどうしていくことが求められているかを考える必要があります。


様々な競争を勝ち抜いた企業は、人々の意識の変化を潜り抜けてきているのでは? ということで『業界地図の見方が変わる! 無名でもすごい超優良企業』 (田宮寛之 著 講談社)のご紹介です。

今この時代背景で、同じ視点で企業を観察したなら、どんな企業が上がってくるのか気になるところです。
2016年時点の内容ではありますが、現在進行形で、世の中の多くの人にはあまり知られていなくても世界有数の技術を持っていたり、新しいサービスを提供している企業は日々生まれているのでしょう。
江戸時代から続く企業は、江戸時代とは全く違うモノ・サービスを提供しています。
そんな組織の紆余曲折を知ることは、この先の未来に向けてどう行動すべきかも見えてくるのではないでしょうか。
企業向けビジネスを主とした企業も多く掲載されており、あまりメジャーな技術となっていないものも多いのも、面白いところですよね。
過去を知ることで未来を想像する、継続的に観察し続けたい視点、という点からもお勧めします♪


この連載の中でも、何度かご紹介してきた天狼院書店

「READING LIFEの提供」を掲げて、書店という枠を超えた体験を提供されています。
衰退産業に挙げられるサーカスから発展してきたシルクドソレイユになぞらえて、本の出版は年々相当数発刊されているにもかかわらず衰退産業に挙げられている書店を発展させた場を提供したい、というストーリーを描き、2013年に1店舗目を開業してから8年で、東京以西において11店舗まで拡大を続けています。

メイド・イン・ジャパンの鋳物ホーロー鍋「バーミキュラ」を生み出した老舗鋳造メーカー「愛知ドビー」も、下請けから自らデザインし販売する形態に発展することで、多くの人に商品を届けられるようになりました。

同社が提供する「ライスポット」は保温機能を除くことで、よりおいしくご飯を炊くことを追求した、無水調理も低温調理もできる炊飯器です。
炊飯器も、かまどで炊いていたものがガスで炊けるようになり、魔法瓶メーカーに主流が移り、さらに電化製品、多種の調理機能を持たせた商品へと変化してきた1例ですよね。

身近なところに時代の変化は起きています。
事業がうまくいっているならなおさら、自らが提供しているモノ・サービスが挑む次の競争相手は、どのモノ・サービス、分野、産業に移っていくのか、常に視野を高めておく必要があります。

あなたが提供しているモノ・サービスは、顧客のどんなニーズを満たしていますか?
あなたが提供しているモノ・サービスが満たす満足を、代わりに満たすことのできそうなモノ・サービス、産業はどんなものが想定されますか?
新たなモノ・サービス、産業とどのように関わっていきますか?
新たなモノ・サービス、産業へと心変わりをされないようにするために、どんな行動を起こしますか?



実践するドラッカー【事業編】』 
PART1 理論編 chapter2 顧客が事業である p55 #24


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実践するドラッカーシリーズは、膨大な数のドラッカー先生の言葉を選りすぐり、5つのテーマ別にまとめられた書籍です。
編著者の佐藤等先生は、札幌を中心に全国各地でドラッカーの書籍を中心に読書会を開催されてきました。
ドラッカー先生の言葉と佐藤先生の解説が1セット、そこかしこに「今のあなた」に必要な言葉が散りばめられています。
佐藤先生の解説は、ぜひそれぞれの書籍で確認してください(*^ω^*)
ここではわたしが感じたことをお伝えしていきます。
自ら考え、決定し、行動するあなたのためのドラッカー、一緒に探してみませんか?

【事業編】は、時間軸を意識し、自らを変革させていく姿勢と方法を習得するため、自らの事業を明確に定義するための補助線として書かれています。


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