「筆先三寸」日記再録 2008年1月~3月

2008年1月3日(木)

 あけましておめでとうございます。

 明日から仕事で(あさっても仕事で)、思いっきりげんなりしているむしまるです。
 それでも元日には、今年のテーマを「誠実と謙虚」と定めましたので(そこ笑わない)、仕事関係はひとまずその線でいってみようかと思います。

 ちなみに、正月2日のアニメイトの初売りで、「GWAVE2007 1st Drivers」なんてものを購入してしまいました。ええもう、もちろん、千円よけいに出して「店頭版テレカセット」ですよ(テレカなんてほしくないのに、通常版はないっていうから)。
 これはいいですよ。なかなかの名曲ぞろいで(元ネタのPCゲームはよく知らないけど)。烈火たんもはるかさんもバッチリです。萌え電波ソング入門には最適ではないかと思います。
 私としましても新年早々素晴らしいスタートといえるのではないでしょうか(ていうか、今年四十五にもなることを考えると、最悪のスタートといえなくもないような気が)。 

 ま、とにもかくにも、ここへおこしの皆様には、今年一年がよい年でありますようにお祈り申し上げますとともに、本年もどうぞよろしくご愛顧を賜りますようお願いいたします。


2008年1月9日(水)

 えーと、1月3日の日記は「2007年」ってなってたんですが、2008年に直しました。そら直すわ。
 べつにわざとじゃなかったんですが、メールは来るわ、掲示板でも注意されるわ、こんな間の抜けたおっさんのことを見守っていてくださるみなさまの親心がとてもうれしいです。ついでにお年玉とかもください。

 閑話休題。
 年末に、なんと堀江由衣が歌う電波ソングというものが出たそうでして、遅ればせながら入手いたしました。
これに入っている「なのです☆」という曲で、電波度はもちろん、かなり中毒性が高いです。「ひぐらし」のキャラソンなので、物語の内容がかなり歌詞に反映されているようですが、そんなの知らなくても「あうあう」だけで十分楽しめます。おまけに、もう1曲が田村ゆかり(二人合わせて「やまとなでしこ」だ)のこれもなかなかいい曲という超強力カップリングなのですが、これにミニドラマ付けて1890円はちょっとどうかと思います。

 ところで、堀江由衣って、昔から人気はあったけど、この2年ぐらいで大化けしたような気がする。
 声質は抜群なのに、オリジナルアルバムはお上手に歌おうとしているようでどうもピンとこなかったし、キャラソンにしてもアルバム「ほっ?」あたりまでは固さが抜け切れないっていうか、今の曲ほど聞いてて浮き立つものは感じられなかった。
 でも、一条薫子(「双恋」)や上原都(「ぱにぽに」)あたりから柔らかくなってきたのかな。で、ようこ(「いぬかみっ!」)で一皮むけたように思う。やっと持ち前の伸びやかな歌声に、明るい表情が乗せられるようになったというか、聞き手の心をつかめるようになったというか。そりゃもう、キャラソンだけど、「ちょこれーとけーき☆宣言」や「Love Love Paradiso」の萌え馬力は異常だ。
 それからは、今回の羽入(「ひぐらしのなく頃に 解」)にいたるまで、シエスタ(「ゼロの使い魔」)、天宮学美(「がくえんゆーとぴあ まなびストレート!」)、すず(「ながされて藍蘭島」)と、萌え系キャラソンでは無敵の快進撃が続いている。

 先日も車を運転しながら、カーオーディオにiPodをつないで、性懲りもなく大量のアニメソングを流していたのだが、モモーイがかかろうとKOTOKOが歌おうと我れ関せずを決め込んでいたサイが、堀江由衣の「Days」が流れるなり、「この子、かわいいの?」と訊いてきた。
 ひとまず、「まあ、この世界ではかわいい方かなあ。もう三十らしいけど」と答えたのだが、今の堀江由衣にかかると、素人相手でもやはりなんらかの萌え波動は届くみたいだ。サイは、「そら、これでかわいかったら、あんな人らがいっぱい寄ってくんねやろなあ」と、鼻の付け根にしわを寄せてたけど。「あんな人ら」って、俺も入ってるのか?

 とりあえず知らない人は、ツタヤにまで行かなくても、ステ6やニコ動あたりでいろいろ聞けると思うので、検索してみるといいと思います。


2008年1月18日(金)

 去年の暮れ、久しぶりに「本の雑誌」での評判にひかれて、単行本を一冊買ってとても楽しく読んだのだが、ここに感想を書く前に直木賞取っちゃった。
桜庭一樹『私の男』(文藝春秋/1476円)なんだけど、ミーハーと思われそうなんで、だからもういいや、ぐだぐだと適当に書く。

 とりあえず、昨日今日のニュースで、作者が女だと知って驚いた人、手を上げて!
 私も去年知ったんで大きなことは言えないのだが、有川浩(ひろしじゃないよ)とか柴田よしきとか、なんか最近こういう性別不明っていうか偽装っていうか韜晦っぽいのが多いような気がする。恩田陸効果か? 北村薫は関係ないか? 立原あゆみが男なのはいいのか?
 てなことはさておき、どういえばいいんだろうこの小説。人は殺されてもミステリとはいえず、純文学というには違和感があるし、暗いからノワールというのは短絡的だ。大衆小説や中間小説という言い方は、山周じゃあるまいし古めかし過ぎる。青春小説や教養小説ではむろんない。ヤンデレもの?
 なんてことも実はどうでもいい。どう読めばいいのか測りがたいざらつた手ざわりは、むしろジャンル小説に倦んでしまっている私にはとても好ましかった。
 物語は、シンプルなプロットの父と娘の物語である。章ごとに過去にさかのぼる形で物語は進むが、基本はワンアイデアの一本道ストーリーである。だからこそ、北の冷たく暗い海を背景にした陰気で骨太の物語になったのだと思う。
 小説的には、父である男の造形が印象的だ。人間味もリアリティも感じられないのに、抽象的な「人間の複雑さ」がそのままそこに立っているようで、読後の後味の大半を占めるような存在感がある。それに比べれば、大変なことを一身に引き受けて主人公を張る娘の方がむしろ平板なくらいだ。

 どうせたくさんの人が読むんだろうけど、ここは中上健次が好きな人に大声でお奨めしておこう。


2008年1月20日(日)

 健康まめちしきー! っても、迷信みたいなものかもしれないけれど。

 下まぶたの裏ってあるじゃないですか、人差し指でにーっとしたら見える(貧血だと真っ白に、結膜炎だと真っ赤になるところ)。
 あそこの赤味と、舌の中央部の赤味って、普通だとだいたい似たようなものらしいんですが、それを比較してみて、
 〇舌の中央部より下まぶたの裏の方が白っぽいようなら、循環器系(もしくは血球バランス)の調子が悪い。
 〇舌の中央部より下まぶたの裏の方が赤味が強いようなら、肝臓かすい臓の調子が悪い。
 てことで、色味のちがいが極端で気になるなら血液検査(献血で十分)をした方がいい、という話を聞きました。
 ちょっと鏡見るだけでわかるものなのでご紹介。


2008年1月22日(火)

 なんかここ二、三日、この日記を読んでる人の間で、「あっかんべー」が流行ってるらしいんですけれど。
 いい大人が、一人で鏡見て「あっかんべー」て。にらめっこの練習? ( ̄m ̄) ププッ。

(あー、だから20日の日記は4月1日までとっておけばよかったー、と気づいたのはついさっき。ほんとにもうこの上なくあとの祭だ)


2008年1月27日(日)

 大阪府知事選挙は、案の定というか意外にもというか、橋下徹候補が当選したようだ。
 私自身は、橋下と熊谷の一騎討ちながら僅差で熊谷、の目もあると踏んでいたので、当選はともかく圧勝は意外だった。
 だって、参院選での民主大逆転は記憶に新しいし、年金問題は解決が遠のく一方で首相も涼しげだし、給油法案も無茶苦茶な通し方だったし、つい先日の大阪市長選はきっちり野党の民主党候補が勝ってるし、そりゃ民主党に吹く追い風は台風並みだって読んでも無理はないだろう。にもかかわらず、自公の推す橋下が圧勝。
 これを、「タレントならほいほい票を入れる大阪の民度の低さ」と見てしまうなら、たぶんその政党は次の選挙をで下手を打つ。
 とにかく有権者は現状をなんとかしてほしいのである。景気は悪い、格差は広がる、体感治安は悪化する、学校はろくでもない、先行き暗い、そんな現状にうんざりしていて、なんとか風向きを変えてほしいのである(共産党以外に)。
 自民党をぶっ潰すと吠えた小泉自民党が衆議院で圧勝したのも、旧勢力復調路線(に見える)福田自民党が参議院で惨敗したのも、きっとそのメンタリティが日本の有権者を覆っていたからだろう。
 今回の知事選だって、民主党のマニュフェストがどうとか、自公とのしがらみがこうとか、実はそんなの関係なくて、「若くて元気と頭のいい兄ちゃん」の方が、「デビュー前から悪徳政治家みたいな顔の爺さん」より、「なんか変わるかもしれん」という期待を反映できたということなのだろうと思う。

 今の大阪府は財政状況が悪すぎるので、誰が知事になっても何もできないのが正味のところだとは思いますが、とりあえず情報公開とかの金のかからないところを手始めに、マスコミ相手には宮崎県知事ばりの活躍を見せてほしいですね。


2008年1月28日(月)

海堂尊『チーム・バチスタの栄光』(宝島社文庫/上下各476円)が映画化されるという話は、皆様すでにお聞き及びだとは思いますが。
 主人公の田口医師が、竹内結子に振られたのはまあよしとしよう。主人公の性別を変更するというのはダイナミックなチャレンジだが、映画では『リング』がそうだったし、テレビドラマなら『カバチタレ』や『富豪刑事』などでも見られた試みだ。監督の腕ひとつで、別作品ばりに面白くなる可能性だってある。
 でも、この作品の魅力の大きな部分を占める名探偵役の、白鳥“ロジカル・モンスター”圭輔を阿部寛って、それはちがうだろう。たぶん、ドラマの『TRICK』や『結婚できない男』の“知的かつわがままで風変わりな男”のイメージがあったのだとは思うが、阿部寛こそむしろ田口医師のイメージだ。主流に背を向けつつ、頭も切れて鼻っ柱も強いという。
 白鳥圭輔は、鳳啓助をもじったその名前の通り(そして小説内で描写されているイメージの通り)、小柄で小太り、エキセントリックで空気の読めない、しかし異様に論理的で切れ者というキャラでやってくれないと。芝居的には八嶋“灰島弁護士”智人っぽい感じで、ルックス的にはとろサーモン久保田(向かって右の太った方)が理想なのだけれど。古田新太がもう少し若かったらなあ。

 それと、こないだの日記で書いた桜庭一樹『私の男』だけど、これが映画化されるなら、配役は私の中で、豊川悦司と宮崎あおいで確定している。この小説の父親は、本当なら『ヨコハマBJブルース』のときの松田優作か、「豆腐屋直次郎」時代のショーケンがいいのだけれど、今ならトヨエツしかないだろうと思う。娘の方は、中高時代と二十代を演じ分けないといけないので、大河ドラマがどうとかいうミーハーな理由でなくて、どちらも違和感なくやれそうで目に力のある宮崎あおいがいいと思う。蒼井優は私にとってははぐちゃんの人だし、いまテレビではぐちゃんやってる成海璃子は、中高時代はぴったりなのだが成人してからの芝居をさせるのはかわいそうだ。
 ていうか、どうなんだろう『私の男』。いくら直木賞とったからって、大手で映画化する度胸のある会社はあるのかな。故神代辰巳が低予算で撮ったりすれば、ほんとうに珠玉の名作になったにちがいないと思うけど。


2008年2月9日(土)

CD 岩男潤子『anime on bossa』(Universal J/3,000円)

 去年出た緒方恵美の『アニメグ』がとてもよかったし、それなりに売れたからというのもあるのかもしれないが、このところ声優周辺の歌手によるアニソンカバーがやけに目につく。下川みくにも出したし(これはまずまず)、複数の声優がメドレーでたくさんのアニソンを歌う『百歌声爛』というシリーズもある(これはアレンジがやっつけ仕事でダメダメ)。もちろん、しょこたんだってそんなミニアルバムを2枚も出してるし、嚆矢といえばモモーイの『カバー電車』や『アニソン 8bit』になるのかもしれない。
 そんな流れの上にこのアルバムもあるような気もするが、どうなんだろう、なんだかものすごく微妙な気がした。
 まずアーティストが微妙だ。90年代には、いかつい名前に反してアイドル声優の重要な一角を占め、声優仕事でも(そもそも洞木“委員長”ヒカリの人だ)、歌手仕事でも(元は歌手だし、見事な萌え系ボイスだ)幅広く実績を残しているものの、最近は半引退のような状況のようにも見えていた(「らき☆すた」にもちょびっと出てたとは知らなかった)。
 そこへアニソンのボサノバアレンジて。アニソン好きがボサノバに興味を持つか? ボサノバを好んで流すようなこじゃれたカフェがアニソンだと聞いて手を出すとでも? どんな購買層を想定しているのか、どこのショップで売るつもりなのか、このマーケティング戦略ばかりは見当もつかない。

 というようなことで、存在を知ったときから半信半疑っちゅうか懐疑的だったのだが、ひと通り試聴してみて、あわてて買いに走った(ゲーマーズにはなくて、タワレコに1枚だけあった)。自分の趣味を疑う瞬間である。
 もちろんボサノバを歌うったって、エラの“one note samba”みたいなはずはない(「イパネマの娘」は、小野リサのとても素直でいい感じのをYouTubeで見つけたので、ボサノバ?って人はこれをどうぞ)。どちらかといえば、「ボサノバ風」にとどまる感じだ。
 でも、それがいい。岩男さんもすでに30半ばを過ぎて、持ち前の萌えボイスにウィスパー風味を乗せて、見事に(アニオタ上がりの)大人向けに仕上げている。アレンジも、音楽には暗いので良し悪しはわからないのだが、ギターとピアノを軸にした非常にていねいな仕事を心がけていることが伝わってくる。昼日中にほろ酔いで聴いているととても心地よい(ものがアニソンだけに人によるだろうけど)。
 お約束の「キューティーハニー」や軽くさらりと歌う「想い出がいっぱい」もいいが、意外によかったのが「ラムのラブソング」である。明らかに微笑みながら歌っているとわかるようなウィスパーボイスでけれんもなくシンプルに歌われると、「ああー、こういうのもアリだなあ」と、よく日の当たる窓際で青空を眺めているような気分になる。欲を言えば、全体の選曲にはもう少しこだわってほしかったような気もするが。
 たぶん全国で数千枚も売れればいい方だと思うし、ツタヤに並ぶかどうかも怪しい気がするけれど、このへんで試聴できるようなので、「来栖川芹香」と「アントニオ・カルロス・ジョビン」の両方のワードに引っかかることのできる人はぜひどうぞ(いるのかそんな人)。


2008年2月10日(日)

 昨日の日記は、「いるのかそんな人。」で結んだけれど、よく考えると「エロチック街道」(リンク切れ。マリみて関係でも有名なブログだった。2023年9月18日註)の中の人なんかは、両方とも私の百倍くらいよく知ってそうだ。ジャズ板でも「ばっちゃが言ってた。」とかつける奴は普通にいるし、あんまりいいかげんに適当なフレーズを書き飛ばすもんじゃないね。

 話は変わるけれど、椎名誠に岳という名の息子さんがいることはよく知られていると思う。『岳物語』という本も出ているし、中学校だかの教科書に載った一篇もあると聞く。でも、葉という名前のお嬢さんがいることは、あまり知られていない。お姉さんのはずなのに、『岳物語』には一切出てこないし、「本の雑誌」を三十年来講読している私でさえ、椎名本人の文章で葉という名前を見たことは一、二度しかない。娘が自分の文章に書かれることを嫌がった、とかそんなくだりだったように思う。
 椎名誠自身はもう少し続けたがっていた『岳物語』が、『続・岳物語』を出したところで中断したのも、同様の理由だというのもどこかで読んだ。

 最近、ここを更新していて、そんなことをふと考える。もちろん、なおちゃんとともちゃんのことである。
 なおちゃんなど、すでに中学1年生だ。ともちゃんも今年とうとう10歳になって、“つ”がつかなくなる。この日記を始めた頃は、なおちゃんはまだ保育園で、ともちゃんなんて言葉も話せなかったのに。
 そんな子どもたちのことを、いつまで面白おかしく書き残すべきなんだろう。なおちゃんだって、もうじきやってくるバレンタインデーのドキドキや、学校の成績のことなんて書かれたくはないだろうし。ともちゃんにしても、まだまだ幼くてそんなこと考えもしないとはいえ、わがままを言って叱られたことや、おかしな言動で家族を笑わせたことを、全世界に発信されるというのはどうなんだろう。

 だからまあ、これからは徐々に子どもたちのネタは減っていくと思います。いくつになったとか、進学したとかの季節ネタとしては書き残していくつもりですし、「学校でこんなことがあったらしい。ほんとうに近ごろの教育は……」などと話の枕として使うこともあるとは思いますが、個々の子どもたちの振る舞いをネタとして取上げるのは控えて行こうと思います。

 だから、ともちゃんは寝る前の布団の中で、「なあなあ、お母さん、お父さんとセックスした?」とか聞いてはいかーん!
 お母さんも、翌日さっそく私に向かって、「せやから真面目に答えてん」とか言いながら、細かいやり取りを教えてくれなくてもいいでーす!
 なおちゃんも横で噴き出してる場合とちゃうやろー!
 書けへんぞー、絶対書けへんからなー。


2008年2月12日(火)

 前回、ほんの軽い気持ちで「エロチック街道」さんの名前を出したら、即座に反応してくださいました。ほらほら言ったとおり、私の百倍くらいいろいろよく知ってて的確な解説をしてらっしゃいます。しかも、これきっかけに岩男さんのCDまで買ったりして。
 以前からよくおじゃましていた超老舗の大手さんに、日記丸一日分使って反応してもらえてすごくうれしい。ていうか、その昔サイトを始めた頃に、よそさまの文中リンクに舞い上がったり落ち込んだりしてたのを思い出して、すごくなつかしくて楽しい感じがする。

 牧野由依、いいですなあ。私は『天球の音楽』しか持ってませんが、ひところヘビロテしてました。そのデンでいくと、霜月はるかや茶太(今いちばん好き)などもいいかもしれません。
 でも私は、綾波ボッサ、ちせボッサ、長門ボッサという、「地味キャラSF三人娘ボッサ」が聞きたいです。3人とも中の人は芸も実力もある声優&アーティストですし。あうー、自分で言ってて本当に聞きたくなってきた。
 絶対3枚は買うから、誰かプロデュースしてください。


2008年2月22日(金)

▼前回、前々回の日記をきっかけにした「エロチック街道」さんとのささやかなやりとりは、すぐあとに「カトゆー家断絶」さん(2月13日)にまで波及していました。と思ったら、昨日には、「万年筆ト雑キ帳」さん(旧名「迎賓館裏口」さん。リンク切れ。2023年9月18日註)まで、「文中リンク」という言葉に反応してくださっていたり。
 こういうのって、やっぱりなんだかすごく楽しい。

▼ゼブラのクリップ-オン マルチに、「クリップ-オン マルチ2000」というのが出まして、当然速攻で購入いたしました(2月20日発売)。
 リンク先でご覧の通り、デザインもシックでなかなかいいです。メッキのクリップが不細工ですが、写真で見るほどぼってりしてなかったのは救いです。で、首軸が金属で胴軸が合成樹脂になってまして、重量バランスもなかなかよく、梨目の塗装が指止まりもいい感じに効いています。とくに、ゴムのグリップをやめた点については二重丸を差し上げたいです。すぐになくなる消しゴム部分のキャップがネジ止めになったのも。
 そしてもちろん、パイロットのコレトのレフィルが転用できます(尻の先を2mmほど切るだけ)。ゲルインキはものすごい勢いで減りますが、細い字が書ける上に発色がいいので、手帳用と割り切るならこれほどありがたいペンはありません。
 この改造クリポンと、ジェットストリームの3色BPがあれば、至福の日常筆記具生活が送れます。
 いやもうほんと、オススメったらないですよ。


2008年2月23日(土)

 とはいうものの、多機能ペンや多色BPというのは、どうしてもビンボくさい印象がつきまとう。両端を削ったえんぴつを「びんぼうけずり」と言いならわしてきた幼少期の思い出によるのかもしれない。
 とりあえず、クリポンは2000にいたってやっと人前で取り出せるペンになったように思うのだが、それでもノック用のノッチがごちゃごちゃとついているのは気になる。ジェストの3色なんかはすでにあからさまにボールペンなので、おなじみのBICの4色なんてのと同様、開き直って持つことができるけれど。
 ということもあって、私は手帳のペンホルダーには、LAMY2000の4色BPを挿している。もちろん、レフィルはゼブラのシャーボX用ゲルインクに換装してある(書き味も発色もぜんぜん違うので)。

 このサイズのレフィルは、一般的に「4C規格」と呼ばれていて(厳密にはちがうらしいが)、パイロットにせよ三菱にせよ、油性ボールペンを基本に線の太さも色もいろいろ出ている。ただ、ゼブラの替芯は微妙に太いらしく、これを使い続けると、他のメーカーの4Cレフィルを入れるとスポスポになってしまうという(実験してないので真偽は不明)。
 なのに、そんなものを1万円もするペンに入れるのは気が引けたのだが、まあそれでもせいぜい1万円の話だし、ゲルの書き味には換えられないということで思い切った。デザイン的にも十二分に満足のできる製品だし。

 でもやっぱりよく減るんだよなあ、ゲルインクって。4Cレフィルはとくに小さいし。1本160円もするのに、A4ノート4、5ページで空になるってどうよ。っても、それがわかって手帳でしか使わなくなったので、いまは無問題だけど。


2008年2月24日(日)

 というふうに、手帳で使うペンの話を書いて気づいたのだが、今年は弁当箱みたいなシステム手帳に復帰したという話は書いた覚えがない。
 2007年は、いろいろ書き込めるということでほぼ日手帳を使っていたのだけれど、1日1ページというのはどうも使い勝手が悪い(ていうか、自分には合わない)ということがわかった。
 文庫本サイズなので、見開きの月間予定表にはあまり書き込めなくて、どうしても詳細なスケジュールは当日のページに書くんだけど、そうすると一覧性が極端に低下する。私は物覚えが悪いので、その日のページを開かないとその日の予定が思い出せないというのはかなり不便なのである。ものすごく準備の要るタスクに前日になってから気づくとか、しょっちゅうあわてる羽目になる。
 それと、業務日誌代わりになんでもかんでも別のノートに書き留めることにしていたのだが、そっちの方は量が多いので、ほぼ日に移行しようにも1ページでは収まらない。別のノートも結局手放せないことがわかった。

 ということで、今年はとうとうフランクリン・プランナーに手を出した。べつにかなえたい夢があるわけでも、成功とやらを遂げてみたいわけでもないのだが、今年は「コンパクト&スマートに」ではなく、「全部一冊に」方向へ針が振れきってしまったということだ。
 フランクリンのコンパクトサイズは、リングのピッチが普通のバイブルサイズと同じなので手持ちのアクセサリ類も使えるし、なにより広々していていくらでも書けるところがいい。会議や勤務のスケジュールは月間にひとまず書いて、週末にウィークリーに落として(いつと決まってないいろんな用事もここで突っ込む)、前日か当日にデイリーに写す(その日のタスクはここで考える)、といういかにもそれっぽい流れで今のところ便利につかえてるし(といっても、それほどスケジュールやタスクが多いわけじゃないけど)。なによりリングで閉じるシステム手帳なので、いくらノートやメモをとっても、その日のページにはさんでおしまいというのがひとつにまとまって楽でいい。
 というわけで、今年はこれで行ってみたいと思います。

 でかくて重いのはとにかく残念だけど。ガワもリフィルもぼったくり並みに高いのが腹立つけど。ネットワークビジネスちゅかマルチ商法系バリバリの兄ちゃんやねえちゃんにかぎって、うれしそうに使ってるのがどうも釈然としないけど。


2008年2月25日(月)

CD折笠富美子『うららかeasy』(ジェネオン エンタテインメント/3,000円)

 購入。絶望先生あたりでは「声優のCD」って、病膏肓オタのアイコンのような扱いだけれど、これはその枠からはずしてほしいなあ。
 歌声は“いかにも”じゃないけど柔らかで、抜群に歌はうまいし、もちろん本職柄、歌詞にも素直に表情が乗っていく。
 でも、「実力派が歌い上げる」みたいなめんどくささからは無縁の、ポップの方を向いてるのに落ち着いて聞けてほっとできる、そんな稀有なアルバムだと思う。
 個人的なお気に入りは、「おかっぱちゃん」と「ボクノリズム」かな。ま、ツタヤにあればどうぞ。

 ちなみに折笠さんは、「ちせ(最終兵器彼女)」、「松岡美羽(苺ましまろ)」、「立花みかん(あたしンち)」、「朽木ルキア(BLEACH)」などの中の人です。もともとは舞台の人らしく幅の広い実力派です。ちせの物語後半における総毛立つような台詞回しや、美羽ちゃんとアナ・コッポラ(能登)の掛け合いなんかは絶品ですが、それはまた別の話。


2008年3月9日(日)

伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』(新潮社/1,600円)

 1月に読んだんだけど、書く機会を逃していた。今の伊坂って、老若男女だれにでも勧めることができて、それほど恥ずかしくない作家の筆頭である。
 だからもういいかげん伊坂さんには直木賞やろうよ。誰がけちつけてるのか知んないけど、これなら文句ないだろうがよ。
 ただ、本屋大賞の候補にも上がってるらしいんだけど、そっちが先になるとなんとなく直木賞はやばそうな気がする(逆は「東京タワー」があったけど)。

 いやあ、面白かった。
 一人の青年が、首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられて、逃げ回る話なんだけど、『逃亡者』や『MONSTER』に勝るとも劣らないスリルとサスペンスとカタルシス。
 ていうか、やっぱり伊坂は人物描写だな。主人公のお父さんなんて最高だ。「雅春、ちゃっちゃと逃げろ」とテレビカメラに言い放つシーンは、ラストの五文字しかない手紙にまで結びついて、涙ぐむほど感動的だ。
 面白いエンタテインメント本を探してる人は、ケータイ小説なんて読んでないでとりあえずこれ読んどけ。


2008年3月12日(水)

恩田陸『中庭の出来事』(新潮社/1,700円)

 すごく好み。ホテルの中庭で起きた殺人を巡る殺人がホテルの中庭で起きる劇中劇と、ホテルの中庭で殺人が起きるシーンのある劇中劇のオーディションと、ホテルの中庭で殺人が起きる劇中劇とその回想と、ホテルの中庭で起きた殺人事件を捜査しつつ劇中劇に言及する刑事たちの会話が、入り組みたおしたまま、いろんな人間のいろんな階層の視点で語られる。読み終わっても何がどうだったのか、じつのところ誰が死んだのかよくわかってないような気がする。プロの仕事というほかはない。
 とくに、物語や作者のたくらみについて読み取れはじめるまでの数十ページを読んでいる間の幻惑感といったら。


2008年3月15日(土)

 本棚まわりが、ある程度かさのあるものを処分しはじめないとどうしようもなくなってきたので、手始めにと思い80年代の「ぱふ」(60冊くらいあったかな)をスーツケースに詰め込んで、梅田の「まんだらけ」に持っていった(重かった~。腕抜けるかと思った)。
 細野不二彦や島本和彦のデビュー当時のインタビューとか、大島弓子や水樹和佳の特集とか、ぱらぱら見てるだけでのたうち回るくらい面白いのだが、私なんかが死蔵してるよりはその筋の人が手にしてくれたらなんかの資料にもなるだろうと思い切ったのである。

 そしたら、「在庫の関係で、これはちょっと……」と、引取りを拒否されました!
 ついでにいうなら、「漫金超」(創刊号~五号。これもひさうちみちおとか大友克洋とか高野文子とかの傑作が目白押し)も引き取ってくれませんでした! 「宇宙船」の創刊号~三号もいりませんって言われました!
 どれもそこそこ値打ちあると思ったのになあ。需給バランスの問題なのかなあ。
(結局これらは持って帰るには重すぎるので、別のところのマンガも扱います系の古本屋に引き取ってもらった。二束三文で。)

 それでもまあ、スーツケースのすき間を埋めるのに押し込んでいった、徳間書店の特撮系ムックとか学研ユアコースの怪談本とかが、それなりの値段になったんでよしとしよう。
 ほんとは、ヤフオクに出せばもう少し稼げたんだろうけど、あれってすっごくめんどくさいしね。


2008年3月20日(木)

島本和彦『アオイホノオ 1』(小学館ヤングサンデーコミックス/514円)

 著者と私はほぼ同い年なので、同じ空気を吸ってきた。細野の「恋のプリズナー」や少年ビッグコミックの「みゆき」に受けた衝撃もリアルタイムで体験したし、「うる星やつら」に感じた思いも痛いほどよくわかる。なにしろ当時、私は漫画家こそ目指してなかったが、それなりに漫画マニアを気取っていたので(顔から火)。
 先輩の持つビデオデッキがどれほどうらやましかったかとか、オールナイトで映画一本丸暗記するほど見るとか、当時の庵野さんや山賀さんのあの風貌とか、もうなんか死ぬほど懐かしいし、ワナビーのぐだぐだな葛藤にいたっては、そんな連中と毎日過ごしていた私には涙が出る。
 これって今も連載中だけど、これと木尾士目の『げんしけん』には、私の青春が詰まっているといっても過言ではない。って、どんな青春や。


2008年3月22日(土)

▼またまた一ヶ月分もログを飛ばすのがいやなので、感想文系を中心に少しばかりアップしました(2月24日~3月20日)。

▼なかなか日銀総裁が決まらないのって、あまりに急な円高を牽制するための小芝居だと思ってた。ガチだとしたらスゲエ。

▼『チーム・バチスタの栄光』の白鳥圭輔は、阿部寛はやめて、ここはひとつ芋洗坂係長でお願いしたいのだがどうか。

タカラトミーのペン回し専用ペンを買ってしまった。なおちゃんの分と2本も。
 ペン回しは、大学に入った年に始めて目にした(ノーマルのみ)。現役生はだれもできなくて、浪人で入った連中はほぼ全員回せたというきれいな分離を見せたので、ちょうどそのころが大阪での「“浪人回し”から一般へ」という普及の分岐点だったのかなと思っている(昭和57年4月の話)。
 私は普通に「ノーマル」と「ソニック」しかできないんだけど、マジシャンの血が騒ぐっていうか、これからちょっと練習してみたいと思ってしまった。
 とりあえずペン回しのあれこれは、「ペン回し資料室」を見ればいいと思うけど、なにあの超絶技巧。

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